31 / 533
ホーリーナイト・セレナーデ
ホーリー・ナイト・セレナーデ<Ⅲ>
しおりを挟む「……ぁっ♡ こんなの知ったら、戻れなくなっちゃう……♡♡ びゅーってされるの、すっごく気持ちいい♡」
開けっ広げな感想にも彼は目を眇める。
「よかった……♡ 俺もつい夢中になっちゃった♡♡ 苦しくなかった?」
「全然平気♡ もっと激しくてもいいくらい♡」
繋がったままの性器から、どちらのものとも知れない体液が重力に従って流れ出る。深い欲望と重い愛情に酔いしれ、なかなか視線が解けない。世界にたったふたりだけになってしまったような気分だ。間違いなく、いまこの瞬間、この場所は名実ともに『聖域』だと思った。
「激しくてもいい? 『激しいのがいい』じゃなくて?」
「あなたとだったら、なんでもいい♡♡」
「そっか。じゃあ……ちょっと動くよ。ごめんね」
彼はわたしを抱えて身体を倒していく。その弾みで、すでに硬度を取り戻しつつあるソレに内側を引っ掻かれた。
「ひゃっ、ぁ♡ 今度は正常位でするの?♡」
無駄な肉のない顎に惚れ惚れとしながら、高い位置から見下ろしている彼に尋ねた。
「うん。やっぱり俺はこっちのほうが性に合ってるみたい♡♡ このほうが激しくできるしね?」
と無邪気に笑って言うけれど、その内容は地味にえげつない。予告編のように二、三度突かれ、頭の中に桃色の靄がかかり始める。
「んっ……! わたしもあなたに上に乗られてるの好き♡♡ 逃げたくても逃げられない感じがして…………」
「そんなふうに思ってたんだ? ……それなら、こうしたら?」
言うなり、彼は身を屈め、わたしの両脇に肘をついた。下敷きになっていた髪が引っ張られて顔を顰めると、即座に横にずらしてくれる。申し訳なさそうな表情と唇の動きで伝えられた『ごめんね』には、ゆっくり頷いて微笑んだ。
「きみのこと、閉じ込めちゃった♡ 」
「ふふ、閉じ込められちゃった♡」
笑い合ったあとで真面目な顔になった彼は、こつんと額を合わせる。
「愛してる」
凛とした声で発せられた五文字に色めき立つ。聞き慣れ、言い慣れている四文字を返そうか迷ったが、この場面で最も適切な受け答えはわかっていた。
「わたしもあなたを愛してる」
と言えば、まんまるな瞳は半月になり、時を置かずに三日月になった。そのまま彼が瞼を下ろして口付けを交わす。わたしはキスのあいだ、閉じていても立体感のある眼球をこっそり盗み見ていた。
「ありがとう」
目を開いた彼は、一度口を離してそう言ったのち、ゆるゆると律動を再開させた。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる