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鶯音を入る
第三十二夜
しおりを挟む「翠って、凄いね」
「偶然ですよ。でも、私が思い付いたにしては悪くないっていうのは同感です。多分、『好みのデザインが多いから』でピアスを選んでた頃とは思い入れだって比べ物にならない位強くなるでしょうし、思い出だってどんどん増えていくと思います。……というか、そうしたいです」
目覚めたら隣にいない――――位で済めば構わないが、今の彼女からは、下手したらこの家から姿を消してしまっていそうな儚さを感じる。
私の言葉や態度がどこまで後ろ髪を引いてくれるのかはわからないし、そもそも悲観的に考えすぎだという可能性も否定出来ないが。
「紅さんはさっき、『ピアスを着けて穴の存在を実感する事で、寂しさを強く感じるんじゃないか』みたいな事を心配してくれてましたけど、きっとそれとは真逆の事が起きるんじゃないかなと思います。私が前に選んでた方法よりもずっと、健康的で幸福に寂しさを埋める事が出来るようになる……。こんなに私達にぴったりのアクセサリー、他にないでしょう?」
「ん。そうかも」
私が話し終えると彼女はスッと立ち上がり、ピアススタンドの置かれた箪笥の最上段の引き出しをゴソゴソし始めた。
「どうしました?」
「あったよ、翠」
「あったって、何があったんです?」
「ピアッサー」
その手で掴んでいたのは、お馴染みの形状の器具だった。
美容系YouTuberのような見せ方ではなく片手で持っているのも、突拍子のなさも彼女らしい。
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