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サイワイ
サイワイ【3】
しおりを挟む「先日の件について話があるんだけど、いいかな?」
「……はい」
数日後、またしても俺は執務室でハーさんと向き合っていた。気分は俎上の魚だ。
「キミに与える罰のことなんだけど、単刀直入に言おう。人手不足が解消するまで、引き続き、死神として働いてほしい。それが、オレがキミに与える罰だ」
「……それだけでいいんですか?」
彼が言い渡したのは雇用契約の更新。期間の設定がなされていないとはいえ、罰にしてはあまりに寛容な措置に耳を疑う。
「それだけ、ではないと思うけどなあ? なんせ、スピードが求められる過酷な業務のうえ、一向に人手不足は解消しそうにない。そして、死神である限り、転生待機列に並ぶことは許されないときたら、少しは絶望的な気分になるものじゃない?」
わざとらしい口調で問いかける冥府の神からは、露ほども反省の色が窺えない。
「意地悪な真似をしてごめん」とは、どの口が言ったのか。彼は俺の答えを見越したうえで訊いている。
「いえ、別に。働くのは嫌いじゃないですし、人助けもしたいからしてるだけです。何より、ハーさんには願いを叶えてもらった恩があります。あなたがいなければ、俺はアキノの願いを叶えることは出来ませんでした。そのハーさんが困ってるなら、助けないなんて選択肢はありませんよ。貸しはきっちり返す主義ですから。……というわけで、契約延長ですね。これからもよろしくお願いします」
「キミ、そんなに饒舌な人間だったっけ……? さては『お喋りな悪魔の口』効果だね? 活用してくれて嬉しいなあ」
彼はにこにこと笑いながら俺の胸部に視線を落とした。つられてそこを確認してから、ゆっくりと首を横に振る。
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