“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
119 / 119
We hope your Halloween is a ”Treat”!

We hope your Halloween is a ”Treat”!【39】

しおりを挟む

「ランタンといえば、いつかのハロウィンはランタンが例年の倍以上はあって、とても明るくて賑やかでしたね。ふふふ」

「あったね~、そんなことも! ここ数年のことじゃなかったっけ?」

 罰ゲームのためにあるんじゃないかと思うようなお菓子に思いを馳せていたら、パックとヴィニーが思い出話に花を咲かせ始めた。

「そうでしたっけ? まぁ、いつのハロウィンのことでも構いませんけどね。あの年のハロウィンシーズンの飾り付けが豪華だったのは『』の誤発注のせいだったと聞きましたが、私は毎年あのくらい派手にしてもいいのではないかと思います」

「『おばけかぼちゃ』? 普通のかぼちゃとは別物?」

 いかにもランタンの材料っぽい名前だけど、本物のおばけだったりして。

「うふふ。そういう品種があるんだよ。普通かどうかでいうと……普通じゃないかもしれないけどねぇ」

「ああ。野菜としてあるまじき姿だと思うかもしれないが、なんだ。ランタンを作るのに適している」

人間界こっちでも鑑賞用のかぼちゃは食べられないし、そんなこと思わないよ。くり抜く手間省けていいじゃん! こっちでもそういうのないのかな。私、ランタン作ろうなんて思ったことないし、わかんないや。……あ、『おばけかぼちゃ』って、中身がないからってこと? うまいこと考えたね」

 人間界でもそうだけど、ネーミングセンスがいいなって思うと、その商品欲しくなっちゃうんだよね。
 
「それも由来ではありますけど、実はもうひとつ由来がありまして……どのようなものだと思いますか?」

 そう言って、私を見つめるパックはミステリーハンターみたいだった。

「え、まさかのクイズ? 教えてくれるわけじゃないんだ。布被ったおばけみたいな形してるとか?」 

「いいな、おばけ型。そういうかぼちゃがあったら、きっとかわいいだろうな。刃を入れるのが忍びなくなってしまうのだけが難点か」

 スーはやっぱりかわいいものが好きみたい。

「ってことは、違うってことね。全然わかんない!」

「じゃあ、正解発表しまーす! 『おばけかぼちゃ』はね、正しい育て方をして、生った実でランタンを作ると……」
 
 ヴィニーの言葉に耳を澄ませる。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

雪町フォトグラフ

涼雨 零音(すずさめ れいん)
ライト文芸
北海道上川郡東川町で暮らす高校生の深雪(みゆき)が写真甲子園の本戦出場を目指して奮闘する物語。 メンバーを集めるのに奔走し、写真の腕を磨くのに精進し、数々の問題に直面し、そのたびに沸き上がる名前のわからない感情に翻弄されながら成長していく姿を瑞々しく描いた青春小説。 ※表紙の絵は画家の勅使河原 優さん(@M4Teshigawara)に描いていただきました。

うりふたつ

片喰 一歌
恋愛
「あの、お心遣いには感謝しますけど、お兄さんのことは半分も信じてませんからね」 「しっかりしてるねえ。ひとまずは俺、初対面の馴れ馴れしくて怪しいお兄さんってことで」 (※本文より抜粋) ある日、アキノの前に現れたナンパ男は、死んだ恋人・ハルトにうりふたつだった。 無口な彼とは対照的におしゃべりなその男は、自分をハルト本人だと言い張る。 アキノは半信半疑ながらもその男の誘いに乗り、『冥界デート』に付き合うことに。 聞くと、彼は生前の目的を果たすために戻ってきたらしい。 その口から語られたのは、亡き恋人しか知らないはずの『一緒のお墓に入りたい』というアキノの願いだった。 戻ってきたハルトは、どのようにしてアキノの願いを叶えるつもりなのか? 衝撃のラストは必見です! 2024/5/6~ 1話あたりの分量を変えて帰ってきました! あなたはこの結末をどう読みますか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタの村に招かれて勇気をもらうお話

Akitoです。
ライト文芸
「どうすれば友達ができるでしょうか……?」  12月23日の放課後、日直として学級日誌を書いていた山梨あかりはサンタへの切なる願いを無意識に日誌へ書きとめてしまう。  直後、チャイムの音が鳴り、我に返ったあかりは急いで日誌を書き直し日直の役目を終える。  日誌を提出して自宅へと帰ったあかりは、ベッドの上にプレゼントの箱が置かれていることに気がついて……。 ◇◇◇  友達のいない寂しい学生生活を送る女子高生の山梨あかりが、クリスマスの日にサンタクロースの村に招待され、勇気を受け取る物語です。  クリスマスの暇つぶしにでもどうぞ。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

宇宙に恋する夏休み

桜井 うどん
ライト文芸
大人の生活に疲れたみさきは、街の片隅でポストカードを売る奇妙な女の子、日向に出会う。 最初は日向の無邪気さに心のざわめき、居心地の悪さを覚えていたみさきだが、日向のストレートな好意に、いつしか心を開いていく。 二人を繋ぐのは夏の空。 ライト文芸賞に応募しています。

処理中です...