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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【21】
しおりを挟む「パフォーマンス……って言ったら聞こえが悪いかもだけど、俺たちキャストはそれぞれの役に沿った事を言うし、する。簡単に言っちゃえば、『与えられた役柄になりきれ』って指導を受けてるんだよね~」
ヴィニーがさらに補足したのは、キャストたちとの交流が物語の続きを想像するヒントになる理由?
凝ってるって事は下手するととっつきにくいだけになる……っていうか、大体の作品はそのせいで一度も跳ねる事なく完結して埋もれてく。
この話がいい例だね! 耳が痛い!
けど、その長ったらしい説明を物語の入口――導入――として、そこからその世界を実際に体験してもらう事ができる仕掛けになってるとしたら?
絶対楽しいに決まってる。
一方的になにかを見せられたり聞かされたりするんじゃなくて、誰でも簡単にできる事が組み込まれた参加型のプログラムのほうが一般的にウケもいいはずだ。
最初にこんなん聞いたら一気に引き込まれちゃうし、『想像してみて』なんて言われなくたって勝手に考えちゃうじゃん。完結しててもしてなくても、物語のその先を。次のシーンをさ。
私の大好きな『永遠に未完成』という謳い文句に恥じない夢と魔法の王国の、それぞれのアトラクションのQラインを思い浮かべる。
乗り場に着くまでのあいだにも細部に至るまでその世界に引き込む工夫が凝らされていて、何回行っても絶対に飽きない。まぁそこはぶっちゃけ人によるだろうけど、少なくとも私は死ぬまで飽きないんじゃないかと思う。
……だけど。と口を開いた。
「そういう感じか。続きは本当にないんだね。想像するのも楽しいけど、ちょっと残念かも。結構好みの話だったから、作者の人が考えた結末も知りたかったな」
個人的にはかなり好きだった連載が世間的には不人気で、(たぶん)作者の思い描いていたベストエンドじゃない形で最終回を迎えたときみたいなモヤモヤ……みたいなものを私は感じていた。
物語の登場人物たちに囲まれて、続きを想像するには十分な体験までしてるのに贅沢だとは思うけど。
「ああ……。確かにそういう考え方もありますね。中には想像する事自体を好まないお客様もいらっしゃいますし、実際にクレーム対応をした事も何度か。だからというわけではないにせよ、『尋ねてこられた方にのみお話しする』用の結末を用意しておいても良いのでは、と私は昔から思っているんですけど……」
という発言に膝を打つ。
「パック、天才か?」
知る人ぞ知る裏メニュー、的な感じか。表向きはない事になってるけど、実は存在してるもの。
何年やってる店かは知らないけど、いままでの『壮大なストーリーがあるけど未完だよ。続きはみんなが想像してね!』ってスタンスでやってきた日々をなかった事にしないって意味でも一番いい落としどころかも。
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