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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【20】
しおりを挟む「『……私も残念ですが、この先は自分で考える事にしましょう。長い長い一生の、退屈しのぎには丁度良い。最後まで聞いてくださったみなさんも、ここで過ごす素敵な時間の中で、自由に想像の翼を羽ばたかせてみてください。あなたを囲む美しい顔のキャストたちは、一体なにを企んでいるのでしょうか……?』」
少しためを作って語ったヴィニーがにっこりと唇を結ぶ。物語はそこまでらしい。
最初からそうしようと決めていたわけではないが、話を聞き終えた私の手は勝手に動いて彼らに賞賛の拍手を惜しみなく送っていた。
きっと普段もこんな感じでお客さんを楽しませてるんだろうなと思ったら、ますます足を運んでみたくなった。一風変わったそのコンカフェに。
「……いまのめっちゃ童話っぽいナレーションはなんだったの? ナレーションかどうかもわかんないけど」
「お店のコンセプト……というかストーリー、かな? それぞれの席に絵本も置かれてるんだよね~」
視線を合わせたままのヴィニーが答えてくれた。
とんでもない凝り方じゃん。プロが監修してたりするのかな。読書と無縁な私でも知ってるくらい有名な作家やライターの人が書いててもおかしくない。
まぁどんな世界にもプロ顔負けのアマなんていっぱいいるし。作品の評価なんて好みに左右されがちだし。オタク語に翻訳するとたまたま私に『刺さった』だけなんだろうけど、終わってみるとなかなか楽しい話だった。
でも、何度考えても絵本まで作っちゃうなんて相当な作り込みだよね? ある意味変態的というか……いや、この表現が適切かどうかはわかんないけど。
「その絵本にも続きは書かれてないの?」
何はなくとも続きが知りたい一心で尋ねる。わざと結末を伏せるなんてステマの常套手段だし。
連ドラでされると萎えるやつ。放送分の最終回まで見ても消化不良で、スピンオフと題して続き……ってか実質的な最終回を動画配信サイトで独占配信! 観たければ契約してね! って誘導してくる手口。お腹いっぱいですわ。
……でも、みんながそんな事をするとは考えにくい。人間性への信頼もあるけど、ここには私しかいないから、どんなに興味をそそっても新規で獲得できる客は一人。効率が悪すぎる。
『あ、みんなは人間じゃないんだったっけ』とパックやヴィニーのゴーストジョークを思い出してにやけそうになる。
「残念だけど、ないんだよねぇ」
チルが即答した。被せ気味だったのに、ゆったり間延びした口調は相変わらず。
「ああ。『実際にキャストたちと交流して、物語の続きを想像してほしいから』だったか」
スーの補足も完璧に要点を押さえてる。
そういう理由なら仕方ないか。キャストはさっきの話に出てきた魔物たちって設定なんだもんね。
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