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Happyyy Halloweeeen!
Happyyy Halloweeeen!【13】
しおりを挟む――――『虐げられた物たちの逆襲』。
「確かにね~」
考えるまでもない。さらっとヴィニーが口にした言葉こそがきっと答えだと、チルの間延びした相槌を聞きながら確信する。
みんなの勤務先であるコンカフェの持ち味や特色と言われるものは、ありふれた擬人化とは一線を画した設定らしい。
よくある擬人化イケメン路線にカモフラージュされてはいるけど、思考停止で流行りに乗っかっただけではなさそうだ。
その本質は、裏側にあるのは――――私が募らせている恨みなんて比じゃないくらい、ドロドロした怨恨や鬱憤なんじゃないか。
そして、それは……どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなんだろう。
そもそも、ストーリーだと思い込まされていたものは、もしかしたらナラティブだったのかもしれない。
完結なんかしていないし、他人事でもない。現在進行形で綴られている、噓のような本当の話――――……。
身の毛もよだつ復讐譚の渦中に私はいるのかもしれない。…………けど、流石に巻き込まれ事故じゃないかと思うんだけどなー……。
あーあ。ゴミ拾いガチりすぎて、ハロウィンにぴったりな悪夢を見てるだけだったらいいのに。
わくわくしながら追ってた物語の結末が夢オチだとちょっとがっかりするけど、こんな夢オチなら大歓迎だよ。
「――――『ポイ捨てされたゴミたちは、自分たちを捨てた人間に復讐を企てます。けれど、復讐というおどろおどろしい響きや、人間たちに捨てられ、踏みつけられてぐちゃぐちゃになった姿に似合わないほど、彼らの望みは可愛らしいものでした』」
なんて心の中でぼやいてたら、パックが急にポエミーな文章を諳んじた。
お、急に朗読劇とか始まっちゃった感じ?
『だったら、口を挟むのも野暮だよね!』と、おとなしく傾聴の姿勢に入った案外空気の読めるカリンチャンなのであった。
……嘘です。ごめんなさい。(『イケボを堪能したかったんです。完全に私利私欲から起こした行動でした。私は強欲な人間です』と書かれた札を首から下げている。)
「『彼らはただ、愛されたかっただけなのです。愛されるためにはどうしたらいいのか。役目を終えたあとも捨てられないためにはどうしたらいいのか……。必死に必死に考えました。そうして、思いついたのです。「人間たちは美しい物がとても好きだから、ぼくたちも美しく生まれ変わればいい」と』」
パックの言葉を継いだのはヴィニー。二人とも発声がしっかりしてて、すごく聞き取りやすい。
ただ、その内容がちょっと怖……雲行きが怪しくなってきたかなって感じで。うん。
「『ゴミたちが行き着いたのは、奇しくも冥界の入口でした。彼らの無念が、彼らの魂をそこまで運んだのでしょう。寄り集まった怨念は、それはそれは強いものでした。なにせ、人間たちは信じがたい量のゴミを不法に投棄してしまいましたから』」
とスーが続けた。
シンプルな言葉に直せば『ポイ捨てが横行してる』って事で、私の嘆いてきた惨状そのものだ。
「『彼らの想いを聞いた冥界の主は、望みを叶える代わりに、ある話を持ち掛けます。それは彼らにとっても都合のいいものでした。彼らを憐れんだのでしょうか? ――――いいえ。死した者たちの魂に分け隔てなく気を配る彼でしたが、今回ばかりは慈悲のみによる行動では決してありませんでした』」
チルって普通に喋る事もあるんだ。どっちもいいね。でも、なんか壮大な話になってきたな。
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