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We witch you a happy halloween!!
We witch you a happy halloween!!【5】
しおりを挟む「うふふ。次はよそ見しないでついてきてね?」
チルはさっき同様、私の事を気にかけてくれてる。大丈夫、もう迷子フラグは立てない。……たったいままた立てた気がしなくもない! 期せずして早口言葉。とーとつにエジプト神の類語かなにか?
「『ついてく』……って感じでもない気がするけど、確かに楽しいわ」
広い廊下を横一列で闊歩するカ・イ・カ・ン! セーラー服も着てなければ機関銃ぶっ放してもないけど言いたくなった。でも、どこをどう通ったかは例によって覚えてない。記憶力がクソザコ。加齢による衰えなんかじゃなく元からこんなんだけどな。
「うふふ。公道だとこんな風に歩けないもんね?」
ついさっきもキッチンにスーがいる事なんてチルの発言で初めて知ったのに知ってたつもりでいたし、未知と既知の判別ついてんのかしょっちゅう心配になる。特に困ってるとかじゃないけど、知ったかぶりする奴だと思われたくないじゃん。
「スーちゃん、お待たせ」
ヴィニーは基本的にちゃん付けらしい。既出だったらごめん。匂わせる事は言ってた(『呼び捨てされる分には構わないけど、こっちから呼び捨てするのは得意じゃない』だっけ?)けど、たぶんヴィニーがスーに呼び掛けたのはいまのが初だと思うんだ。
つまり、唯一呼び捨てにしてるパックは特別……。ここの二人は運命のシンメ感あるし、パックは即刻私と相方解消してヴィニーと組むべき。アイツのボケ、オマエになら安心して任せられるからよ……。後方相方ヅラしちゃう程度には高いぜ、パックの好感度。
「待たせてごめん、スー。なんか準備してくれてた感じかな? ありがとう」
明るくて見通しのいいキッチンは台所ってより厨房って感じ。余裕で料理教室開けちゃう。ロビーや客間とは空気感が違うのは、現代的な意匠で統一されてるせいかな。
ここまで充実した設備は望まないにしても、ワンルームキッチンのあの仕様はもうちょっとどうにかならんのかとは思うよね。あのマルチタスクを端から想定してないミニミニキッチンのせいで自炊モチベが地に落ちた哀れな人々が世界に何人いる事か。私はどんなキッチンだろうといまのスタイルを崩す事はないだろうけどな。
「全然待ってないから気にするな。準備というより、材料の種類と残量の確認をしていた」
広々としたアイランド作業台の上には、製菓材料と調理器具が所狭しと並べられていた。カラースプレーなんて久々に見たけどカラフルでかわいいな。アーモンドプードルとかもあるし、さっきはああ言ってたけど少なくともこの中に一人……日常的なお菓子職人がいる。私は詳しいんだ。
「うふふ。余ってた材料でなにが作れそう?」
いいな手作りスイーツ。お金払うから定期便してほしい。平日のお昼休み頃、弊社まで届けてくれ。もちろん配送料とチップもつけるから。定期購入じゃなくてサブスクでもいい。
食べる前からなに考えてるんだろうな、私。そもそもいまから作ろうってときに。調理実習とかでも万年試食係だったからね、しょうがないね。その代わり汚れた調理器具片っ端から洗ってたから許されたい。みんな作るほうばっかやりたがって、後片付けはいい加減なんだもん。昔から他人の散らかしたあと綺麗にしてんだな私。
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