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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【9】
しおりを挟むごめん、話戻すね。ドライブ下手者もびっくりの急ハンドル!
「最高の一夜にしようね」
声に出さずにああだこうだ釈明している中、次々と同意を示す返事が集まってきたけど、みんなは一体なんの話をしてるんだろう。
特に最後、わけがわからないよ。私を置いてけぼりにしないでほしい。ただでさえストレンジャーだっていうのに。
「ヴィニーが言うとワンナイト目当てのナンパ男って感じ」
ともあれ、率直な感想を述べる余裕はある。なんてったって私の口の悪さは折り紙付きだぜ!
……って、これも自慢できる事じゃないんだけど。ほんと、憎まれ口ばっかりうまくなってさ。こんなんだからほとんど友達いないんだよ。
自滅の刃。毒の呼吸、独の型……『つむじ曲がり』!
ちょっとありそうでやだな。n番煎じでも許して。オナシャス。
ああいう必殺技とか奥義的なもの出すときってすごい滾るよね。
みんな何が好き? 私はネウロが魔界能力出すときの口上がめちゃめちゃ好き。漢字の当て方とルビも面白いし。
「カリンはパック並みに厳しいなぁ……」
困ったように笑うヴィニーに、じわじわと罪悪感が滲み出してきた。ほとんど難癖みたいなもんなんだから怒っていいのに。冗談とはいえ、ひどい事言っちゃった。
「お前の言動が危なっかしいのも悪いんじゃないか?」
「しかも、パックもカリンも他の人には優しいのにね?」
うっわぁ……。双子ちゃんもなかなか言う。やめたげてよぉ! ……って、これもどの口案件か。
そういえば、ヴィニーの元気な反論が聞こえてこない。ただのしかばねのようだ。さっきの失言と照らし合わせると、笑えないジョークかもしれないけど。
「こらこら、それ以上はかわいそうですよ」
パックが助け舟を出した。ナイス!
「そうだね。ごめんなさい」
「確かに言いすぎたな。すまなかった」
チルとスーもパックには逆らわないんだな。このふたりを双子のテンプレに当てはめて考えるのはなんか違うかもだけど。
でも、ちょうどよかった。乗るしかない、このビッグウェーブに。
「…………ごめん、私も言いすぎだった。本物のナンパ男はあんたみたいに紳士じゃないよ、ヴィニー。あいつら、所構わずベッタベタ触れてきてうざいんだよね」
パックの言っていた事は真実だと思う。ヴィニーの言い回しは軽薄そのものだけど、場を和ますためにそういうキャラを演じてるんだろうなって事は、この短時間でも痛いほどわかった。
あるじゃん。友達グループでも『他の人と立ち位置が被らないように』、『その場の狭い人間関係を円滑に進めるために』って考えて、本当は引き受けたくもない役割を演じる事を選ぶときって。
まぁヴィニーはああいう感じの軽いノリでいるのが『いちばん楽だから』そうしてるってふうに見えなくもないか。
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