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第79話 難しいですね
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道路自体は整備されているとはいえ、現代日本の道よりは、でこぼこしている。
しかし道中での馬車の振動は気にならないぐらいに小さい。
それは足回りを魔導具で補強している為であり、魔導具作りが盛んなイブライン王国だからだろう。
王族が使用する馬車には必ず付いており、レイナ達が乗っている馬車も例外ではない。
ありがたい技術だとレイナは感謝する。
車内から見た街の景色はレイナにとって新鮮だ。
ほとんどが王宮に住んでいたので外に出る事は余りなかった。
交易も盛んの様で行き交う人々も活気があり、この国の豊かさが見て取れる。
賑やかさにレイナは興奮して、「おお!」とか「わあ!」と感嘆の声を上げてしまう。
「ふっ、何だか貴女、子供みたいな人ね」
「す、すみません」
前にも同じ様な事を言われたなと思い出しつつ、年下の女の子に子供と言われたことにレイナは顔を赤らめる。
「別に謝って欲しい訳じゃないのよ。ニコラの弟子と言うからもっとこう堅物な人間なのかと思っていたわ」
エリスが思うイメージとは違っていた様だ。
「昔のニコラ様はそんなに取っ付きにくい方だったのですか?」
「そうね。ニコラは何でも器用に出来たから周りの人間の不甲斐なさが許せなかったんじゃないかしら。どこか冷めた目をしてたわ」
全属性持ちの魔法の天才と言われている人間なら周りが凡人に見えてしまうのも仕方がないのかもしれない。
只、それを自慢する様な感じではなく簡単にやってのけてしまうので周りの人間はたまったものではないだろう。
その実力を妬んだ者もいただろうし、エリスもその一人なのかもしれないとレイナは思う。
「ニコラ様もやりずらかったのでしょうね」
自分が簡単に出来る事が他の人間は出来ない。
理解出来ずに戸惑っただろう事がレイナにも分かる。
「そうかもね。まあ段々と周りに興味が無くなっていった感じかしら。でも兄達の事は尊敬していたみたいだけれど」
「認めた人間には心を開くのでしょうか?」
「そういうことでしょうね。兄達には素直に見えたわ」
確かにイーサンには反発する様な態度を見せた素振りはなかったとレイナは思う。
「でも貴女を弟子にして少し変わったのかもしれないわね。昔とは何か雰囲気が少し違う感じがしたわ」
「エリス様はニコラ様とは仲が悪いのですか?」
核心部分だがレイナは踏み込んで聞いてみる。
「さあね。あいつが私の事を良く思っていないだけじゃないかしら」
それ以降エリスは口をつぐむ。
やはり触れてはいけない部分であり、エリスにもわだかまりがあって初対面であるレイナに話す内容ではないと判断したのだろう。
街から外れて暫く街道を進む。
ここからは事前に聞いていた通り魔物がいる地域に入る。
ある程度は駆除されているらしいが全てではない。
魔物は人間を見れば襲ってくる存在。
エリスは絶対に守らなければならない、レイナは気を引き締める。
しかし道中での馬車の振動は気にならないぐらいに小さい。
それは足回りを魔導具で補強している為であり、魔導具作りが盛んなイブライン王国だからだろう。
王族が使用する馬車には必ず付いており、レイナ達が乗っている馬車も例外ではない。
ありがたい技術だとレイナは感謝する。
車内から見た街の景色はレイナにとって新鮮だ。
ほとんどが王宮に住んでいたので外に出る事は余りなかった。
交易も盛んの様で行き交う人々も活気があり、この国の豊かさが見て取れる。
賑やかさにレイナは興奮して、「おお!」とか「わあ!」と感嘆の声を上げてしまう。
「ふっ、何だか貴女、子供みたいな人ね」
「す、すみません」
前にも同じ様な事を言われたなと思い出しつつ、年下の女の子に子供と言われたことにレイナは顔を赤らめる。
「別に謝って欲しい訳じゃないのよ。ニコラの弟子と言うからもっとこう堅物な人間なのかと思っていたわ」
エリスが思うイメージとは違っていた様だ。
「昔のニコラ様はそんなに取っ付きにくい方だったのですか?」
「そうね。ニコラは何でも器用に出来たから周りの人間の不甲斐なさが許せなかったんじゃないかしら。どこか冷めた目をしてたわ」
全属性持ちの魔法の天才と言われている人間なら周りが凡人に見えてしまうのも仕方がないのかもしれない。
只、それを自慢する様な感じではなく簡単にやってのけてしまうので周りの人間はたまったものではないだろう。
その実力を妬んだ者もいただろうし、エリスもその一人なのかもしれないとレイナは思う。
「ニコラ様もやりずらかったのでしょうね」
自分が簡単に出来る事が他の人間は出来ない。
理解出来ずに戸惑っただろう事がレイナにも分かる。
「そうかもね。まあ段々と周りに興味が無くなっていった感じかしら。でも兄達の事は尊敬していたみたいだけれど」
「認めた人間には心を開くのでしょうか?」
「そういうことでしょうね。兄達には素直に見えたわ」
確かにイーサンには反発する様な態度を見せた素振りはなかったとレイナは思う。
「でも貴女を弟子にして少し変わったのかもしれないわね。昔とは何か雰囲気が少し違う感じがしたわ」
「エリス様はニコラ様とは仲が悪いのですか?」
核心部分だがレイナは踏み込んで聞いてみる。
「さあね。あいつが私の事を良く思っていないだけじゃないかしら」
それ以降エリスは口をつぐむ。
やはり触れてはいけない部分であり、エリスにもわだかまりがあって初対面であるレイナに話す内容ではないと判断したのだろう。
街から外れて暫く街道を進む。
ここからは事前に聞いていた通り魔物がいる地域に入る。
ある程度は駆除されているらしいが全てではない。
魔物は人間を見れば襲ってくる存在。
エリスは絶対に守らなければならない、レイナは気を引き締める。
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