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第72話 リベンジですね
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「その剣でどうしようって言うんだお嬢ちゃん!」
こんな声を掛けられると言う事は、やっぱり私って弱そうに見えるんだなとレイナは残念な気持ちになる。
脅しなのか盗賊はレイナに向かい剣を振り下ろす。
手加減をしているとはいえ、普段からサムエルやバレン達を相手にしていたレイナには剣筋が止まって見えてしまう。
レイナが自分の剣を合わせれば相手の剣は粉々になる。
「「「なっ!?」」」
魔力を纏っている者といない者の差なので当然の結果なのだが盗賊達は驚きの表情を見せた。
簡単に組み伏せると思っていた相手が強敵だった時、人は動きを止めてしまう。
そんな隙を見せれば今のレイナなら十分だ。
魔力により強化された体から繰り出される攻撃は相手が反応する前に武器破壊を可能とした。
剣に魔力を纏ってはいるがレイナはあえて切れ味を落としている。
もし切れ味に魔力を使っていたら盗賊は武器だけで無く、体ごと真っ二つにされていただろう。
只、魔力は纏っているので武器の破壊だけで無く腕や体の骨が砕かれるのは仕方が無い事だ。
誘い出されたとは言えレイナ達と出会ってしまった盗賊達が不幸だったと言わざるを得ない。
「ぐわっ!」
「ぎゃあ!」
勿論、やり過ぎてしまった相手にはレイナは【ヒール】を掛けている。
盗賊が憎いとは言え仮にも自分の事を聖女と呼んでくれる人間もいるので、レイナは癒しの力のアピールも忘れない。
「随分と調子に乗っているじゃないか?」
一際、がたいの良い男がレイナに声を掛けてくる。
体の周りにはうっすらと光を纏っているので魔力持ちなのだろう。
刀身まで魔力が行き届いているので、それなりの経験値を持った人物と言う事が見てとれる。
盗賊には魔力持ちはあまりいないと言う話をレイナは聞いていた。
魔力を持っていれば金を稼ぐ方法が他にあるからだ。
わざわざ人から蔑まれる盗賊になる者は少ない。
だが稀に盗賊に入る者もいる。
盗賊になれば魔力持ちは間違いなく上位幹部になる確率は高く美味しい思いを出来るからだ。
騎士団や賞金稼ぎに狙われるリスクを冒してでも奪い犯し殺す、そんな事を好んでやる人間もいると言うことなのだろう。
レイナの前に立ったこの人物もそんな男である。
「只で死ねると思うなよ!」
ドクンとレイナの心拍数は上がる。
実際にはそれ程緊張する必要もないのだが、敵意を持った魔力持ちの人間が相手というのはレイナは初めてなので力が入ってしまうのは仕方がないのかもしれない。
しかしレイナは直ぐに考えを改めた。
魔力量、魔力操作ともサムエルやニコラ両師匠に比べ圧倒的に練度が低い事を察する。
レイナと剣を交えた盗賊も実力差を感じ取った様だ。
「くそっ、女のくせに何なんだお前は!」
レイナは盗賊の攻撃を丁寧に捌いていき無力化していく。
盗賊が放って来た炎の魔法を交わして懐に潜り込み一撃を喰らわせる。
「【吸収】!」
「ぐはっ!」
魔力で強化された掌底を盗賊の腹に叩き込むのと同時にレイナは【吸収】を唱えた。
「くそが! な、何だ、魔法が発動しない!?」
やはりとレイナは思う。
兄から【鑑定】スキルを得た時には半信半疑だったが【吸収】でスキルが奪えるのだと言う事をレイナは確信した。
「何なんだ、お前はああ!」
仮にも盗賊の長として盗賊達を仕切ってきた人物が、年端もいかない少女に手も足も出ない現実。
盗賊は結局、レイナに一撃も与える事なく地面に平伏す事となる。
「!?」
その時、レイナは視界の端で光を捕えた。
こんな声を掛けられると言う事は、やっぱり私って弱そうに見えるんだなとレイナは残念な気持ちになる。
脅しなのか盗賊はレイナに向かい剣を振り下ろす。
手加減をしているとはいえ、普段からサムエルやバレン達を相手にしていたレイナには剣筋が止まって見えてしまう。
レイナが自分の剣を合わせれば相手の剣は粉々になる。
「「「なっ!?」」」
魔力を纏っている者といない者の差なので当然の結果なのだが盗賊達は驚きの表情を見せた。
簡単に組み伏せると思っていた相手が強敵だった時、人は動きを止めてしまう。
そんな隙を見せれば今のレイナなら十分だ。
魔力により強化された体から繰り出される攻撃は相手が反応する前に武器破壊を可能とした。
剣に魔力を纏ってはいるがレイナはあえて切れ味を落としている。
もし切れ味に魔力を使っていたら盗賊は武器だけで無く、体ごと真っ二つにされていただろう。
只、魔力は纏っているので武器の破壊だけで無く腕や体の骨が砕かれるのは仕方が無い事だ。
誘い出されたとは言えレイナ達と出会ってしまった盗賊達が不幸だったと言わざるを得ない。
「ぐわっ!」
「ぎゃあ!」
勿論、やり過ぎてしまった相手にはレイナは【ヒール】を掛けている。
盗賊が憎いとは言え仮にも自分の事を聖女と呼んでくれる人間もいるので、レイナは癒しの力のアピールも忘れない。
「随分と調子に乗っているじゃないか?」
一際、がたいの良い男がレイナに声を掛けてくる。
体の周りにはうっすらと光を纏っているので魔力持ちなのだろう。
刀身まで魔力が行き届いているので、それなりの経験値を持った人物と言う事が見てとれる。
盗賊には魔力持ちはあまりいないと言う話をレイナは聞いていた。
魔力を持っていれば金を稼ぐ方法が他にあるからだ。
わざわざ人から蔑まれる盗賊になる者は少ない。
だが稀に盗賊に入る者もいる。
盗賊になれば魔力持ちは間違いなく上位幹部になる確率は高く美味しい思いを出来るからだ。
騎士団や賞金稼ぎに狙われるリスクを冒してでも奪い犯し殺す、そんな事を好んでやる人間もいると言うことなのだろう。
レイナの前に立ったこの人物もそんな男である。
「只で死ねると思うなよ!」
ドクンとレイナの心拍数は上がる。
実際にはそれ程緊張する必要もないのだが、敵意を持った魔力持ちの人間が相手というのはレイナは初めてなので力が入ってしまうのは仕方がないのかもしれない。
しかしレイナは直ぐに考えを改めた。
魔力量、魔力操作ともサムエルやニコラ両師匠に比べ圧倒的に練度が低い事を察する。
レイナと剣を交えた盗賊も実力差を感じ取った様だ。
「くそっ、女のくせに何なんだお前は!」
レイナは盗賊の攻撃を丁寧に捌いていき無力化していく。
盗賊が放って来た炎の魔法を交わして懐に潜り込み一撃を喰らわせる。
「【吸収】!」
「ぐはっ!」
魔力で強化された掌底を盗賊の腹に叩き込むのと同時にレイナは【吸収】を唱えた。
「くそが! な、何だ、魔法が発動しない!?」
やはりとレイナは思う。
兄から【鑑定】スキルを得た時には半信半疑だったが【吸収】でスキルが奪えるのだと言う事をレイナは確信した。
「何なんだ、お前はああ!」
仮にも盗賊の長として盗賊達を仕切ってきた人物が、年端もいかない少女に手も足も出ない現実。
盗賊は結局、レイナに一撃も与える事なく地面に平伏す事となる。
「!?」
その時、レイナは視界の端で光を捕えた。
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