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第63話 実戦投入ですね
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「私が作った薬草から回復薬が出来たと聞いたのですが」
「ああ、耳が早いね。先日完成したよ」
レイナがイーサンに確認したところ、バレンの情報通り回復薬は完成しており検査された結果、品質に問題無しと出たらしい。
しかし別な問題が発生してレイナには報告が遅れていた様だ。
「何かあったの?」
「ああ。レイナが作った薬草だが作る時に何か前と違う事をしなかったか?」
「えっ!」
明らかにイーサンの様子がおかしいのでレイナは自分に落ち度があったのかと考える。
作る時にやった事と言えば魔力を与えたぐらいだが、まさかそれで問題が起こったのだろうか。
収穫した薬草は少し緑が濃くて生き生きとしていたが他の物と比べて若干というぐらいの変化なのでレイナは気にしていなかった。
「す、少し魔力を込めたかな?」
「何で疑問形なんだ」
目が泳ぐレイナにイーサンはため息をつく。
「なるほどな。それが原因か」
「何かあったのかな?」
恐る恐るレイナは聞く。
「また新しい回復薬が出来てしまったんだよ」
「新しい?」
「ああ、赤い回復薬だ」
どうやらまたこの世界には無い色の回復薬が出来てしまった様で調薬室では騒ぎになったらしい。
レイナが来てからの短い間に新種の回復薬が立て続けに作製される事で、薬草栽培者本人を連れてきてくれとイーサンに懇願する者が出てきてしまい何とか止めている状態との事。
それほどレイナが作った薬草には価値が有り、この世界の常識を壊しつつある。
レイナが何となく作った物が原因であるのだが、本人は特に凄い物を作ろうという意識は無かった。
魔力を込めたらどうなるのかなぐらいの気持ち程度だ。
「ちなみに赤い回復薬はどんな効果があるの?」
「これを見てくれ」
イーサンはレイナに紙を渡す。
そこにはこう書かれていた。
赤色:最上級複合薬。最上級回復薬と最上級魔力回復薬の効果を併せ持つ。
「七色の回復薬を超えた物が出来たって事だよ」
「す、凄い! また複合薬なんですね」
「これは今までにない凄まじい効果だ」
「ピンクの上位版みたい。色は赤いのね?」
「ああ、レイナの瞳と同じ色だな」
何か意味があるのかも知れないと示唆するイーサン。
レイナとしてはよく分かっていないが、赤い瞳の自分が作った物が最上級品であるというのは嬉しいし、色が同じなのもオリジナルカラーみたいでいいなとレイナは思う。
「これって人に使っても大丈夫なのかな?」
「ああ、ピンク色の回復薬と同じで検査結果は問題なしと出ている」
この事実を知った国がレイナをこの国に留めておきたいと考えるのが普通だろう。
今はイーサンに一任されているが、レイナへの監視の目が厳しくなるのは間違いない。
「薄めて使うとかどうなのかな?」
「それも検討されたんだが出来た数が少ないので今回は検証をしない方向だ」
「そうなんだ」
「第二騎士団の遠征に携帯させる事が決まったよ」
レイナはバレンと話した時に感じた不安を思い出しイーサンに伝える。
「言葉には表しにくいのだけれどバレン様に遠征の話を聞いた時に胸の奥が苦しくなった感覚があったの」
「そうか。勘みたいなもの……予感と言った方がいいのか」
「うん、曖昧で申し訳ないのだけれど」
「いや、話してくれてありがとう。第二騎士団とバレンには警戒するよう伝えておくよ」
危険な遠征に行くのだから警戒し過ぎるぐらいが丁度いいだろう。
レイナはイーサンに話す事により肩の荷が少し降りた気がした。
「ああ、耳が早いね。先日完成したよ」
レイナがイーサンに確認したところ、バレンの情報通り回復薬は完成しており検査された結果、品質に問題無しと出たらしい。
しかし別な問題が発生してレイナには報告が遅れていた様だ。
「何かあったの?」
「ああ。レイナが作った薬草だが作る時に何か前と違う事をしなかったか?」
「えっ!」
明らかにイーサンの様子がおかしいのでレイナは自分に落ち度があったのかと考える。
作る時にやった事と言えば魔力を与えたぐらいだが、まさかそれで問題が起こったのだろうか。
収穫した薬草は少し緑が濃くて生き生きとしていたが他の物と比べて若干というぐらいの変化なのでレイナは気にしていなかった。
「す、少し魔力を込めたかな?」
「何で疑問形なんだ」
目が泳ぐレイナにイーサンはため息をつく。
「なるほどな。それが原因か」
「何かあったのかな?」
恐る恐るレイナは聞く。
「また新しい回復薬が出来てしまったんだよ」
「新しい?」
「ああ、赤い回復薬だ」
どうやらまたこの世界には無い色の回復薬が出来てしまった様で調薬室では騒ぎになったらしい。
レイナが来てからの短い間に新種の回復薬が立て続けに作製される事で、薬草栽培者本人を連れてきてくれとイーサンに懇願する者が出てきてしまい何とか止めている状態との事。
それほどレイナが作った薬草には価値が有り、この世界の常識を壊しつつある。
レイナが何となく作った物が原因であるのだが、本人は特に凄い物を作ろうという意識は無かった。
魔力を込めたらどうなるのかなぐらいの気持ち程度だ。
「ちなみに赤い回復薬はどんな効果があるの?」
「これを見てくれ」
イーサンはレイナに紙を渡す。
そこにはこう書かれていた。
赤色:最上級複合薬。最上級回復薬と最上級魔力回復薬の効果を併せ持つ。
「七色の回復薬を超えた物が出来たって事だよ」
「す、凄い! また複合薬なんですね」
「これは今までにない凄まじい効果だ」
「ピンクの上位版みたい。色は赤いのね?」
「ああ、レイナの瞳と同じ色だな」
何か意味があるのかも知れないと示唆するイーサン。
レイナとしてはよく分かっていないが、赤い瞳の自分が作った物が最上級品であるというのは嬉しいし、色が同じなのもオリジナルカラーみたいでいいなとレイナは思う。
「これって人に使っても大丈夫なのかな?」
「ああ、ピンク色の回復薬と同じで検査結果は問題なしと出ている」
この事実を知った国がレイナをこの国に留めておきたいと考えるのが普通だろう。
今はイーサンに一任されているが、レイナへの監視の目が厳しくなるのは間違いない。
「薄めて使うとかどうなのかな?」
「それも検討されたんだが出来た数が少ないので今回は検証をしない方向だ」
「そうなんだ」
「第二騎士団の遠征に携帯させる事が決まったよ」
レイナはバレンと話した時に感じた不安を思い出しイーサンに伝える。
「言葉には表しにくいのだけれどバレン様に遠征の話を聞いた時に胸の奥が苦しくなった感覚があったの」
「そうか。勘みたいなもの……予感と言った方がいいのか」
「うん、曖昧で申し訳ないのだけれど」
「いや、話してくれてありがとう。第二騎士団とバレンには警戒するよう伝えておくよ」
危険な遠征に行くのだから警戒し過ぎるぐらいが丁度いいだろう。
レイナはイーサンに話す事により肩の荷が少し降りた気がした。
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