51 / 92
第50話 帰宅ですね
しおりを挟む
レイナとクリスティーナはそれから色々な話をした。
その中で第二王子であるバレンの話も出る。
イーサンも言っていたがクリスティーナが好きなのはバレンという事が彼女の口から聞けたので本当だということをレイナは知った。
バレンの事を話すクリスティーナは可愛らしく、いつもは隙のない印象である彼女が顔を赤くして話す姿は新鮮で、レイナは思わず抱きしめたくなる。
本当にバレンの事が好きなんだなとレイナは上手くいって欲しいと願う。
レイナは数日間、アルティアーク家に泊まる事になった。
倒れたという事もあるが、シールズの体調が気になったというのが一番の理由だ。
定期的に鑑定をかけ問題がない事をレイナは確認する。
イーサンと護衛のラウルは一足先に王宮に戻った。
今回の主犯者を見つける事と公務が理由だ。
第一王子であるイーサンのやる事は多い。
イーサンとしてはレイナの側にいたかったのだが、そうも言っておられず泣く泣く戻ったというのが正直なところだ。
しかしレイナの体調がもっと悪ければ公務を放り出してでも側にいた可能性が高い。
今回もラウルがなだめてようやく嫌々ながらも承諾したので、仕える周りの者達は大変だ。
シールズの容体も安定したという事でレイナも王宮へ帰る事になった。
解呪による影響はない様だ。
護衛付きの馬車が迎えに来たのでレイナはそれに乗っていく。
アルティアーク公爵も見送りに来ており、感謝の言葉といつでも遊びに来てくれ構わないという約束をレイナは得る。
「レイナまた茶色に戻したのね?」
「ええ。やっぱり銀髪は目立ち過ぎるので。でも茶色も結構気に入っているんですよ」
認識阻害のブレスレットは壊れてしまったので、レイナは兄から貰ったネックレスで変装している。
これはイーサンから頼まれた影がレイナに送り届けた物だ。
これを渡された時のレイナは大層驚いた。
レイナが部屋にいると突然声を掛けられ振り向くも誰の姿も見えない。
「だ、誰?」
気配と声はするがレイナは姿を捉えられない。
「イーサン様の影でございます」
すると手品の様にテーブルにケースが現れる。
突然の事に驚くもレイナは問う。
「これは何ですか?」
「イーサン様が修理しましたネックレスでごさいます」
「ああ、さすがイーサンね!」
ブレスレットが壊れたのでレイナが困ると思いイーサンが用意した。
元々は兄から貰ったネックレスであり魔法の訓練の際にニコラに破壊された物だ。
以前にレイナはイーサンに修理を依頼していた。
それを届けてくれたのだろう。
これを素直に受け取って良いものかと、レイナは差し出した手を止める。
見方を変えれば姿を見せない怪しい人物の言うことを信じて、怪しい箱を開けるだろうか?
普通なら躊躇うのも当然でありレイナも逡巡する。
しかしレイナは箱を取る事にした。
ここが公爵家であり影と名乗った人物がイーサンとネックレスの事を知っていた事実がレイナに判断させる。
決定的だったのは自分を騙しても得する人間などいないだろうという思いがレイナに行動させた。
この考えは今や微妙になっている事を本人は認識していない。
見目麗しい事もそうだが、チート級の能力を有している事が世間に認知されれば、争奪戦が繰り広げられるのは間違いない。
婚姻を結ぶか誘拐をしてでも自分のものにしたいと考える人間はいるだろう。
ただその事をレイナが気がつくのはまだ少し先の話になる。
「では、クリス様お邪魔しました」
「ええ、今回は本当にありがとう。今度は遊びにいらしてくださいねレイナ。わたくしも王宮に顔を出すわ」
「はい。待っています」
最後にシールズがレイナに話しかける。
「レイナさん今回はありがとうございました」
「いえ、元気になられて良かったです。もう大丈夫そうですね」
「はい。【白銀の聖女】様のお陰でございます」
「は、【白銀の聖女】って何ですか!」
驚いたレイナだったが勝手にレイナに二つ名を付けた張本人は何も言わず恭しく頭を下るのみだ。
レイナはアルティアークの人々に見送られ王宮へと戻る。
その中で第二王子であるバレンの話も出る。
イーサンも言っていたがクリスティーナが好きなのはバレンという事が彼女の口から聞けたので本当だということをレイナは知った。
バレンの事を話すクリスティーナは可愛らしく、いつもは隙のない印象である彼女が顔を赤くして話す姿は新鮮で、レイナは思わず抱きしめたくなる。
本当にバレンの事が好きなんだなとレイナは上手くいって欲しいと願う。
レイナは数日間、アルティアーク家に泊まる事になった。
倒れたという事もあるが、シールズの体調が気になったというのが一番の理由だ。
定期的に鑑定をかけ問題がない事をレイナは確認する。
イーサンと護衛のラウルは一足先に王宮に戻った。
今回の主犯者を見つける事と公務が理由だ。
第一王子であるイーサンのやる事は多い。
イーサンとしてはレイナの側にいたかったのだが、そうも言っておられず泣く泣く戻ったというのが正直なところだ。
しかしレイナの体調がもっと悪ければ公務を放り出してでも側にいた可能性が高い。
今回もラウルがなだめてようやく嫌々ながらも承諾したので、仕える周りの者達は大変だ。
シールズの容体も安定したという事でレイナも王宮へ帰る事になった。
解呪による影響はない様だ。
護衛付きの馬車が迎えに来たのでレイナはそれに乗っていく。
アルティアーク公爵も見送りに来ており、感謝の言葉といつでも遊びに来てくれ構わないという約束をレイナは得る。
「レイナまた茶色に戻したのね?」
「ええ。やっぱり銀髪は目立ち過ぎるので。でも茶色も結構気に入っているんですよ」
認識阻害のブレスレットは壊れてしまったので、レイナは兄から貰ったネックレスで変装している。
これはイーサンから頼まれた影がレイナに送り届けた物だ。
これを渡された時のレイナは大層驚いた。
レイナが部屋にいると突然声を掛けられ振り向くも誰の姿も見えない。
「だ、誰?」
気配と声はするがレイナは姿を捉えられない。
「イーサン様の影でございます」
すると手品の様にテーブルにケースが現れる。
突然の事に驚くもレイナは問う。
「これは何ですか?」
「イーサン様が修理しましたネックレスでごさいます」
「ああ、さすがイーサンね!」
ブレスレットが壊れたのでレイナが困ると思いイーサンが用意した。
元々は兄から貰ったネックレスであり魔法の訓練の際にニコラに破壊された物だ。
以前にレイナはイーサンに修理を依頼していた。
それを届けてくれたのだろう。
これを素直に受け取って良いものかと、レイナは差し出した手を止める。
見方を変えれば姿を見せない怪しい人物の言うことを信じて、怪しい箱を開けるだろうか?
普通なら躊躇うのも当然でありレイナも逡巡する。
しかしレイナは箱を取る事にした。
ここが公爵家であり影と名乗った人物がイーサンとネックレスの事を知っていた事実がレイナに判断させる。
決定的だったのは自分を騙しても得する人間などいないだろうという思いがレイナに行動させた。
この考えは今や微妙になっている事を本人は認識していない。
見目麗しい事もそうだが、チート級の能力を有している事が世間に認知されれば、争奪戦が繰り広げられるのは間違いない。
婚姻を結ぶか誘拐をしてでも自分のものにしたいと考える人間はいるだろう。
ただその事をレイナが気がつくのはまだ少し先の話になる。
「では、クリス様お邪魔しました」
「ええ、今回は本当にありがとう。今度は遊びにいらしてくださいねレイナ。わたくしも王宮に顔を出すわ」
「はい。待っています」
最後にシールズがレイナに話しかける。
「レイナさん今回はありがとうございました」
「いえ、元気になられて良かったです。もう大丈夫そうですね」
「はい。【白銀の聖女】様のお陰でございます」
「は、【白銀の聖女】って何ですか!」
驚いたレイナだったが勝手にレイナに二つ名を付けた張本人は何も言わず恭しく頭を下るのみだ。
レイナはアルティアークの人々に見送られ王宮へと戻る。
11
お気に入りに追加
3,301
あなたにおすすめの小説
精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが
天色茜
ファンタジー
普通の女子高校生、朝野明莉沙(あさのありさ)は、ある日突然異世界召喚され、勇者として戦ってくれといわれる。
だが、同じく異世界召喚された他の二人との差別的な扱いに怒りを覚える。その上冤罪にされ、魔物に襲われた際にも誰も手を差し伸べてくれず、崖から転落してしまう。
その後、自分の異常な体質に気づき...!?
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた
つくも
ファンタジー
「闘えもしない外れスキルを授かった貴様など必要ない! 出て行け! グラン!」
剣聖の家系に生まれた少年グランは15歳のスキル継承の儀の際に非戦闘用の外れスキルである【建築】(ビルド)を授かった。
対する義弟は当たりスキルである『剣神』を授かる。
グランは実父に用無しの無能として実家を追放される事になる。辺境に追いやられ、グランはそこで【建築】スキルを利用し、家作りを始める。家作りに没頭するグランは【建築】スキルが外れスキルなどではなく、とんでもない可能性を秘めている事に気づく。
【建築】スキルでどんどん辺境を開拓するグラン。
気づいたら魔王城よりもすごい、世界最強の帝国ができあがる。
そして、グランは家にいたまま、魔王を倒した英雄として、世界中にその名を轟かせる事となる。
今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~
ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」
聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。
その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。
ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。
王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。
「では、そう仰るならそう致しましょう」
だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。
言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、
森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。
これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる