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第47話 完治ですね
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悪い部分を追い出しながら吸収、処理する。
そんな相反する工程をレイナは一度に行っていく。
器用と言えば器用なのだが【拒絶と吸収】という二つが合わさった能力が、それを可能としている。
【拒絶と吸収】は魔力を使用して発動する。
魔力の干渉を受けないこの能力が、魔力由来である矛盾。
レイナは気付いていないが、この能力は世界の理を逸脱している。
その事が今回の呪いの対処を成功に導く。
最後の足掻きか黒もやはシールズに絡みつき必死に離れない様にしている様だ。
ただ、押し出された側から吸収されているので段々細くなりついには全てが消えた。
シュンと言う音と共に黒いもやを全てを封印、能力の発動が止まったのを確認するとレイナは口を開く。
「成功です!!」
「「「おおお!!」」」
【鑑定】の結果も問題なくシールズは正常と出ている。
レイナが同時に使用していた回復魔法が功を奏した様であり、シールズは目を見開く。
あれだけ苦しかったのが嘘の様だ。
クリスティーナとアルティアーク公爵は駆け寄りシールズの復活を祝う。
寝たきりだった彼が自ら体を起こせるまでになった。
クリスティーナはシールズの手を取り嬉しさの余り涙を流す。
公爵も目に涙を浮かべ安堵する。
「良かった」
この光景が見られただけでもやって良かったとレイナは思う。
「レイナお疲れ様。よくやったな」
「うん、ありがとうイーサン。上手くいって良かったわ」
「レイナ殿ありがとうございました。おかげで息子は助かりました。本当に感謝いたします!」
「レイナさん、ありがとう。弟を助けてくれて本当にありがとう!」
クリスティーナ達の家族の笑顔も見れたのでレイナは治療出来て良かったと心から思う。
「シールズさん、どこか変なところはありますか?」
「いえ、すっかり良くなった感じです。信じられません」
ベッドから立ち上がったシールズは体を確かめる様に動かす。
呪いによる毒が身体から抜けて体力も回復した様だ。
レイナはホッと息を付く。
「ありがとうございますレイナさん、この御恩は忘れません」
シールズもレイナに感謝を述べる。
目には光も戻り力強く、あの弱々しかった人物とは思えない回復ぶりだ。
ただレイナにも初めての事なので完治したのかという不安はある。
「まだ病み上がりですので無理はしないでください。これから定期的に確認させていただきますね」
呪いという物騒な力で脅かされていたシールズの体はこれから何があるか分からない。
ある程度は予後の観察が必要だとレイナは考えている。
「でもレイナさんそれが本当の髪色と瞳の色なのですね?」
「ええ、そうなんです。魔導具で隠していたのですが壊れてしまいました」
魔力でガードしても【拒絶と吸収】の能力を使えば壊れてしまう事が分かった。
使う度にダメにしていたら埒が明かない。
どうしたものかとレイナは頭を抱える。
「イーサンごめんね。借りてた魔導具壊してしまって」
「いや、気にするな。魔導具はまた作ればいい。それよりシールズが良くなった事を喜ぼう」
「ふふ、ありがとう」
イーサンの優しさにレイナは癒される。
「!?」
「おっと大丈夫かレイナ!」
「ご、ごめん。ちょっとめまいがして……」
ふらつくレイナをイーサンは支える。
「レイナさん顔色が悪いわ!」
「あれだけの能力を使った後だからな。体に負担がかかったのかもしれない」
イーサンの見立て通りレイナは能力使用により体にダメージを負った。
本来であれば回復できない程の負荷が体に蓄積されるはずだが、今までの魔力循環の修行により耐えることが出来るベースがレイナにはあった。
日ごろの訓練の成果がここで発揮された事をレイナ達は知らない。
でなければ命まで脅かす危うい所だったと言うのが真実だ。
「とにかく客室のベッドで休ませましょう!!」
レイナは休眠に入る。
そんな相反する工程をレイナは一度に行っていく。
器用と言えば器用なのだが【拒絶と吸収】という二つが合わさった能力が、それを可能としている。
【拒絶と吸収】は魔力を使用して発動する。
魔力の干渉を受けないこの能力が、魔力由来である矛盾。
レイナは気付いていないが、この能力は世界の理を逸脱している。
その事が今回の呪いの対処を成功に導く。
最後の足掻きか黒もやはシールズに絡みつき必死に離れない様にしている様だ。
ただ、押し出された側から吸収されているので段々細くなりついには全てが消えた。
シュンと言う音と共に黒いもやを全てを封印、能力の発動が止まったのを確認するとレイナは口を開く。
「成功です!!」
「「「おおお!!」」」
【鑑定】の結果も問題なくシールズは正常と出ている。
レイナが同時に使用していた回復魔法が功を奏した様であり、シールズは目を見開く。
あれだけ苦しかったのが嘘の様だ。
クリスティーナとアルティアーク公爵は駆け寄りシールズの復活を祝う。
寝たきりだった彼が自ら体を起こせるまでになった。
クリスティーナはシールズの手を取り嬉しさの余り涙を流す。
公爵も目に涙を浮かべ安堵する。
「良かった」
この光景が見られただけでもやって良かったとレイナは思う。
「レイナお疲れ様。よくやったな」
「うん、ありがとうイーサン。上手くいって良かったわ」
「レイナ殿ありがとうございました。おかげで息子は助かりました。本当に感謝いたします!」
「レイナさん、ありがとう。弟を助けてくれて本当にありがとう!」
クリスティーナ達の家族の笑顔も見れたのでレイナは治療出来て良かったと心から思う。
「シールズさん、どこか変なところはありますか?」
「いえ、すっかり良くなった感じです。信じられません」
ベッドから立ち上がったシールズは体を確かめる様に動かす。
呪いによる毒が身体から抜けて体力も回復した様だ。
レイナはホッと息を付く。
「ありがとうございますレイナさん、この御恩は忘れません」
シールズもレイナに感謝を述べる。
目には光も戻り力強く、あの弱々しかった人物とは思えない回復ぶりだ。
ただレイナにも初めての事なので完治したのかという不安はある。
「まだ病み上がりですので無理はしないでください。これから定期的に確認させていただきますね」
呪いという物騒な力で脅かされていたシールズの体はこれから何があるか分からない。
ある程度は予後の観察が必要だとレイナは考えている。
「でもレイナさんそれが本当の髪色と瞳の色なのですね?」
「ええ、そうなんです。魔導具で隠していたのですが壊れてしまいました」
魔力でガードしても【拒絶と吸収】の能力を使えば壊れてしまう事が分かった。
使う度にダメにしていたら埒が明かない。
どうしたものかとレイナは頭を抱える。
「イーサンごめんね。借りてた魔導具壊してしまって」
「いや、気にするな。魔導具はまた作ればいい。それよりシールズが良くなった事を喜ぼう」
「ふふ、ありがとう」
イーサンの優しさにレイナは癒される。
「!?」
「おっと大丈夫かレイナ!」
「ご、ごめん。ちょっとめまいがして……」
ふらつくレイナをイーサンは支える。
「レイナさん顔色が悪いわ!」
「あれだけの能力を使った後だからな。体に負担がかかったのかもしれない」
イーサンの見立て通りレイナは能力使用により体にダメージを負った。
本来であれば回復できない程の負荷が体に蓄積されるはずだが、今までの魔力循環の修行により耐えることが出来るベースがレイナにはあった。
日ごろの訓練の成果がここで発揮された事をレイナ達は知らない。
でなければ命まで脅かす危うい所だったと言うのが真実だ。
「とにかく客室のベッドで休ませましょう!!」
レイナは休眠に入る。
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