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25 薔薇を君に
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それから、魔術騎士団の活躍により、違法呪術具を販売していた鞄店と、呪術具を密輸していた売人が逮捕された。
違法呪術具も全て押収されたのだった。
「おまじないチャームの数個に一つの割合で本物の呪術具を混ぜていたらしい。グレイスも知っての通り、かなり強力な呪術具だからな。中には短期的にはいい影響が出ている者もいたらしい。その口コミで、おまじないチャームの鞄は知る人ぞ知る人気の品だったようだな」
レオン曰く、親が決めた婚約者が嫌で自殺をしようとした令嬢も、『真実の愛を求める』という行動を取る呪術具の仕業だったそうだ。
親が決めたのは真実の愛ではないために死のうとするということらしい。
私とレオンは、おまじないチャームの鞄を購入したリストから、呪術の影響にある人を探し出し、無効化する仕事を引き受けていた。
「娘は何度止めても自殺をしようとして……今は縛っているのですが、食べ物も口にせず、このままでは……」
鞄の購入者の両親も、今にも倒れそうな青い顔をしている。
「早く助けてあげましょう!」
「彼女が最近購入した鞄があると思うのですが」
「は、はい。こちらです」
ベッドに寝かされた令嬢の呻き声が聞こえる。縛られているのに、自殺しようとして暴れているのだ。
縛られた手首が擦れて真っ赤になっていて痛々しい。
──すぐに助けてあげるから!
私は彼女を救うべく、おまじないチャームに触れた。すぐに発熱して体がだるくなるが、その手のひらをレオンにぎゅっと握ってもらった。
前と同じく火花が散り、私の体内に入ってきた呪力が消えて、体が楽になる。
「……グレイス、大丈夫か?」
「平気よ。あのお嬢さんは……」
ロベリアの時と同じく、ベッドに縛られていた令嬢の目に光が戻っている。もう暴れる様子もない。
「あ、ありがとうございます!」
両親は令嬢を抱きしめて目を真っ赤にしていた。
「体が弱っているでしょうから、お医者さんに診せてくださいね」
もうすでに何軒か周り、これで購入者リストも最後だった。
私はふうと息を吐く。加護のおかげで呪術の影響はないが、熱が出たり下がったりするのでどうしても疲れてしまう。
レオンは私をずっと支え続けてくれていた。
「グレイス、疲れただろう。今日はこれでおしまいなんだが……これから少し時間あるか?」
「ええ、大丈夫よ」
レオンにエスコートされ、やってきたのはレオンの実家であるオルブライト公爵家所有の屋敷だった。
「実は、庭を見て欲しくて」
「お庭?」
連れてこられた庭を見て、私は息を呑んだ。
「わあ……!」
庭園に一面の薔薇の花が咲き乱れていた。
私の好きな濃いピンクの薔薇の花。その光景は夢のように美しい。
「これ……」
「子供の頃はごめん。グレイスが大好きな薔薇の花で花吹雪をしてやったら喜ぶと思って、花びらを全部むしってしまって……謝ってすむとは思ってない。だから、せめてものお詫びに、この庭園に薔薇を植えたんだ」
「植えたって……もしかして」
レオンは恥ずかしそうに頷く。
「俺が植えた。まあ、庭師にも手伝ってもらっているけど。何年もかけてやっと綺麗に咲くようになったから、グレイスに見せたかったんだ」
「じゃあ、もしかして、週末に仕事が入らなかったらこれを見せてくれる予定だったの?」
「ああ。もう少しで散り始めるから、間に合ってよかったよ」
風が吹くと、薔薇がそよいで花びらがちらほらと飛んでいくのが見えた。
「綺麗……」
「喜んでもらえたなら嬉しいよ」
胸がじんわりと熱くなる。私は胸の前で手を握った。
「ねえ、来週も来てもいい? きっとね、レオンが子供の頃私に見せたかった花吹雪が見られると思うの」
「ああ……ああ、もちろん!」
レオンは私を後ろから抱き寄せた。
抱きしめられ、背中が温かい。そして、それ以上に顔が熱く、胸が激しく高鳴っている。
「レオン、魔力過多症って子供の頃からなのよね?」
「そうだ」
「それで、肉体強化を無意識にしてたんでしょう。……じゃあ、子供の頃、私を倒れるまで連れ回したり、木に登らせたのも……」
「……言い訳にしかならないが、俺はそれが普通で、他の子もみんなそれくらい出来ると思っていたんだ。グレイスに無理をさせて倒れさせたり、怖がらせたりするつもりはなかった」
「……そうなのね」
今までなら信じられないと言って終わりだった事柄も、すんなりと心の中に入ってくるかのようだった。
「じゃあ、虫や蛙は?」
「虫は、綺麗な木の実をグレイスにあげようと思って……ハンカチに包んでおいたら虫が湧いてしまったんだ。正直、俺もびっくりした。蛙は、とても珍しい幸運を呼ぶ青い蛙だったから、グレイスにどうしても見せたくて……」
しどろもどろにそう話すレオンに、私はクスクス笑った。
「ふふ、おかしい! でも、私もレオンを避けちゃって、すぐ泣いたりしてたものね……」
「いや、無理もない。誤解させたのは俺のせいだ。ずっと怖がらせてごめん……」
あれもこれも、思い出せることは誤解ばかりだった。
「じゃあ、レオンをいじめっ子だって私はずっと思っていたけど、全部誤解だったのね」
私は俯く。
背中から抱きしめるレオンは今どんな顔をしているのだろうか。
長い間の間違いを、レオンは許してくれるだろうか。
「レオン……ずっと無視して、避けててごめんなさい」
涙がじわっと浮かぶ。
今までずっと誤解とはいえ、私こそレオンに酷いことをしてきた。
「……ねえ、私のこと嫌いになる?」
それとも、もう遅すぎる?
背後から抱きしめてくるレオンの腕の力がぎゅっと強まった。
「嫌いになるわけない。俺はグレイスと一番最初に会った時から、ずっと君が好きなんだから」
「よかった……あのね、私……」
レオンが好き──そう言おうと首を捻ってレオンを見上げた。
レオンの宝石みたいに綺麗な瞳と目があった。
と、途端にレオンが真っ赤になった。
「……でも、こうして涙目のグレイスを見たらグッときてしまった」
「えっ……なぁに?」
「グレイスの困った顔も泣きそうな顔も、全部が可愛くてたまらない。ガブッと噛み付いてそのまま食べたくなる」
耳元でそう囁かれ、私はゾッと鳥肌が立った。
──噛み付かれる……ガブッて!?
「や、やだ、離して……」
「だーめ」
「やだぁ……」
レオンの腕の中はまるで檻のようで、もがいても抜け出せない。
体格だって全然違う。しかもレオンは鍛えてる上に、魔力過多症で肉体強化だって出来る。
私には敵いっこない。
「レ、レオン……」
「じょ、冗談だ。泣かないでくれ」
ガチ泣き三秒前にレオンはようやく離してくれたけれど、やっぱり怖い。
油断したらガブッと噛まれてしまうかもしれない。
「グレイス……怒ったのか?」
「お、怒った! 婚約破棄してもらうんだからぁ!」
「おい、グレイスってば」
ガチ泣き三秒前の私はレオンの胸元をポカポカ叩いた。まったく効いていないけれど。
「私、ぜーったいレオンを嫌いにさせてやるんだから。あの時の約束はまだ有効だもの!」
約束の期間は結婚するまで。今回の事件でちょっと有耶無耶になりかけていたけれど、なかったことにはさせない。
「レオンに婚約破棄させてみせるんだから!」
私のそんな決意表明に、レオンはやれやれとばかりに肩をすくめた。
「俺はグレイスのことが大好きだから、嫌いにさせるのは相当に難易度高いぞ」
「の、望むところよ!」
私はレオンに指を突きつけた。
レオンは面白いものを見る目で私を見つめる。
胸はドキドキで、私はレオンのことが好き。けれど油断してはいけない。レオンはライオンだ。ウサギみたいなひ弱な私なんて一噛みだもの。レオンのおもちゃになるわけにはいかないのだ。
勝負のゴングが鳴る代わりに、風が吹き抜けて薔薇の花びらが舞い上がる。
「それじゃあ次は週末に」
レオンは私の手を取って軽くキスをした。
──私とレオンの勝負はまだまだ続きそうだった。
違法呪術具も全て押収されたのだった。
「おまじないチャームの数個に一つの割合で本物の呪術具を混ぜていたらしい。グレイスも知っての通り、かなり強力な呪術具だからな。中には短期的にはいい影響が出ている者もいたらしい。その口コミで、おまじないチャームの鞄は知る人ぞ知る人気の品だったようだな」
レオン曰く、親が決めた婚約者が嫌で自殺をしようとした令嬢も、『真実の愛を求める』という行動を取る呪術具の仕業だったそうだ。
親が決めたのは真実の愛ではないために死のうとするということらしい。
私とレオンは、おまじないチャームの鞄を購入したリストから、呪術の影響にある人を探し出し、無効化する仕事を引き受けていた。
「娘は何度止めても自殺をしようとして……今は縛っているのですが、食べ物も口にせず、このままでは……」
鞄の購入者の両親も、今にも倒れそうな青い顔をしている。
「早く助けてあげましょう!」
「彼女が最近購入した鞄があると思うのですが」
「は、はい。こちらです」
ベッドに寝かされた令嬢の呻き声が聞こえる。縛られているのに、自殺しようとして暴れているのだ。
縛られた手首が擦れて真っ赤になっていて痛々しい。
──すぐに助けてあげるから!
私は彼女を救うべく、おまじないチャームに触れた。すぐに発熱して体がだるくなるが、その手のひらをレオンにぎゅっと握ってもらった。
前と同じく火花が散り、私の体内に入ってきた呪力が消えて、体が楽になる。
「……グレイス、大丈夫か?」
「平気よ。あのお嬢さんは……」
ロベリアの時と同じく、ベッドに縛られていた令嬢の目に光が戻っている。もう暴れる様子もない。
「あ、ありがとうございます!」
両親は令嬢を抱きしめて目を真っ赤にしていた。
「体が弱っているでしょうから、お医者さんに診せてくださいね」
もうすでに何軒か周り、これで購入者リストも最後だった。
私はふうと息を吐く。加護のおかげで呪術の影響はないが、熱が出たり下がったりするのでどうしても疲れてしまう。
レオンは私をずっと支え続けてくれていた。
「グレイス、疲れただろう。今日はこれでおしまいなんだが……これから少し時間あるか?」
「ええ、大丈夫よ」
レオンにエスコートされ、やってきたのはレオンの実家であるオルブライト公爵家所有の屋敷だった。
「実は、庭を見て欲しくて」
「お庭?」
連れてこられた庭を見て、私は息を呑んだ。
「わあ……!」
庭園に一面の薔薇の花が咲き乱れていた。
私の好きな濃いピンクの薔薇の花。その光景は夢のように美しい。
「これ……」
「子供の頃はごめん。グレイスが大好きな薔薇の花で花吹雪をしてやったら喜ぶと思って、花びらを全部むしってしまって……謝ってすむとは思ってない。だから、せめてものお詫びに、この庭園に薔薇を植えたんだ」
「植えたって……もしかして」
レオンは恥ずかしそうに頷く。
「俺が植えた。まあ、庭師にも手伝ってもらっているけど。何年もかけてやっと綺麗に咲くようになったから、グレイスに見せたかったんだ」
「じゃあ、もしかして、週末に仕事が入らなかったらこれを見せてくれる予定だったの?」
「ああ。もう少しで散り始めるから、間に合ってよかったよ」
風が吹くと、薔薇がそよいで花びらがちらほらと飛んでいくのが見えた。
「綺麗……」
「喜んでもらえたなら嬉しいよ」
胸がじんわりと熱くなる。私は胸の前で手を握った。
「ねえ、来週も来てもいい? きっとね、レオンが子供の頃私に見せたかった花吹雪が見られると思うの」
「ああ……ああ、もちろん!」
レオンは私を後ろから抱き寄せた。
抱きしめられ、背中が温かい。そして、それ以上に顔が熱く、胸が激しく高鳴っている。
「レオン、魔力過多症って子供の頃からなのよね?」
「そうだ」
「それで、肉体強化を無意識にしてたんでしょう。……じゃあ、子供の頃、私を倒れるまで連れ回したり、木に登らせたのも……」
「……言い訳にしかならないが、俺はそれが普通で、他の子もみんなそれくらい出来ると思っていたんだ。グレイスに無理をさせて倒れさせたり、怖がらせたりするつもりはなかった」
「……そうなのね」
今までなら信じられないと言って終わりだった事柄も、すんなりと心の中に入ってくるかのようだった。
「じゃあ、虫や蛙は?」
「虫は、綺麗な木の実をグレイスにあげようと思って……ハンカチに包んでおいたら虫が湧いてしまったんだ。正直、俺もびっくりした。蛙は、とても珍しい幸運を呼ぶ青い蛙だったから、グレイスにどうしても見せたくて……」
しどろもどろにそう話すレオンに、私はクスクス笑った。
「ふふ、おかしい! でも、私もレオンを避けちゃって、すぐ泣いたりしてたものね……」
「いや、無理もない。誤解させたのは俺のせいだ。ずっと怖がらせてごめん……」
あれもこれも、思い出せることは誤解ばかりだった。
「じゃあ、レオンをいじめっ子だって私はずっと思っていたけど、全部誤解だったのね」
私は俯く。
背中から抱きしめるレオンは今どんな顔をしているのだろうか。
長い間の間違いを、レオンは許してくれるだろうか。
「レオン……ずっと無視して、避けててごめんなさい」
涙がじわっと浮かぶ。
今までずっと誤解とはいえ、私こそレオンに酷いことをしてきた。
「……ねえ、私のこと嫌いになる?」
それとも、もう遅すぎる?
背後から抱きしめてくるレオンの腕の力がぎゅっと強まった。
「嫌いになるわけない。俺はグレイスと一番最初に会った時から、ずっと君が好きなんだから」
「よかった……あのね、私……」
レオンが好き──そう言おうと首を捻ってレオンを見上げた。
レオンの宝石みたいに綺麗な瞳と目があった。
と、途端にレオンが真っ赤になった。
「……でも、こうして涙目のグレイスを見たらグッときてしまった」
「えっ……なぁに?」
「グレイスの困った顔も泣きそうな顔も、全部が可愛くてたまらない。ガブッと噛み付いてそのまま食べたくなる」
耳元でそう囁かれ、私はゾッと鳥肌が立った。
──噛み付かれる……ガブッて!?
「や、やだ、離して……」
「だーめ」
「やだぁ……」
レオンの腕の中はまるで檻のようで、もがいても抜け出せない。
体格だって全然違う。しかもレオンは鍛えてる上に、魔力過多症で肉体強化だって出来る。
私には敵いっこない。
「レ、レオン……」
「じょ、冗談だ。泣かないでくれ」
ガチ泣き三秒前にレオンはようやく離してくれたけれど、やっぱり怖い。
油断したらガブッと噛まれてしまうかもしれない。
「グレイス……怒ったのか?」
「お、怒った! 婚約破棄してもらうんだからぁ!」
「おい、グレイスってば」
ガチ泣き三秒前の私はレオンの胸元をポカポカ叩いた。まったく効いていないけれど。
「私、ぜーったいレオンを嫌いにさせてやるんだから。あの時の約束はまだ有効だもの!」
約束の期間は結婚するまで。今回の事件でちょっと有耶無耶になりかけていたけれど、なかったことにはさせない。
「レオンに婚約破棄させてみせるんだから!」
私のそんな決意表明に、レオンはやれやれとばかりに肩をすくめた。
「俺はグレイスのことが大好きだから、嫌いにさせるのは相当に難易度高いぞ」
「の、望むところよ!」
私はレオンに指を突きつけた。
レオンは面白いものを見る目で私を見つめる。
胸はドキドキで、私はレオンのことが好き。けれど油断してはいけない。レオンはライオンだ。ウサギみたいなひ弱な私なんて一噛みだもの。レオンのおもちゃになるわけにはいかないのだ。
勝負のゴングが鳴る代わりに、風が吹き抜けて薔薇の花びらが舞い上がる。
「それじゃあ次は週末に」
レオンは私の手を取って軽くキスをした。
──私とレオンの勝負はまだまだ続きそうだった。
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