たかが子爵家

鈴原みこと

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第四章 消せない疑心

Ⅱ 視点を変えて

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 ウィリアム邸にユリウスが訪ねてきたのは、買い物から帰ってきたウリカが錬金術師を寝かしつけようと当人との問答を繰り返しているときだった。
 時計の針が午後一時を回ったころである。
「こんな早い時間にどうしたの?」
 ウィリアムの代わりに来客に応じたウリカは、従兄の来訪に目を丸くした。
「今日は昼で宮中での仕事が終わりなんだ」
 ユリウスとて四六時中、近衛の任にあるわけではない。半日で他の近衛と交代して、別の仕事をこなす日もあれば、もちろん休日だってある。
 今日は宮中外での仕事がまだあるものの、時間的に余裕があるため、一度屋敷に戻る前にこちらに寄ることにした。家の馬車で送らせたために、ウリカの帰りの移動手段がないことを気にかけてのものだ。
「今日は何時頃に帰るつもりなのかを聞いておこうと思って立ち寄ったんだが」
「来てくれてちょうど良かったわ。今日はもう帰るつもりだったから」
「そうなのか?」
 彼は少し意外そうに目を見開いた。そんな従兄に苦笑いを浮かべながら、事情をざっくりと説明する。
「――で、私が帰れば、ウィリアムさんもちゃんと寝てくれるかと思って」
 肩をすくめて見せると、ユリウスが柔らかい微苦笑を浮かべた。
「そうか。面白い人だな彼は」
「端で見ているだけなら、そうやって笑っていられるんだけどね……」
 疲労を滲ませて吐息すると、ユリウスは楽しそうに笑った。従兄のそんな姿を久しぶりに見る気がして、ウリカもなんだか楽しくなった。
 そうして二人で笑っていると、怪訝な表情を浮かべた錬金術師が廊下の向こうからやってきた。
「ずい分と楽しそうに話していると思ったら、来客は伯爵殿だったのか。時間的にはだいぶ早いようだが」
「ウィリアムさんの寝不足話を種に盛り上がっていました」
 邪気をたっぷりと含んで余計な説明を口にすると、寝不足の錬金術師は憮然とした表情を浮かべた。
 ちょっとやり返せた気がして、ウリカの気分は上昇する。
「ユリウスは私の帰宅時間を確認するために来てくれたんです」
 機嫌が良くなって今度はちゃんと状況の説明をすると、ウィリアムが目を細める。
「なるほど。さすがは紳士と名高いベルツ伯爵。優しい上に気が利いている」
 感心したような口調に揶揄的な言葉を乗せる。寝不足で不調でもあまのじゃくな性格は健在なようだが、嫌味を言っているという雰囲気はなく、どうやら本気で感心しているらしい。
 それだけに、ユリウスは反応に困った様子で眉根を寄せていた。
「そんな顔をするなよ。自分にそのつもりはなくても、周囲の目にそう映っているのは動かしようのない事実だ。相手の真意が何であれ、素直に褒め言葉として受けとっておけばいいんじゃないか」
 その口調に悪意や刺々しさはなかった。
 相手の真意が何であれ、と添えた言葉から察するに、ユリウスを紳士と称する行為には称賛だけではなく、やっかみによる嫌味の声も含まれていることをウィリアムは理解しているのだろう。
 その上で「悪意ある言葉は気にせず無視すればいい」と忠告を飛ばしているのだと判断できる――できるのだが……。この男の口から出ると、「悪意ある声など嫌味で叩き返してやればいい」という攻撃的な主張に聞こえてしまうのが、ひねくれ錬金術師の残念なところであった。
 案の定、ユリウスからは苦笑がもれていた。
「忠告として受けとっておこう」
 あくまで善意の提言として片付ける。つい余計な反論が口をついてしまう従妹とは違い、スマートな大人の姿勢に見えた。
 受け流されてしまうと、ウィリアムもそれ以上の対応はしようがなく、笑って肩を竦めるだけだった。
「それで、今日は何時頃、迎えに来てもらうつもりなんだ?」
 と、話題をウリカへと転換する。
「それなんですけど、今日はもう帰ろうと思います」
 そう予定を告げると、ウィリアムが不意を突かれたように眉根を寄せた。
 ウリカは相手に口を挟む隙を与えず言葉を重ねる。
「別にこれは気遣いじゃないですよ。きちんと睡眠をとってくれないと、気になって何をするにも集中できないんです。自分がウィリアムさんの負担になるとか負い目を感じるのがイヤなだけで、今後気持ち良く錬金術を学びたいからっていう私の勝手なエゴですから、気に病まれるとかえって迷惑です」
 一気に言い募って、どうだ、とばかりに錬金術師を見上げる。
 ウィリアムが気圧されたように一歩後ずさった。勢い任せに少し詰め寄りすぎたかもしれない。
 ウリカの言い分は相手の反論をすべて封殺するものだった。それを勢いよく叩きつけた効果はあったらしく、ウィリアムが諦めたように吐息する。
「君の言い分はわかったから、少し待っていてくれ」
 そう言い残して、工房アトリエへと戻ってしまった。
 ユリウスと二人、首をかしげて待っていると、やがて本を片手に戻ってくる。
「これを持っていけ」
 と、手にした本をウリカに差し出した。
「これは?」
「錬金術の基礎が書かれている。入門書みたいなものだ」
 本を受けとったウリカは驚きとともにウィリアムを見た。
「魔術学の基礎ができているなら、これの内容も理解できるはずだ。余剰時間にでも読んでみるといい。俺にはもう必要がないものだから、君にやるよ」
「ありがとうございます……」
 思わぬプレゼントに呆然と礼を述べてから、そっと本の表紙をなでる。
 色褪せ、所々が擦りきれていて、修復された跡もある。長い年月を感じさせるその本は、もしかしたらウィリアムが子供時代から使っていたのかもしれないと想像させた。
「本当にもらってしまっていいんですか?」
 まだ信じられないという面持ちで顔を上げると、砂色の瞳と視線がぶつかる。彼のそれは何かを懐かしむような眼に見えた。
「構わない。むしろ、それで勝手に基礎を身につけてもらえれば、俺も楽ができて助かる」
 吐きだした言葉は、いつもの皮肉屋らしい言い草であった。


 市民街の東側。外壁に沿って雑木林が広がる一角にウィリアムの住む家がある。
 国有地でありながら整備もされずに放置されていたその一帯を、十年ほど前にステファンが買いとったらしい。シルヴァーベルヒの小僧が奇行にはしった、と当時は多くの貴族たちが揶揄したのだとか。ユリウスが生前の父から聞かされた話だ。
 錬金術師の家は雑木林のほぼ中央に位置しており、そこから北と西に向けて道ができている。馬車一台が余裕で通れる程度に整備されているのだ。
 ベルツ家の馬車は北へと向かう道をゆっくり進んでいた。
 馬車の中、進行方向を背にして、ユリウスは従妹の少女と向かい合っている。
 この日の話題はヴァルテンベルク公の不正問題に関するものだった。ウリカがことの顛末を知りたがったので、謁見の間でのやりとりを大まかに説明したのである。
「……それで、結果的に公爵様の処分はどうなったの?」
「公爵自身は全ての爵位を剥奪され、ヒルデスハイマー家に関しては伯爵に降格のうえ、財産の半分を没収。さらに三代先まで昇格を禁ずると通告がなされた。当然、領地は国に返還されることになるから、近日中に領館を引き払うようにとの命令も出されたよ」
「そっか……じゃあ、ヒルデスハイマー家は連帯責任を問われはしたけど、最低限の情状酌量はあったということなのね」
 言いながら、ウリカは眉根を寄せる。何か納得いかないものがある風だった。
「気になることでもあるのか?」
「う~ん……どうなんだろう? 話を聞いただけじゃあ何とも言えないけど、カルステン様にしては積極的アクティブすぎる気がして」
 彼女の疑問は的を射ている。ユリウスとしても、ヒュッテンシュタット公カルステンの言動にはいくつか違和感があった。
 有能ではあっても面倒くさがりな性格が災いして才能を食いつぶしてきたような人である。それ故に自分から仕掛けるような真似はしないと思っていた。
 ところが今回の件では、明らかにカルステンのほうから相手を挑発するような行動があった。それが不自然に思えて、ユリウスも一度だけ探るような視線をカルステンに送ってしまったのである。
「でも、それを追及すると、余計なものを引っ張りだしてしまいそうな気がして、はっきり言ってイヤな予感しかしないのよね……」
 彼女の気持ちは痛いほどに分かる。ユリウスも同様の考えに至ったからだ。
 藪をつついてもいいことはなかろう、と感じたから、この件に関しては深く考えるのをやめてしまったのである。
 互いに触れたくない話題に発展したせいか、二人はともに口をつぐみ、場には静寂が訪れた。そのまましばらくの間、ユリウスは流れていく景色をただ茫然と眺めた。馬車は東門をくぐり、貴族街へ入ろうとしている。
 無言のままでも気まずくならないのは互いの気心がしれているからだろう。幼馴染み特有の空気がそこには漂っていた。
 しかしいくらもしないうちに、その沈黙は破られることになる。従妹の少女がとんでもない爆弾を投下してきたからだ。
「そういえば、ユリウスは今ハインリヒから『いじわる』されてるのよね」

 ごんっ!

 あまりの不意打ちに、思わず頭を馬車の窓枠にぶつけてしまった。
「唐突に何の話だ?」
 痛む頭をさすりながら、険を帯びた視線を従妹に向ける。
 幼馴染みの少女は悪びれる素振りもなく笑って答えた。
「今朝、カタリーナ伯母様がそう言っていたの」
 ユリウスは頭を抱えたくなった。
 よくも余計なことを言ってくれるものだと母親を責めたくなるが、薮蛇になるのが分かりきっているから直接文句を言うことは躊躇ためらわれる。しかも従妹の言い分には続きがあった。
「それでね。ハインリヒが言うには、ユリウスが何か隠し事をしてるって……」
 思わずユリウスは額を押さえて俯いてしまった。
 その胸中には、やはり、という思いが渦巻いている。
「その様子だと、ハインリヒに気づかれてるってことは、ユリウスも分かってたのね」
 的確な指摘を受けて、ユリウスは観念せざるを得なかった。
「一度機会を逸しただけで、謝りづらくなるものだな……」
 正直に胸のうちを吐露すると、ウリカは目の前でうんうんとしきりにうなずいた。その表情には実感がこもっているように見えた。すでに彼女も似た状況を経験済みなのかもしれない。
「気持ちは分かるわ……けど、いつまでも今の状態のままというわけにはいかないんじゃない? あの様子だと、ハインリヒから折れるつもりはないみたいだし」
 そんなことは言われるまでもなく承知している。だが正論には違いないから、反論のしようもなく、ユリウスはただ黙り込んだ。
 子供じみた感情だと分かっていても、受け入れ難いものはある。だがそれと同時に、自分自身に甘えがあることも自覚していた。
「参考までに聞いておきたいんだが、ウーリはこういうとき、どんなふうに話を切りだすんだ?」
「そうね……まず、謝る!」
 従妹の回答は明快だった。一番のハードルをまず越えてしまおうという思いきりのよさが何とも彼女らしい。
「最初に『ごめんなさい』って言っちゃえば謝罪の理由を話さざるを得なくなるし、だから決心も固まりやすいでしょ?」
「背水の陣に自分を追い込むわけか。確かに効果は高そうだな」
 ユリウスは苦笑する。苦味成分が勝っているような笑い方だった。
「効果は抜群よ。それは私が保証するわ……それで、ユリウスはどんな隠し事をしたの?」
「なんで話がそこにシフトするんだ? ウーリには関係ない内容ことだろ?」
「あら。関係ないからこそよ。ハインリヒ本人に話すよりはハードルが低いでしょ。本番前の練習だと思って話してみて。決して興味本意で聞きたがっているわけじゃないのよ」
 と、余計な一言を添えて力説する。素直に受けとるには、彼女の瞳が爛々らんらんと輝きすぎていた。
 とはいえ、建設的な意見であることは否めない。ここはおとなしく忠告に従うことにしよう、と覚悟を決めた。
「半月ほど前に、さる侯爵からハインツを譲ってくれないかという手紙が届いたんだ」
「引き抜きか……ハインリヒの優秀さを考えれば、うなずける話ね。それで? 手紙を受けとったあと、どうしたの?」
「……断ったんだ。独断で」
 目を逸らしつつそう白状すると、彼女は「なるほど」と納得したような声音で呟いた。
 身分の高さがそのまま優位性を示す社会だ。必ずしも使用人自身に意向を問う必要はない。 
 事実、使用人の意思を無視する貴族は多い。だがそれは、そうする権利があるというだけで、不誠実な人間性をさらす行為でもあった。
 それこそ、ベルツ伯爵らしくない行いといえるだろう。何より、ユリウスの性格で良心が咎めないはずがない。それを理解した上でのウリカの呟きだった。
 そして彼女は思わぬことを口にする。
「ハインリヒの気持ちが少し分かったような気がするわ」
 従妹からの予想だにしない一言に、ユリウスが眉根を寄せる。
 その様子を見てから、彼女は説明を開始した。
「ユリウスが独断で引き抜きの話を断ったのは、それだけハインリヒを手放したくないと思ったからでしょう? ハインリヒがもしその事実を知っていたんだとしたら、安心してユリウスに『いじわる』ができるんじゃないかと思うのよ」
「ハインツが隠し事の内容まで知っていると言いたいのか?」
「可能性は十分じゅうぶんにあるんじゃないかしら。優秀とはいっても、まだ年若い執事を侯爵家が引き抜こうとするなんて、それほど頻繁にあることではないもの。噂になっていてもおかしくないと思うけど」
 先日ジークベルトから聞いた話を思いだす。
 使用人の噂話は広がりやすい上に、その精度も高い、と……。そうであるならば、確かにハインリヒの耳に入っていても不思議はないかもしれない。
 それでも釈然としないものを感じて、ユリウスは聞かずにいられなかった。
「ウーリはどうして、隠し事の内容をハインツが知っていると思ったんだ?」
 彼女がしたのはあくまで可能性の話だ。だがその割に「ハインリヒの気持ちが分かる」と言ったその口調が確信めいて聞こえたのである。
「勘といえば勘なんだけど……知っていないと、あんな笑い方はできないんじゃないかと思うのよね」
 どんな笑い方をしたのか気になるところだが、ウリカの観察力は信頼できる。そのため一定の説得力があった。
「そうか……なら、隠し続けたところで意味はないな……正直に話してしまったほうが良さそうだ」
 もはや諦観の境地で開きなおりの姿勢を見せると、ふふっ、とウリカが笑う。
「ユリウスにも子供っぽいところがあるのね」
「悪かったな……そう簡単に大人になれるものなら、誰も苦労はしない」
 拗ねたように口を尖らせると、少女は微笑みを加速させた。
「ふ、ふふふっ……ごめんね。でもなんか安心しちゃって」
「安心?」
「だって、ユリウスばっかりどんどん成長して、置いていかれるような気持ちだったんだもん」
 ウリカがそんなふうに劣等感を抱えているとは思ってもいなかった。
 どんなことも器用にこなし、人当たりも良く、常に前向きな姿勢を崩さないこの従妹は、ユリウスにとっては脅威ですらある。むしろ追いつかれないように必死なのは自分のほうだ。それ故に、『意外』という印象は否めなかった。
 だがそれと同時に、自分がハインリヒに対して抱いている感情と似かよっている気もしたのである。
 物事をスマートにこなし隙を見せない。その上で他者への気遣いを忘れない心の余裕もあり、人間的に優れた人物――それがハインリヒへの印象と評価だ。
 誇らしいと思える一方で、たった二歳違いでしかないはずの兄貴分が手の届かない高みにいるような感覚が常にある。
 そこまで考えてふと気づいた。
「同じ……なのかもしれないな……」
 半ば無意識で独白すると、ウリカが不思議そうに首をかしげる。
「同じ? ……何のこと?」
 従妹の質問には答えずにユリウスは小さく笑った。
「ウーリのおかげで、ハインツが怒っている理由が分かったよ」
「ハインリヒはやっぱり怒っているの?」
「あいつの怒り方は粘着質で意地が悪い」
 ため息まじりにそうこぼすと、ウリカはなんともいえない微妙な表情で半笑いを浮かべた。先ほど言っていた「ハインリヒの笑い方」でも思いだしているのだろう。
 ユリウスが気づいたのは、立場が変われば見え方も変わるということだ。
 追いかける側は追う相手との距離が縮まらないことに焦り、それ故にその相手が隙のない完璧な存在に見えてしまう。だが逆に、追いかけられる側は追いつかれまいと必死で走り続けていたりするものだ。少なくともユリウスはそうだった。
 同じように立場を置き換えてみれば、ハインリヒの怒りの要因に思いあたる。同じことをされれば自分も怒るだろうと思うからだ。もちろん、ハインリヒのような底意地の悪い怒り方はしないだろうが……。
「俺は、引き抜きの話をハインツに伝えて、その答えを聞くのが怖かったんだ……。でもそれは結局、あいつのことを信頼してなかったってことになる」
「え? どうして? 信じていても不安に駆られることは普通にあると思うけど……それこそ、大切に思ってるから余計に不安になるってこともあるんじゃない?」
「いや。それならきちんと話した上で、『行かないでほしい』と素直に伝えれば良かったんだ。立場を利用して卑怯な手段に及んだ時点で、俺はあいつを信頼せず裏切ったことになる……ハインツが怒るのは当然だ」
 懺悔ざんげめいた自分の言葉に苦笑がもれる。
「なるほど……ユリウスは自分に失望しているのね。だからより一層ハインリヒに対して後ろめたさを感じている、と……」
「ああ……それでつい、よそよそしい態度をとっていたら、あいつもそれに合わせて他人行儀に接するようになったんだ」
 消極的な人物であればユリウスの態度に影響されたとも考えられるが、ハインリヒに限ってそれはない。ユリウスに当てつける目的で態度を合わせてきたことは明らかだった。だからこそハインリヒに心の内を読まれていると悟ってもいたのである。
 だが、そうでありながら、ハインリヒが自分を見捨てることはない、という矛盾した自惚れが胸中にはあった。それが甘えとなって状況を引きのばす要因となったのは事実だ。そのうちに時間が経ちすぎてしまい、気づけば謝りづらい空気ができあがっていたという次第。まったくもってユリウスの自業自得なのである。
 もういい加減、決着をつけるべきなのだろう。
「今日ハインツとちゃんと話をしてみようと思う」
 腹を括るようにそう宣言すると、
「そっか……仲直りできるといいわね」
 と言って、ウリカが微笑んだ。
 それは素直に可愛いと思える笑顔だった。
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