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43.求めるもの※(カイ)

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 俺は一通りの神子としての仕事を済ませて、ベッドに横になり部屋の主を待っている。そのうち横になっていたら寝てしまいそうになり窓を開けに行く。空気が澄んで夜空が綺麗に見えるのは良いが薄手の長袖では少し心許ないくらいだ。目を閉じればどこからか虫の声が聞こえる。まだ部屋の主が戻ってこないなら上着でも取ってきて庭園でも散歩しに行こうかと部屋を出る。すると、暗闇の中から待ち望んだ声がする。

「んだよ。別のヤツのとこにいくのか?」 

 仕事終わりのカイがだるそうに立っている。いつもよりも疲れを隠しきれない顔を見ると申し訳ない気持ちになる。
「違うに決まってるだろ。散歩にでも行こうと思ったんだ。カイ、お疲れ様。」
 カイの腕の中に入り、背中に腕を回しながら治癒の魔力を流し込む。天色の光が灯る。カイは温かくてゴツゴツした手で俺の頭を撫でてくれている。怪我はなかったから体力の回復だけだ。やっぱりカイは強いんだな。なんだか俺が誇らしくなる。俺は治癒を済ませているがカイから離れる気はなく抱きついて幸せを噛み締める。
「今日から医務室での治療も再開したんだ。来てくれたら俺が治療するのに。」
 カイを見上げると少し驚いたような気遣わしげな顔をしている。昼間頑張った分、今はカイにとことん甘えたい気分だ。背伸びをしてカイにキスしようとしたが拒まれた。俺はまさか拒否されると思ってなくて眉間に皺を寄せる。
「自分の身体の負担を考えろよ。訳の分からねぇ薬を盛られたのに働きすぎだ。まぁ俺のせいだけどな・・・。」

「カイのせいじゃない、それともスティーブンなんかとキスした俺はもう汚い?それならしばらくは自分の部屋で寝るよ。・・・おやすみ。」
 言葉を発するごとに下を向き、自己嫌悪に陥っていく。
「チッ!はぁ?ちげーよ。自己完結するな。」
 カイの横を通り過ぎようとしたら思いっきり腕を捕まれた。口を覆うようにキスされる。さっきまで肌寒かったのが嘘のようにのぼせてくる。廊下だと言うことは分かってるのにカイの熱い舌が口内を犯していき声が抑えられない。
「んんっ、・・・はぁ、カイ。んふぁ・・・あっ、」
「ここでそんな声出すな。もう部屋入るぞ。」

「ごめっ、うわぁ!」
 カイにまた軽々しく横抱きにされた。恥ずかしい気持ちより嬉しい気持ちが強くて、男としてのプライドとか、もうどうでもいい。そのまま部屋のドアを開けベッドへ降ろされる。
 カイの顔が近づいてくる。たちまち色っぽい雰囲気が漂うが、一瞬我に返る。

「ちょっと待って!明日カイが部屋を出る時、俺が寝てたら起こして欲しい。俺、この前目が覚めた時カイが居なくてずっと辛かったんだ。・・・カイが俺との未来を考えてくれてるって言ってくれて凄く幸せだよ。それでも急にいなくなるのは辛すぎる。・・・・めんどくさいかな?」

 カイからは十分すぎる愛情表現をして貰ってるのにこんなことを言うのは重いと思われてもおかしくない。無言のカイに不安が募る。薄目で反応を確認すると弱気な顔をしているカイと目が合う。

「悪かったよ。前はあれが精一杯だったんだ。次からは起こして良いんだな?」

 カイの口から出た『次』という言葉に胸が高鳴る。
「うん、これから何度でも抱いて、何度でも一緒に朝を迎えたい。」
 言い切るかどうかのところで口を塞がれる。カイの体温が伝わってくる。
「んっ、カイ?好きだよ。」

「ナオト・・・、愛してる。もう同じヘマはしねぇ、怖い思いさせて悪かった。」
 耳元でいつもよりも低く優しく囁く声に、これからの情事を想起させる。早くカイと繋がりたい。
「んっカイ、愛してるよ。」
 深く口付けを交わしながら、俺はカイの着崩している隊服に手をかけ服を脱がせていく。鍛えられた身体にそっと手を這わせていき、首元や胸元に吸い付くようにキスをする。お互いの吐息やリップ音が静かな部屋に響く。

「見えるとこにつけんなよ。」
 カイに痕をつけることに夢中で全然気にしてなかった。首を傾げて見せるがこれはアウトだろ。
「えっ?うーん、カイが着崩さなかったら大丈夫。」
 続きをしようとした顔を近づけた途端、額を指で弾かれた。ただのデコピンだけど結構な威力に「いでっ。」と色気もクソもない声が出た。

 俺が涙目でおでこを両手で抑えているうちにカイが俺の服を脱がしていく。流されるように押し倒されてしまった。カイも俺に痕を残していく。ゴツゴツしているあったかい手が全身を愛撫する。局部は十分に準備できているのになかなか次に進んでくれない。


「カイ・・・早く入れてほしい。あっ、それ・・・いらない。」

 カイが俺の頭元にあったゴムを取ろうとしていたため、投げ捨てる。
「おい。」
「今日だけ、お願い・・・。カイをそのまま感じたい・・・。」

 カイは俺を見つめたあとゆっくり慎重に中に入ってくる。その速度が焦らされているようで、奥に求めて腰が浮いていく。
「っ、ダメぇ、・・・ゆっくりすぎてダメ、はぁぁ、もっときて・・・あっ、はぁ」
「はぁぁ、ナオトが壊れそうで・・・、身体だって本調子じゃねぇんだろ。」
 もっと動きたいはずなのに俺のために堪えてるのを見ると大事にされているのが嫌ほど伝わってくる。カイは優しいから俺がダメとか無理とか言うと止まっちゃうんだな。なるべく言わないように気をつけないと。俺は声が出ないよう指を噛む。
「んぅぅ、おっきぃ、はっ、あっ!・・・うっぐぅぅ。」

 すかさずカイに両手を上で拘束される。カイは片手で抑えているだけなのにピクリとも動けない。
「おい、自分の手を噛むな。傷が残ったらどうすんだ。」

「だって・・・・。俺がダメとか言っても続けて?カイが触るとこ気持ちぃ。」
 カイの手が、拘束していた手首から腕を滑りそのまま腰の方へ降りていく。下は繋がったまま動かない。肛内にある存在感は増していて、勝手に俺の腰が動いていく。そんな俺をカイが上から眺める。
「ひっ、あぁんっ、カぃ、・・・身体へん?俺、全部気持ちいぃ、うっ、!」

「誰がこんなにエロい体にしたんだ?」
 カイは俺の腰を支え律動を始める。緩く動いているが、すぐにいい所を突いてくる。

「っつ、カイもだろ!ぁあっ、オレだけ、あ″っ!あぁ気持ちっ、ごめっ。はぁ、やだっやだぁ。」

「はぁ?こっちだって気持ちいいに決まってんだろ。分かんねぇか固いのが奥突いてんのが。」
 そういうとカイはグッと奥を突いたまま静止する。俺も、ちゃんと余裕を無くすくらいカイに気持ちよくなって欲しいのに。

「はぁあっ!っ、待って、いっ、一回抜いてぇ俺、上になるっ、から」


 カイは一度抜いてくれてベッドに横たわる。俺はカイに跨ってゆっくり腰を下ろしていく。
「ふぅ、っあ、あぁ、カイ気持ちい?あっ、ふぁぁ、あっん、んっ」

「・・・っ、ナオト無理すんなよ。・・・はぁ。」
 快楽に顔を歪めていくカイに興奮が高まっていく。一度奥まで挿れると俺は激しく上下に腰を動かしていく。
「あっ!カイ、好きぃ・・・んんっ、はぁ、ああ、」
 カイのが奥に当たる度に、甘ったるい声が漏れる。口を抑えても直ぐにカイによって退けられてしまう。吐息が混じるようにキスを交していく。お互いに限界が近いのが分かる。けど・・・

「・・・っつ!おぃ、早く抜け!・・・イクぞ」
「おっれも、うっあぁ、ああっ!・・・・あつっ、い、はぁあっ」
 肛内にドクドクと脈打ちを感じ、身体が震える。

「ナオト・・・。ほら、掻き出すから後ろ向け。」
 カイは自身のを抜くと俺を四つん這いにする。生ぬるい液体が内腿を伝って落ちていく。まだ敏感な後孔はカイの指をすんなり飲み込んでいった。
「やぁぁ、カイのが出ちゃう、あっ、あぁ!んっぁ」
 俺の中にある精液を掻き出す作業なのに容易に感じてしまう。カイの指が肛内を探るように出し入れされる。

「中グリグリする、あっんん!ダメっ、あぁ!はぁぁ、カイぃ・・・」
「少しだから我慢しろ。」
 我慢と言われても出来るわけなもなく、快楽の波には逆らえない。
「ダメだって!あっ、ぁ、カイ好き、またイク、イクっ!あっ、あぁぁ!、・・・イッた、カイ!あぁ!俺、イったから待って!」
 卑猥な水音と共に指が抜けていった。余韻を感じるように後孔がヒクつく。

「ダメって言っても続けろ言ったのはナオトだからな・・・」
 ボソッと何か自分に言い聞かせているようにも聞こえた、カイの言葉の意味が分からず振り返ろうとしたが、再び固くなっていたカイのがぬるりと入ってきた。
「ふぇ?、えっ?カィ、あっ!ダメぇ、」

「あんな声聞いて普通でいれるわけねぇだろ。」
 枕を掴み快楽に悶える。いつもより強く打ち付けられ、カイも余裕がないのがわかる。

「っあぁ!もっと、きて、あっ、すぐイッちゃいそっ、あぁ、うっあぁ」

「俺もだっ、締め付けるな、はぁ・・・ナオトっ」

「あ″あぁ!カイ、カィんっ、あっあぁ!好きぃ、もっとあっ、はぁあっ、うんんっっ!イっちゃう、また、あっはぁっカイ!・・・また、イクぅぅ!・・・あっあ″ぁ!」

 今度は背中に熱いのがかかる。俺は脚にも力が入らず崩れ落ちる。精根尽き果て、シーツのシミを眺めている俺を心配そうな眼差しを向けている。
「悪い、結局無理させちまった。」

 俺が「大丈夫だよ。足りないくらい。」とかすれ声で言うと、弱めに額を指で弾かれた。
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