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32.対等、続き※(クリス、アルベルト)

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 嫌な予感がして、起き上がろうと肘をついたが頭上にいるクリスに口を塞がれる。


「んっっ、はぁ、・・・・えっと逃げられない?」

 見上げるクリスは、にこやかに俺を見ているがその瞳にはすでに色欲が含まれている。

「ナオトが僕やアルベルトのことを嫌いならやめるよ。でも、そうじゃないなら逃げられないと思っていいかな。」
 その聞き方はずるい。選択肢なんか無いようなものだ。しっかり二人とも静止しているのが、優しさなのか打算なのかくらいは分かる。

「ずるいよ・・・。二人とも大好きに決まってるのに・・・。」
 その言葉が始まりの合図になり、再びクリスとキスを交わす。
 アルベルトも、はだけていた俺の服を丁寧に脱がせていく。着ている意味がないほど乱れていた為、あっという間に全て脱がされてしまう。全身にうっすらの残る痣を上書きするように唇を這わしている。

「あっ、・・・ふぅ、んっ!・・・まっ、て、二人も脱いで、俺だけ恥ずかしい・・・。」

 俺は近くにいるクリスの服に手をかける。シャツのボタンを全て外して、見える肌は綺麗でそっとキスする。いけないことが脳裏をよぎる。この綺麗な肌に俺のキスの跡をつけたらダメかな・・・。
 躊躇ためらう気持ちもあるが、好奇心と興奮が勝ってしまう。軽く吸っただけでも赤く染まっていく。

 そうしている俺をクリスは満足そうに見ている。余裕のある感じが嫌で、もっと下に顔を持っていく。ズボン越しにキスをする。既に固く熱を帯びているそれを取り出し、今度はじかにゆっくり舐めて、咥え込む。



「ナオト、そちらばかり意識されたら困る。」

 今まで全身を愛撫していたアルベルトが拗ねたように言うと、俺を四つん這いの体勢に変える。後ろに指が入ってくる。

「えっ?・・・んぁ、あっ・・やっ、あぁ!アルベルトっダメぇ」

 クリスのものを咥えていたのに後ろからの刺激に離してしまう。もう一度、咥え直しなんとか頭を動かす。
「うっ、んんっ!・・・・ふぁ、あっ、あぁ!」

 手でも触ってあげたいのに力加減が分からなくなりそうで怖くてやめる。行き場をなくした手はクリスが握ってくれた。
 後ろがアルベルトの指でほぐされていく、もうどこまで届くか分かるようになった。ちょっとだけ、物足りなく感じてしまう・・・。

「ナオト、・・・好きだ」


「はぁ、んっ、俺も・・・、アルベルト、欲しい。・・・・・・あっあぁ!」

 指とは違う質量が押し上げてくる。思わずクリスと握っていた手に力が入りそうになるが堪える。肩で息をする俺に、トドメのようにクリスに口を塞がれる。
「んっ、んん・・・ふっ、ふぁあ・・・んっ」

 息苦しさにクリスの肩を軽く叩くが、離れてもすぐに塞がれてしまう。同時に胸部を愛撫される。突起を弾かれるたび、痺れるような感覚が走る。
 後ろからはアルベルトが律動を早くし、クリスにしがみつきながら与えられる快楽を受け入れる。

「ひっ、あぁ!んっ・・・・ダメっ、イっキそ、・・・はぁ、あっぁ!」


 クリスは、後ろからの脈打ちに合わせてビクビクと震える俺を上から恍惚こうこつな表情で眺めている。「僕もいいよね?」と最後に軽いキスをして、クリスとアルベルトが場所を交代する。呼吸を整える隙はなく、再度俺の中に堪え難い快感が襲う。

「あぁぁ!・・・ちょ、待ってぇ、・・・はぁ、んっ!あっ、」
 クリスはもうゆっくり動き始めている。アルベルトは支えるように俺を抱きしめ優しくキスをする。
「ナオト、私もずっとこうしたかった。」

「ん、俺もっ・・・、っ゛あっあぁ!」

 もう一度アルベルトとキスをしようとしたが、タイミングを狙ったように最奥を突かれる。

「今までずっと我慢してたし、最初くらい二人きりが良かったのに・・・。このくらいは許してね?」

 さっきイッたばかりで敏感になっているところに、クリスの動きが激しさを増す。四つん這いになっている俺の腰が反るよう上から手で抑えられ、当たるところが変わる。

「ひっ、ぐぅ、あっ!まって!はっげしっ、あぁ!ダメっ、ダメ、・・・はぁああっ!」

「もしかして、またイッたの?」

「イッたぁ、あぁ、はぁ・・・から、待ってっ」

 振り向くとガクガクと痙攣しながらアルベルトにしがみつく俺を、いつものように微笑んで見ている。完全に力が入らなくなり腰が落ちると、そのまま仰向けにされた。一度抜けたクリスのそれを、また挿れようとしているのが見えて懇願するように首を左右に振る。

「まるで僕が悪いことしてるみたいだね。・・・ナオト、ダメ?」


 この瞳から逃げれた事がない。まだ震えが残る身体と声で振り絞るように「ダメじゃない。」と言うと再び挿入される。激しい動きで奥を突かれ、救いを求めるようにアルベルトを見上げる。

「あぁっ!はぁぁ!、あっ、んっアルったすけ、っあぁぁ!」

 アルベルトは気遣わしげに手を握り俺の身体にキスを落としていく。とうに限界は越え、中はずっと痙攣し目の前がチカチカする。


「・・・っ、ナオト好きだよ。僕のこと嫌いにならないでね。」

 脈打ちを感じ、一瞬身体が強張りすぐに脱力する。気絶するように意識を手放した。


           ◇



 いつの間にか朝になっていた。昨日は早朝に浜辺に行って、宮殿に帰ってきて・・・。ここ最近悩んでいたことは解決して心は軽くなったが体が痛い。
 楽な体勢を見つけようとしたが、右は手を繋いでいる。そちらを向くと既に起きていたアルベルトと目が合う。

「おはよう。昨日は無理させてすまなかった。大丈夫か?」

 俺は苦笑いをし、「大丈夫。」と言おうとしたが、かすり声も出ない。自分でもびっくりし、喉に触れる。
「まぁ、あれだけ声を出せば・・・。」

 察したようにアルベルトが呟くと、反対に寝ているクリスに視線を送る。俺もそちらに目線をやる。やっぱりまつ毛長いな、寝顔は天使だなぁと眺める。

「起きる前に少しだけいいか?」
 小声で言いながらアルベルトが俺の肩を指でつつく。振り向くとすぐに近くに瞑色の瞳がある。しばらくの間、触れるだけのキスを何回もした。

 もうアルベルトを不安にさせることがないよう、俺からも沢山気持ちを伝えようと思っていたのに声が出せない。どうしようかと考え、俺はアルベルトの端正な顔をそっと両手で触れ髪に瞼に、唇にキスをする。ちゃんと気持ちが伝わっているか心配で瞳を覗き込むと、愛おしむようにこちらを見ていて幸福感で心がいっぱいになった。


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