コミュ障引きこもりの僕が再就職したら天使のような人が集う超ホワイト企業でした

MIroku

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#17〜未来視点?〜

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「『正義』について、私達の中では話が纏まりましたね。つまり『正義の味方』とは、『相手と自分のお互いを尊重できる人』と言えば良いでしょうか?」

 斎藤さんもRUIさんの意見に同調したらしい。『うんうん』と頷いていた。勿論、僕もRUIさんの意見に賛成だ。

「はい。その通りです」

「では、次に考えるべき事は『どうすれば夢に近づけるのか』ですね。安達さんの場合、正義の味方になりたいとの事ですので、どうすればそうなれるのかを考えましょう」

「うぃーっす」

「はい」

 正義の味方になるには……か。難しい題目だな。『正義の味方』が共通の認識で確立されたとは言え、まだまだ具体性に欠ける。どうすれば良いのか……検討もつかない。

「安達さんは、なぜ正義の味方になりたいのでしょうか?」

 おっと、話が振り返したぞ。少なくとも、僕はそう思った。

「何故……ですか……」

「はい。『正義の味方』に憧れた理由です」

 昔はただ、テレビに出るヒーローがカッコよかったから憧れた。今はどうだろう。今の今まで忘れていた事とは言え、この話し合いの中で改めて思った。『正義の味方になりたい』と。いや、正確に言えば、斎藤さんが僕を庇ってくれた時から、そうなりたいと考えていた。

 斎藤さんが僕を庇ってくれた時とは違う正義かもしれないけど、『僕も自分を曲げたくない』と思った。だからなりたいのか? 正義の味方に。

「……単純にカッコいいからです」

 また考えていた事とは別の言葉が口から出る。こんな自分を変えたいと思ったから、憧れるのかも知れない。

「『単純にカッコいいから』」

 RUIさんが僕の言葉を復唱する。

「では、今の安達さんはカッコよく無いのでしょうか?」

 おっと、おっと2回目。なぜその様な事を聞くのだろう。ひょっとして、嫌われた? いや、RUIさんに限ってそんな事は……とは言っても確証は無いが。

「カッコよく無いですね」

「それは何故でしょう?」

「いや……まぁ……カッコ良く無いですよ……」

「そっかぁ? 顔はそこそこイケメンだと思うけど?」

 顔の事は触れないで欲しい。僕はお世辞にもカッコいいと言われる人間では無い。それは自分が一番よく知っている。

「では、どうすればカッコ良くなれますか?」

「……」

 言葉が出ない。どうすればカッコ良くなれるか、そんな事はわからないし、どうやってもカッコ良くなれない自信がある。

「こうしましょう。未来からの視点で物事を考えて下さい。未来視点です」

「未来視点?」

「5年後、10年後の安達さんは、自分が思い描く、自他共に認める『正義の味方』になりました。今の安達さんの様に悩んでる人がいたとして、正義の味方になった安達さんはどんなアドバイスをしますか? イメージしてアドバイスをして下さい」

「はぁ……」

 おっと、おっと3回目。これも結構な無茶振りでは? イメージするって言ったって、どうすれば良いのか……

「安達さんは『モンハン』が凄くお上手ですよね? 私をいつも助けて下さいますよね?」

「はぁ⁉︎ 何⁉︎ あんたらそんな事やってんの⁉︎ なんであっしを仲間に入れてくれないわけ⁉︎」

「はぁ……ちょっとした御縁があって……」

 RUIさんが口に手を当てて『コホン』と咳払いをする。顔を見ると、少し赤くなっている様に見えたが……気のせいか。

「安達さんも、初めから上手だった訳では無いですよね? 今の自分が、初心者の自分に対してアドバイスをするとすれば?」

「……虫捕りはサボるな。ハチミツは必ず取れ。扱い辛い武器は慣れてからにしろ」

 まだまだ言いたい事はいっぱいある。酷かったからなぁ、初心者の僕は。

「今みたいに、ベテラン正義の安達さんが、初心者正義の安達にアドバイスをすれば?」

「人の目を見て話せ。話をちゃんと聞け。自分の言葉で話せ。面倒ごとから逃げるな。逃げるならちゃんと反撃のプランを立てろ。無謀な事をするな。引き時は引け。考えて行動する事は大切だが、時には大胆さも必要だ。ここぞと言う時までアイテムは使うな」

 うわ、湧き水の様に言葉が出て来る。

「沢山出ましたね。最後はちょっとモンハンチックでしたけど。今安達さんが言った事、思った事、全てが今の安達さんが考えている自分に足りない部分だと思います。それら全て、急がなくて良いので、少しづつトレーニングしていきましょう」

「いや、難易度高くね?」

 その通りです‼︎ 僕も難易度高いと思います‼︎ 特に最初の3つ‼︎

「それをこれから小さく小さくして、簡単に達成できる様にしていきましょう。それは自分では出来無いので。人って、自分の目標になると、どうしても高くしてしまうので」

 まぁ、確かにその通りだ。僕も自分はもっと出来る奴だと盲信し、何一つ出来なくて死にたくなった経験がある。……今もそうだが。

「もう少しです。一緒に考えましょう」

 そう言って、RUIさんはにっこりと笑った。

 斎藤さんにしろ、RUIさんにしろ、どうしてそこまでしてくれるのか、どうして僕なんかに付き合ってくれるのか、僕にはわからなかった。
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