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#13〜人は見かけによらない〜
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居酒屋での一件以降、僕は自分の行動を見つめ直していた。上司とは言え、女性に助けられたとなれば、流石の僕でも恥ずかしい。
僕もいずれは部下を持ち、同じ様に部下が困った時、助けられるかと言われれば、現時点では胸を張って不可能だと言える。胸を張るなとは自分でも思う。
で、斎藤さんに相談を持ちかけた。
「どうやったら斎藤さんの様になれるんですか?」
どうですか? 前より少しは話せるようになったと思いませんか? 自分では話せる様になったと思うので、そこは自分を褒めてやりたい。
「はぁ? 主語がねぇから意味不なんだけど? ギャルになりてぇって事なら、性転換するしか無くね?」
「いや……そう言う意味では無くて……」
まぁ、これは僕の聞き方が悪い。報告・連絡・相談、いわゆる『報連相』は5W1Hが基本だ。と、本で読んだ。
5W1Hとは、『いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)』の6つをまとめた情報伝達の基本だ。
「すみません。言い直します。先日、居酒屋で斎藤さんが、酔っ払いから僕を庇ってくれたじゃないですか? 『何でそんな事が出来たのか』と、どうやってその度胸と言うか、勇気を身に付けたのかを教えて頂きたく思います」
どう? これで伝わったでしょう?
「あぁ~、えっと……答え方がムズイ……『何でそんな事が出来たのか』って質問は、多分今のあんたと同じ心境を、昔経験した事があるんだよ」
「そうなんですか?」
「そうなんですわ。そん時は、あっしがギャルだからって理由で、この前と同じ状況になって、そん時はルイルイが怒ってくれた。んで、そんなルイルイを見て『かっこいいなぁ』って憧れたわけ」
へぇ~。RUIさんが怒るとか想像も出来ない。めちゃくちゃ怖そうだけど。普段おとなしい人が怒ると、めっちゃ怖いと言う法則があるような無いような。
当の本人、RUIさんは楽しそうに女神スマイルでパソコンのキーボードをパチパチ叩いているが。
「んで『どうやって身に付けたか』って質問だけど、悪りぃ。これは答えらんねぇ」
僕は首を傾げた。答えられない理由がわからなかったからだ。
「あっしが教える人間は、あんたが始めてなんよ。んで、あんたの事を理解しようと話しているうちに、徐々にあんたの事がわかってきて、『安達勇』って言う人物をよく知らない奴が、バカにしてんのが許せなかっただけ。気が付いたら口から言葉が出てた。その人物、今回で言うとあんたね。理解していればバカになんて出来ねぇはずなんだよな。少なくてもあっしは、あんたを馬鹿になんか出来ねぇ」
「……ありがとうございました」
「こんなんで良いの?」
「十分です」
なんだか泣きそうだ。生まれてこの方、親にだってここまで理解された事が無かった。理解しようと努力して頂いた事が、素直に嬉しかった。
『人は見かけによらない』
それがこのやり取りで、ハッキリと理解できた。
僕もいずれは部下を持ち、同じ様に部下が困った時、助けられるかと言われれば、現時点では胸を張って不可能だと言える。胸を張るなとは自分でも思う。
で、斎藤さんに相談を持ちかけた。
「どうやったら斎藤さんの様になれるんですか?」
どうですか? 前より少しは話せるようになったと思いませんか? 自分では話せる様になったと思うので、そこは自分を褒めてやりたい。
「はぁ? 主語がねぇから意味不なんだけど? ギャルになりてぇって事なら、性転換するしか無くね?」
「いや……そう言う意味では無くて……」
まぁ、これは僕の聞き方が悪い。報告・連絡・相談、いわゆる『報連相』は5W1Hが基本だ。と、本で読んだ。
5W1Hとは、『いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)』の6つをまとめた情報伝達の基本だ。
「すみません。言い直します。先日、居酒屋で斎藤さんが、酔っ払いから僕を庇ってくれたじゃないですか? 『何でそんな事が出来たのか』と、どうやってその度胸と言うか、勇気を身に付けたのかを教えて頂きたく思います」
どう? これで伝わったでしょう?
「あぁ~、えっと……答え方がムズイ……『何でそんな事が出来たのか』って質問は、多分今のあんたと同じ心境を、昔経験した事があるんだよ」
「そうなんですか?」
「そうなんですわ。そん時は、あっしがギャルだからって理由で、この前と同じ状況になって、そん時はルイルイが怒ってくれた。んで、そんなルイルイを見て『かっこいいなぁ』って憧れたわけ」
へぇ~。RUIさんが怒るとか想像も出来ない。めちゃくちゃ怖そうだけど。普段おとなしい人が怒ると、めっちゃ怖いと言う法則があるような無いような。
当の本人、RUIさんは楽しそうに女神スマイルでパソコンのキーボードをパチパチ叩いているが。
「んで『どうやって身に付けたか』って質問だけど、悪りぃ。これは答えらんねぇ」
僕は首を傾げた。答えられない理由がわからなかったからだ。
「あっしが教える人間は、あんたが始めてなんよ。んで、あんたの事を理解しようと話しているうちに、徐々にあんたの事がわかってきて、『安達勇』って言う人物をよく知らない奴が、バカにしてんのが許せなかっただけ。気が付いたら口から言葉が出てた。その人物、今回で言うとあんたね。理解していればバカになんて出来ねぇはずなんだよな。少なくてもあっしは、あんたを馬鹿になんか出来ねぇ」
「……ありがとうございました」
「こんなんで良いの?」
「十分です」
なんだか泣きそうだ。生まれてこの方、親にだってここまで理解された事が無かった。理解しようと努力して頂いた事が、素直に嬉しかった。
『人は見かけによらない』
それがこのやり取りで、ハッキリと理解できた。
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