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水面カフェ新めにゅー ②
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「あー……ひまー……」
“水面カフェ”の営業時間が終わり、未来達は片付けをする。未来は机を拭き終わり、夕飯の支度をしていた。
勇気は3人分の夕食を作っている。勇気は毎晩2人に夕食の希望を聞き、それぞれの希望料理を作ってくれる。その料理はどれもが絶品で、2人は毎晩夕食を楽しみにしていた。
「あー……ひまだー……暇だよー未来さん」
未来は苦笑いしながら、ホワイトボードに文字を書いた。
『今日も忙しかったけど?』
「そうなんだけどさ~、私は“今”絶賛暇人中なんだよ~……」
梓は椅子に腰掛けながら、テーブルの上に頭を乗せて小器用にゴロゴロと動かす。夕飯の支度も手伝わず、“暇”を連呼する梓。そこへ料理を作り終えた勇気が夕飯を運んできた。
「学校の勉強は大丈夫なのですか? 宿題とかしていても大丈夫ですよ?」
勇気が笑顔で梓に言う。勇気のその言葉に梓は力無く答える。
「しゅくだい~? そんなもの出た瞬間に終わらせるよ~」
「それでは宿題の意味がありませんね」
勇気は苦笑いして、料理を並べながら言う。
「宿題は家に帰って、1日の復習と翌日の予習のために行うものですよ?」
「え~……帰ってやるのってめんどくさい~……私は仕事を家に持ち帰らない主義なんだよ~……」
「それは困りましたねぇ。では夏休みとかの宿題も?」
「配られたその日にやる。学校でやる」
「うーん。凄いのは凄いですが……」
「それよりさ‼︎ ご飯食べよ⁉︎ 冷めちゃうよ⁉︎」
急に元気になり話を変える梓を見て、未来は苦笑いするしか無かった。
「「いただきます」」
3人は手を合わせ、勇気と梓が口を開く。未来はペコリ頭を下げた。
「未来さんって、カルボナーラ本当に好きだよね?」
梓は未来の夕食を見て言った。未来はパスタをクルクルとフォークに絡め、嬉しそうに口に運ぶ。そして口の中が空になったところでホワイトボードに文字を書いた。
『勇気さんのカルボナーラが美味しいから。私大好き』
「ははは‼︎ ありがとうございます」
ニコニコと笑う勇気。梓は少し複雑な顔で未来を見た。
「でもさー、1日置きにカルボナーラって飽きない?」
未来はまた口の中が空になったところで文字を書いた。
『全然飽きない。毎日でも良いくらい』
「う~ん。私は飽きるけどなぁ~……」
「好みは人好き好きですよ。梓さんにも好物はあるでしょう?」
勇気は味噌汁を片手に梓に尋ねた。梓は少し考え、口を開く。
「あるにはあるけど……たまに食べれば満足かな」
嬉しそうにパスタをフォークに絡めては口に運ぶ未来を見て、羨ましそうに眺めていた。
「本当に人それぞれですね」
梓はそれ以降、黙々と夕飯を平らげた。食器を片付け、椅子に座り、またテーブルで頭だけゴロゴロし出した。
未来は梓を気にしつつも、目の前にある好物を食べる。勇気と未来が同時に食べ終わり、食器を片付けた。
未来はコーヒーを淹れ、テーブルに置く。それを見た梓は、“ありがとう”とお礼を言って口に運んだ。
勇気も椅子に座り、未来の淹れたコーヒーを飲む。未来は立ったまま、梓を見つめていた。
「ど、どうしたの? 未来さん?」
未来の視線に気が付いた梓は、少し緊張した様子で未来に尋ねた。
『どうしてそんなに暇なの?』
ホワイトボードを読んだ梓は、ため息を吐きながら答える。
「はぁ~……だってさぁ~、“Four Leaf Clover Blend”の販売準備とか、良太の誕生日パーティー準備でバタバタしてたでしょ? それが終わったら急に暇になっちゃって……」
「確かに、ここ最近は何かとイベントが多かったですからね。たまにはのんびりした方が良いですよ」
「でもさ~……暇なんだよねぇ~」
勇気は立ち上がり、厨房へと入る。1枚のチラシを持ってニッコリと笑い、梓の前に置いた。
「それなら、これにチャレンジしたらどうですか?」
「えぇ~……なにこれ?」
梓は気怠そうにチラシを手に取って眺める。
“創作料理コンテスト
参加条件:調理に携わる方なら誰でも可
年齢、料理のジャンルは問いません。
最優秀料理賞に輝いた方には賞金100万”
「え⁉︎ 何これ⁉︎」
チラシを見る前と後で声の張り方が全く違う梓は、チラシを睨みわなわなと震え出した。
「どうです? 参加しますか?」
勇気が笑顔で尋ねると、梓の瞳は火が点いた様にメラメラと燃え、やる気に満ち溢れていた。
「やる‼︎ 参加する‼︎」
「未来さんはどうしますか?」
勇気は未来にも尋ねた。未来は少し恥ずかしそうにしながらコクコクと頷いた。
「じゃあ今日から未来さんはライバルだね‼︎ 負けないから‼︎」
やる気に満ち溢れる梓の言葉に対し、未来は笑顔で文字を書いた。
『私も負けないよ‼︎』
こうして、仲の良い2人はライバルとなり、この日から競い合う様に料理の研究に勤しむ様になった。
“水面カフェ”の営業時間が終わり、未来達は片付けをする。未来は机を拭き終わり、夕飯の支度をしていた。
勇気は3人分の夕食を作っている。勇気は毎晩2人に夕食の希望を聞き、それぞれの希望料理を作ってくれる。その料理はどれもが絶品で、2人は毎晩夕食を楽しみにしていた。
「あー……ひまだー……暇だよー未来さん」
未来は苦笑いしながら、ホワイトボードに文字を書いた。
『今日も忙しかったけど?』
「そうなんだけどさ~、私は“今”絶賛暇人中なんだよ~……」
梓は椅子に腰掛けながら、テーブルの上に頭を乗せて小器用にゴロゴロと動かす。夕飯の支度も手伝わず、“暇”を連呼する梓。そこへ料理を作り終えた勇気が夕飯を運んできた。
「学校の勉強は大丈夫なのですか? 宿題とかしていても大丈夫ですよ?」
勇気が笑顔で梓に言う。勇気のその言葉に梓は力無く答える。
「しゅくだい~? そんなもの出た瞬間に終わらせるよ~」
「それでは宿題の意味がありませんね」
勇気は苦笑いして、料理を並べながら言う。
「宿題は家に帰って、1日の復習と翌日の予習のために行うものですよ?」
「え~……帰ってやるのってめんどくさい~……私は仕事を家に持ち帰らない主義なんだよ~……」
「それは困りましたねぇ。では夏休みとかの宿題も?」
「配られたその日にやる。学校でやる」
「うーん。凄いのは凄いですが……」
「それよりさ‼︎ ご飯食べよ⁉︎ 冷めちゃうよ⁉︎」
急に元気になり話を変える梓を見て、未来は苦笑いするしか無かった。
「「いただきます」」
3人は手を合わせ、勇気と梓が口を開く。未来はペコリ頭を下げた。
「未来さんって、カルボナーラ本当に好きだよね?」
梓は未来の夕食を見て言った。未来はパスタをクルクルとフォークに絡め、嬉しそうに口に運ぶ。そして口の中が空になったところでホワイトボードに文字を書いた。
『勇気さんのカルボナーラが美味しいから。私大好き』
「ははは‼︎ ありがとうございます」
ニコニコと笑う勇気。梓は少し複雑な顔で未来を見た。
「でもさー、1日置きにカルボナーラって飽きない?」
未来はまた口の中が空になったところで文字を書いた。
『全然飽きない。毎日でも良いくらい』
「う~ん。私は飽きるけどなぁ~……」
「好みは人好き好きですよ。梓さんにも好物はあるでしょう?」
勇気は味噌汁を片手に梓に尋ねた。梓は少し考え、口を開く。
「あるにはあるけど……たまに食べれば満足かな」
嬉しそうにパスタをフォークに絡めては口に運ぶ未来を見て、羨ましそうに眺めていた。
「本当に人それぞれですね」
梓はそれ以降、黙々と夕飯を平らげた。食器を片付け、椅子に座り、またテーブルで頭だけゴロゴロし出した。
未来は梓を気にしつつも、目の前にある好物を食べる。勇気と未来が同時に食べ終わり、食器を片付けた。
未来はコーヒーを淹れ、テーブルに置く。それを見た梓は、“ありがとう”とお礼を言って口に運んだ。
勇気も椅子に座り、未来の淹れたコーヒーを飲む。未来は立ったまま、梓を見つめていた。
「ど、どうしたの? 未来さん?」
未来の視線に気が付いた梓は、少し緊張した様子で未来に尋ねた。
『どうしてそんなに暇なの?』
ホワイトボードを読んだ梓は、ため息を吐きながら答える。
「はぁ~……だってさぁ~、“Four Leaf Clover Blend”の販売準備とか、良太の誕生日パーティー準備でバタバタしてたでしょ? それが終わったら急に暇になっちゃって……」
「確かに、ここ最近は何かとイベントが多かったですからね。たまにはのんびりした方が良いですよ」
「でもさ~……暇なんだよねぇ~」
勇気は立ち上がり、厨房へと入る。1枚のチラシを持ってニッコリと笑い、梓の前に置いた。
「それなら、これにチャレンジしたらどうですか?」
「えぇ~……なにこれ?」
梓は気怠そうにチラシを手に取って眺める。
“創作料理コンテスト
参加条件:調理に携わる方なら誰でも可
年齢、料理のジャンルは問いません。
最優秀料理賞に輝いた方には賞金100万”
「え⁉︎ 何これ⁉︎」
チラシを見る前と後で声の張り方が全く違う梓は、チラシを睨みわなわなと震え出した。
「どうです? 参加しますか?」
勇気が笑顔で尋ねると、梓の瞳は火が点いた様にメラメラと燃え、やる気に満ち溢れていた。
「やる‼︎ 参加する‼︎」
「未来さんはどうしますか?」
勇気は未来にも尋ねた。未来は少し恥ずかしそうにしながらコクコクと頷いた。
「じゃあ今日から未来さんはライバルだね‼︎ 負けないから‼︎」
やる気に満ち溢れる梓の言葉に対し、未来は笑顔で文字を書いた。
『私も負けないよ‼︎』
こうして、仲の良い2人はライバルとなり、この日から競い合う様に料理の研究に勤しむ様になった。
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