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閑話 サプライズ

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 未来が目を覚ますと、辺りは暗くなっていた。この一週間、まともに寝ていなかったのと、百合への想いが通じた安心感で、仮眠のつもりが熟睡してしまった様だ。

 未来はベッドの下を見た。そこには梓が寝息を立てている。

 携帯の時計を見ると、時刻は午前1時を過ぎていた。

 軽く伸びをし、水を飲みに店へと下りる。店の中は暗く、電気を点けてコップを取り出し、蛇口から水を入れて飲んだ。

 未来はこの店で起きた出来事を思い返し、微笑む。今日は午前中の早い時間しか起きていなかったが、良い1日だった。

 いつも朝食を食べているテーブルに目をやると、明彦からプレゼントされた本が置いてあった。

 本を手に取り、パラパラとめくる。既に数回読み終えている本。しおりが挟まっている箇所を開く。しおりを見た時、未来は驚きで目を丸くした。

 そこには、4人のメッセージが書かれていた。勇気、梓、明彦、そして百合。

 未来は一文字一文字丁寧に読む。

 『一緒に頑張れてとても楽しかったよ‼︎ これからも末永くよろしくね‼︎ 梓』

 『未来さんには驚かされてばかりっす‼︎ マジで天使っすね‼︎ これからも奇跡を沢山起こして下さいっす‼︎ 相田 明彦』

 『未来さんの頑張っている姿、いつも励みになります。でも、無理し過ぎないで下さいね。 皆本』

 『ありがとう。コーヒー、とても美味しかった。また飲みに来るから。 小森』

 読み終えた後、未来は心から“何か”が溢れて来るのを感じた。心はその“何か”によって満たされ、気が付けば、メッセージの書かれたしおりを額に当て、声にならない声で泣いていた。

 頑張って良かった。自分はこんなにも満たされている。今まで、生きてきて良かった。

 そう心から思う。

 溢れてきた“何か”が、“幸せ”だと言う感情なのだと、未来は理解した。

 これは、四つ葉のクローバーがもたらした奇跡なのかも知れない。

 “復讐”と言う負の感情を振り払い、誰かの為を想い、一生懸命だった未来に対してもたらされた奇跡。

 未来は、この幸せを胸に噛み締め。口をゆっくりと動かした。

 (ありがとう)

 
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