余命 （虚構） （遺書） 【実録】 遠藤さくら（著）

短編小説

太原

孤録（ころく）とは非常にアンニョイな物言いだが自然展開の裸体の姿はどこか物哀しげであり容易に取り沙汰されない人のようであった。厳罰化が進みアンニョイは自然展開から物悲しげな孤独なごうつく婆にしたようだ。人間の不確かさと欲にまみれた感性がそこには展開されている。彼女はまだ若いはずであるのだが、老けた負い得た肉親のそれに似ていた。顔はあぶら塗れであり、その人間性を強調する魂には光はない。生きながらに死に。生死を彷徨う癌患者のようであった。一度は命を救われるが末期癌とは彼女の肉を蝕み日増しに越え太る贅肉のような怠惰な生活から打って変わって一路波のような穏やかな秘宝がそこにはある。身体は痩せ衰えて、食事制限がかかり涙ぐましい努力のあとはそこにはない。余生とはなんであろうかと考える。穏やかな資質と持ち合わせた器量さで生活を営んでいた女性の姿はそこにはない。ぐうたらでそれでも生死に軽んじまいとして生きる姿がそこにはあるのみである。

女性の生涯とはなんだったのかと考えるが、人間の不滅性など取るに足らないものであり。ここで、子供たちの悲鳴が聞こえた。「ギャーと泣きお腹が痛い、お腹が痛い」そう煩わせる彼女たちもまた生命なのであろうか。