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罪状認否

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男がカレーに毒物を仕込むという行為を覚えたきっかけは、15歳のときに角川春樹が社長だった時代に起きた、コカインをカレーに混ぜるという事件の当事者となったことに遡る。その事件は男の人生に深い影響を与え、彼はコカイン中毒へと陥っていった。少年期のある日、突如として訪れたこの事故が、彼の運命を大きく狂わせたのだ。

コカイン中毒になった男は、次第に新宿や横浜などの繁華街を拠点にドラッグを買い集め、それを売り捌くことを始めた。ドラッグの売買は男にとって唯一の収入源であり、また、自らの依存症を満たすための手段でもあった。昼夜問わず、街を彷徨いながらコカインを手に入れ、それを売ることでなんとか生計を立てていた。彼の生活は、コカインに支配され、常にその影響下にあった。

登校拒否という悩みも、彼のドラッグ使用に拍車をかけた。学校に行くことへの恐怖や社会との断絶感に押しつぶされそうになりながらも、男は勇気を振り絞って外の世界に出るために、コカインと酒を手放せなかった。ドラッグを摂取することで、現実の恐怖や不安を一時的に忘れ去ることができたからだ。彼の人生は、自らの問題に打ち勝つためではなく、ドラッグと飲酒という逃避の手段に依存することで成立していた。

男は、その若さで既に数多くの罪を重ね、社会の中での位置を失っていた。コカインの売買に手を染めることで、彼は法を犯し続け、その果てに待つのは捕縛か、あるいはもっと深い闇への転落であることを知りながらも、止まることができなかった。その行為の根底には、外の世界と自分をつなぐ唯一の方法がドラッグであるという歪んだ信念があった。

彼にとっての「勇気を振り絞ること」とは、ドラッグを摂取することに他ならなかった。日常の不安から逃れ、登校拒否の苦悩を忘れるために、男はドラッグと酒に溺れ続けたのだった。彼の人生は、出口のない迷路のようで、どこに進んでも同じ場所に戻ってくるような、果てしない循環の中にあった。彼が求めたのは、恐怖からの解放であり、ドラッグを通じた一瞬の平穏だったのかもしれない。しかし、その平穏が持続することはなく、男は再び現実の厳しさに直面し続けるのだった。

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男は最終的に逮捕され、求刑六年、実刑五年の判決を受けた。しかし、警察と検察は男の真の犯罪行為、特に性的犯罪の証拠を完全には掴むことができなかった。捜査の中でそれらの行為には気づいたものの、証拠不十分として不起訴処分となったのだ。

男はその当時から少年や少女に対して深い性癖を抱いており、その嗜好は出所後も変わることがなかった。出所して間もなく、男は女性を狙った強襲行為を始め、ハンドバッグを狙った窃盗や強盗を繰り返した。男は逮捕される前にも、すでにいくつかの強盗事件を引き起こしていたが、それらの多くは薬物使用に伴う意識混濁状態での犯行であったため、立証が困難で不起訴処分に終わることが多かった。

警察は男の動向を何度も見張っていたが、男の逮捕にはなかなか至らなかった。彼は自身の薬物使用による快楽に浸り、記憶障害に陥った状態で犯行に及ぶことを常習としていた。薬物に依存し、そこに自身の歪んだ快楽を見出すことで、男は現実からの逃避を図っていた。彼にとって、薬物は自己の抑圧された衝動を解放する手段であり、その結果として繰り返される犯罪は彼の中で正当化されていた。

出所後、男の犯行はさらにエスカレートした。薬物と酒を同時に摂取することで得られるトリップ状態の中で、次々と事件を起こしていった。その意識の混濁の中で犯す犯罪は、彼にとっての一種の自己表現であり、現実との接触を拒絶する方法でもあった。警察が男の動きを注視し続けていたにもかかわらず、彼は巧みに捜査の目を逃れ、再び闇の中での活動を続けた。

男の人生は、犯罪と薬物に支配された無限のループのようであった。警察は男の逮捕を目指して幾度となく捜査を重ねたが、彼の犯行は巧妙で証拠が決定的ではなく、再び不起訴処分となることが多かった。男は社会の隅で自身の快楽を追い求め、薬物と犯罪に溺れながら、その日々を過ごしていくのだった。彼の行く先に待つのは、自己破壊の終焉か、さらなる闇への堕落であることは、もはや避けられない運命のように思えた。

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男が実刑五年で済んだのは、巧妙な策謀と虚偽によるものだった。彼は真実を捻じ曲げ、検察を巧みに騙し、嫌疑を虚構の方向へと移し変えた。犯行の罪状をまるでゲームのように取り扱い、虚構の物語を作り上げることで自らの罪を隠蔽したのだ。男は一度たりとも正直に語ったことはなく、そのブラックコーヒーのような苦渋の人生は、彼の自己欺瞞をも助長し続けた。

警察との裏取引により、男は罪の軽減を図った。彼は警視庁との証明を行い、自らに都合の良い条件を整え、最終的にわずか実刑五年という刑期で済ませることができた。しかし、男の素性をすべて知る警視庁と検察はその罪を黙認し、追及することはしなかった。表向きは法の執行機関でありながら、その裏では男の罪状に目をつぶる取引が行われていた。

男にとって犯罪は生きがいであり、二年に一度のペースで犯行を繰り返していた。その間、彼はひたすら引きこもり、次の犯行の機会を待ち続ける。男の自殺企図は、彼自身をも欺く手段であり、嫌疑を軽くするための演出にすぎなかった。男の正体を知る者は、彼の手にかかり命を落とし、それは男の社会への復讐へと変わっていった。

実に二十年にわたる逃亡を続けた男は、引きこもりと行動派という相反する人生哲学を貫き通してきた。表では孤立した存在としての自分を隠し、裏では大胆な犯行を繰り返すことで、社会からの断絶を求めていたのだ。男にとって、その生き方は一種の自己表現であり、また唯一の現実逃避でもあった。彼の犯罪は一連の終わりなき闇のサイクルであり、そこからの解放は決して訪れることはなかった。男の存在は、まるで社会の影に潜む幽霊のように、誰にも気づかれぬままに、しかし確実にその爪痕を残していった。

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男は数年に一度、本気で愛する女性との関係を持つが、その関係は常に危ういバランスの上に成り立っていた。彼が本気で愛した女性たちからは、利害関係を見いだされ、脅迫を受けることもあった。その結果、男は静かに女性の殺害を待ち望むようになった。何度も人を使ってその女性を殺害しようとしたが、計画は失敗に終わり、望んだ結果を得ることはできなかった。それでも、彼は他の女性の殺害で満足を得ることで、その欲望を満たしていった。快楽殺人は続き、男は殺人を通じてしか得られない歪んだ満足感に浸っていた。

男はその快楽を記録するため、小説や随筆の形で殺人の意図を書き記すことを習慣としていた。殺害後には必ず作品として残すと誓い、これまではその誓いを守り続けていた。しかし、医師からはその文章を削除するよう忠告され、その指示に従って記事を消すこともあった。しかし今回、男は医師の助言に逆らい、反発することで自己の意志を貫こうとした。自らの無実を信じる者たちはこれまで生かしてきたが、一度でも自分に投降を促す者に対しては、背を向けて殺害や犯人隠匿に全力を注ぐことを選んだ。彼は自らを「影の人間」として認識されることを望み、虚構と偽りの世界で生き続けていた。

男は、彼の愛した女性を自分のものにしようとしつつも、その女性は距離を保ちつつ真実だけを求め続けた。男は夢魔の中で夢に怯え、供述と調書の隠蔽に生きることを選んだ。ある時は自殺を試み、またある時は自らの体を切り裂き、無実を訴える。しかし、その行動の背後には、常に一人の女性を死に追いやるための計画があった。それは、完全犯罪への道を歩むために捧げられた花束のようであった。

男の人生は、欺瞞と暴力、そして自己欺瞞の連鎖の中で形作られていた。彼の歪んだ愛と憎悪は、現実の中で混沌とし、どこにもたどり着かないまま、虚無の中で漂っていた。そして男は、真実と偽りの狭間で、また新たな獲物を探し続けるのだった。その終わりのない暗黒の物語は、男自身の手で描かれた終焉なき悲劇だった。

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