転生したと思った世界はVRMMOの中だった

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結局良い理由が思い浮かばなかったので

お店を休んで

自分で試す事にした。

食材の仕入れにお金がかかる訳でもなく毎朝勝手に届くので

営業していなくても生活はできるのだ。

売上のお金も毎朝勝手に消えているが

試しにいくらか別の場所に移動させたらその分は消えなかったので、

外に出れた時の為に貯めていく事にした。

「さてさて、ゲームの知識はあまりないが色々言ってみるか」

誰も聞いてないと分かっていても

声に出して試すのは些か恥ずかしいが

多分と思った事を言ってみる

「アイテムボックス」

ピコンっという音と同時に

画面の様なものが出てきて

それぞれの項目が表示される

収納

取り出し

収納一覧

削除

取り消し

時間停止

時間追加



思ったより簡素なものなのは

この身体がプレイヤーのものとは違うからだろう。

最初に見た動作では

声に出さずに表示されていたので

思い浮かべれば出来るかもしれないが先に使い方を検証しよう。

あの時は画面をタップして出し入れしていたので

それぞれの項目をタップする事で可能なのだろう。

収納をタップして冷蔵庫から出した牛乳を入れる。

パックのまま入れようとしたがブザーがなり入らなかった。

それならとコップに移して入れたらすんなり出来たので

やはり販売用にしか使えない様だ。

パックごとは転売になるから無理なのか？

他のもので検証してみたが
食材として届いたままの状態では収納できず

少しでも手を加えると収納出来た。

飲み物ならコップや容器に移し、食材のままならカットしたりすれば収納出来た。

手を加えたものなら鍋ごとも大丈夫だったが

調理器具等は勿論の事

飲食品以外の物は収納出来なかった。

食器も中身があれば反応するが中身がなければ反応せず

フォークやスプーンも必要性があるものだけで

関係ないものや複数は無理だった。

まぁ、プレイヤーとして活動する訳でもないのでコレで十分だ。

明日の営業に備えた調理をしていこう！

驚くプレイヤーの顔が楽しみだ。

徐々にメニューも増やしていくのも楽しいだろうが

今は少しずつだな。

まずは俺も食べたい唐揚げから作る。

ニンニクをきかした醤油味と

シンプルに塩コショウ味。

ステーキもニンニク醤油味と

バター醤油味を作って

野菜スティックとマヨ味噌ディップ。

どんどん大量に作って収納していき各百皿ずつを作っていった。

ゲーム補正かこの身体はあまり疲れないのだが

やはり百皿はやり過ぎたか。

風呂に入ってさっぱりしたら

晩酌に唐揚げと野菜スティック、

ニンニク醤油味のステーキを楽しむ。

「くぅ～、美味い！
生きてるぞ～！」

このひと月頑張ったご褒美のビールの味は

元の身体で味わったビールと何も変わらない普通のビールの味がして

ちゃんと自分の存在が現実なのだと実感出来た夜だった。

ちなみに声に出さなくても

思い浮かべれば出来る様だった。

食べ終わると皿は勝手に消えて下の階で食器棚に戻るらしい。

食器類も常に百皿あるように補充されていた。

あとは密かに楽しみにしていたのだが

ステータスと唱えてもプレイヤーと唱えても何も起こらなかった。

やはり自分はこの世界では

住民扱いなのだと再確認した。