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2人の才女 まだつづく

根回しの重要性

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 しかも更にペラペラと喋り出した妃鞠の話によれば、灯枇あけびの友人関係にまつわるチャンスは、実は隣の席のマドンナ以外にもあったのだ。それは一体誰なのかというと、3―9に連ねていた二大才女の2人である。

 この2人はどちらも同じく成績優秀で、更には人格的にも優れており、1人は生徒会長に立候補し、惜しくも選挙で敗れたものの、ヒヲス中学校では選挙に立候補さえすれば、書記やら各委員会の委員長ポストが用意される為、彼女はその後、何かしらの役職を得て生徒会入りしていた。


 またもう一方の彼女も、負けず劣らず優れた知性の持ち主だった。それを特に象徴するエピソードとしては、生徒総会の一件がある。というのは、そもそもヒヲス中学校の生徒会では、当たり前の事だが生徒会長はたった1人である。にも関わらず、副会長は男女各一名ずつ立候補して選出され、計2人の生徒会副会長が並び立つ。

彼女はこれを全くの無駄人事であると考え、性別を問わず副会長の地位も1人に限定すべきであるとして、生徒総会の場で自ら手を挙げて副会長の男女各一人制度廃止を提案した。この議題もまた、他の議題と同じ様に全校生徒達に多数決が取られたが、これは極普通の中学生達にとっては、あまりに高度過ぎる内容だったため、ほとんどの人間が発言の趣旨を理解出来ておらず、結果単純な先例主義に陥り、何となく今まで通りでいい気がするという風潮から生じた圧倒的多数で否決された。


もっとも、この結果はとある国語教師をいからせ、「あなた達という人間は! 何故きちんと物事を考えず、彼女の素晴らしい提案を無碍に片付けてしまったのか!?」と、特に彼女と同じクラスである灯枇あけび達に対して、グチグチグチグチといつまでも説教をし続けた。提案した彼女本人は、受け入れられなかった事に関しては苦笑いを浮かべていたものの、長々と続いた学年一嫌われ者の国語教師のお説教については、灯枇あけび達クラスメイトと同じくうんざりとしていた様に見えた。


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