36 / 38
隣の席のマドンナ
ジュリエット・キャピュレットも真っ青
しおりを挟む
しかしながら、もしかしたらそんな隣の席のマドンナと少しは会話できるような、最初で最後のチャンスが灯枇にも巡って来た。
それは理科の日照記録実験である。灯枇達3―9の生徒達は、たしか給食で出たゼリーか何かの空容器を利用して、その空容器を校庭の片隅にひっくり返して置き、射している日光の位置を定期的に油性ペンで記録するという実験を一度、授業の一環でやらされたのだ。
これは隣の席同士、もしくは適当に好きな相手と2人ペアを組んで行う事になっていた。それで灯枇は隣の席のマドンナから直々に、「どうする? 野々下さん一緒にやる?」とのお言葉を頂戴した。
――え? マジで良いのか? おれの事を嫌いじゃないのか?
マドンナの発言には驚きつつも、当然の事ながら、灯枇の本心としては全くもって悪い気はしなかった。隣の席のマドンナはいつもと変わらず、灯枇とは親しい間柄では無いため、ぶっきらぼうな感じだったが、あの優等生ぶるのが大のお得意の、小学生のうちに転校して行ったナスビとは違って、きっと真面目で律儀な性格なのだろう。
「ねぇ灯枇ちゃん、一緒にやろ~」
だがここで邪魔者が現れた。灯枇的には小学校4年生以来、クラスが別れた事で清々していた妃鞠である。この妃鞠とは、ヒヲス中学校の3―9になって、再びクラスメイトとなっていた。妃鞠の出現により、マドンナの提案は宙に浮いて、結局実験は親しい者同士やる方が良いだろうという事になってしまい、隣の席のマドンナは親しい女子達の元へ行ってしまった。
それで灯枇は、ああやはりマドンナからは嫌われているのだなと勘違いをしてしまい、でもまあ妃鞠が同じクラスでまだ良かったと安堵した。が、それは誤りだった。
何故なら中学校を卒業後、おそらくは高校入学前の暇な期間中に、遊ぶ約束をしたか何かで妃鞠と会った灯枇は、その妃鞠から、驚愕の事実を知らされる。
それは、卒業式が終わった際に、特に女子達は親しい友人同士誘い合って、お互いの卒業アルバ厶の自由欄ページに「ズッ友だょ♡」だの何だのと、何かしらのメッセージを書き残し合う風習があり、その際の妃鞠にあったエピソードだった。
ちなみに、この自伝的小説・「タイマヲマイタ」を読んでいれば分かると思うが、その成り行き的な主人公・「野々下 灯枇」は、とにかく友人関係にある者が少なく、3―9内には妃鞠ぐらいしか居なかった。
だから妃鞠に言われてお互いのアルバムに何かしら書いた他は、おそらくクラスのレアキャラ扱いか何かの需要で別の女子にも頼まれ、一人二人に宛てて書いた以外、実は灯枇は卒業式終了直後に、バレれば先生からの呼出し説教を食らいかねないトラブルを引き起こしていた事もあって、早々に大嫌いなヒヲス中学校を立ち去っていた。
なので灯枇は母親から、「もう帰るの?」と、問われながらもスタスタと先を急ぎ、一目散に自宅へと逃げ去る為、早々に中学校を後にしたが、妃鞠はというと、以前に学校は友達に会えるから好きだと摩訶不思議な発言をしていただけの事はあり、少なくとも灯枇よりは長くヒヲス中学校に留まっていたようだ。
だから妃鞠は、あの灯枇とは元隣の席のマドンナから、驚愕の事実を告げられたらしい。
なんと元隣の席のマドンナは、灯枇と仲良くしたかったらしい。だから日照実験の時も、隣の席同士である灯枇と、本気で一緒に実験をするつもりで声を掛けたらしいのだ。
つまりは隣の席のマドンナもまた、灯枇と同じく友人関係の新規開拓に恐怖を抱いてしまうタイプで、その上、慣れ親しんだ友人達以外との接し方が上手くいかず、一見ぶっきらぼうに見えてしまうような、不器用な人物でもあったのだ。
それは理科の日照記録実験である。灯枇達3―9の生徒達は、たしか給食で出たゼリーか何かの空容器を利用して、その空容器を校庭の片隅にひっくり返して置き、射している日光の位置を定期的に油性ペンで記録するという実験を一度、授業の一環でやらされたのだ。
これは隣の席同士、もしくは適当に好きな相手と2人ペアを組んで行う事になっていた。それで灯枇は隣の席のマドンナから直々に、「どうする? 野々下さん一緒にやる?」とのお言葉を頂戴した。
――え? マジで良いのか? おれの事を嫌いじゃないのか?
マドンナの発言には驚きつつも、当然の事ながら、灯枇の本心としては全くもって悪い気はしなかった。隣の席のマドンナはいつもと変わらず、灯枇とは親しい間柄では無いため、ぶっきらぼうな感じだったが、あの優等生ぶるのが大のお得意の、小学生のうちに転校して行ったナスビとは違って、きっと真面目で律儀な性格なのだろう。
「ねぇ灯枇ちゃん、一緒にやろ~」
だがここで邪魔者が現れた。灯枇的には小学校4年生以来、クラスが別れた事で清々していた妃鞠である。この妃鞠とは、ヒヲス中学校の3―9になって、再びクラスメイトとなっていた。妃鞠の出現により、マドンナの提案は宙に浮いて、結局実験は親しい者同士やる方が良いだろうという事になってしまい、隣の席のマドンナは親しい女子達の元へ行ってしまった。
それで灯枇は、ああやはりマドンナからは嫌われているのだなと勘違いをしてしまい、でもまあ妃鞠が同じクラスでまだ良かったと安堵した。が、それは誤りだった。
何故なら中学校を卒業後、おそらくは高校入学前の暇な期間中に、遊ぶ約束をしたか何かで妃鞠と会った灯枇は、その妃鞠から、驚愕の事実を知らされる。
それは、卒業式が終わった際に、特に女子達は親しい友人同士誘い合って、お互いの卒業アルバ厶の自由欄ページに「ズッ友だょ♡」だの何だのと、何かしらのメッセージを書き残し合う風習があり、その際の妃鞠にあったエピソードだった。
ちなみに、この自伝的小説・「タイマヲマイタ」を読んでいれば分かると思うが、その成り行き的な主人公・「野々下 灯枇」は、とにかく友人関係にある者が少なく、3―9内には妃鞠ぐらいしか居なかった。
だから妃鞠に言われてお互いのアルバムに何かしら書いた他は、おそらくクラスのレアキャラ扱いか何かの需要で別の女子にも頼まれ、一人二人に宛てて書いた以外、実は灯枇は卒業式終了直後に、バレれば先生からの呼出し説教を食らいかねないトラブルを引き起こしていた事もあって、早々に大嫌いなヒヲス中学校を立ち去っていた。
なので灯枇は母親から、「もう帰るの?」と、問われながらもスタスタと先を急ぎ、一目散に自宅へと逃げ去る為、早々に中学校を後にしたが、妃鞠はというと、以前に学校は友達に会えるから好きだと摩訶不思議な発言をしていただけの事はあり、少なくとも灯枇よりは長くヒヲス中学校に留まっていたようだ。
だから妃鞠は、あの灯枇とは元隣の席のマドンナから、驚愕の事実を告げられたらしい。
なんと元隣の席のマドンナは、灯枇と仲良くしたかったらしい。だから日照実験の時も、隣の席同士である灯枇と、本気で一緒に実験をするつもりで声を掛けたらしいのだ。
つまりは隣の席のマドンナもまた、灯枇と同じく友人関係の新規開拓に恐怖を抱いてしまうタイプで、その上、慣れ親しんだ友人達以外との接し方が上手くいかず、一見ぶっきらぼうに見えてしまうような、不器用な人物でもあったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる