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似非淑女的ペドファイルの従姉
目指すだけなら誰でも出来る
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野々下 森次が産まれたE産婦人科病院は、相互理解と、安心と、確かな治療を『目指して』鋭意経営努力中のようだが、昔も今も、明らかに精神科病院ではない。
だから医者から言われて更年期障害だと思いこんでいる、鬱病患者に何かしらの薬は処方出来ても、確かな治療は不可能だ。しかも鬱病患者本人には、更年期障害という嘘しか言わないという事は、ナポレオン・ボナパルトの辞書には不可能という言葉が存在しないように、E産婦人科病院の辞書にはインフォームド・コンセントという言葉が存在しないようだ。今現在は改善されている事を祈りたいが。
このようにして、不当に鬱病患者から入院費用を稼いだ他、婦人病の治療目的以外、例えば生理痛改善や避妊を目的とする場合は保険適用外となる低用量ピルの金額も、他の婦人科病院よりも比較的高く上乗せしている。E産婦人科病院は、患者側から強く希望されなければ、生理痛改善にはロキソニン派で、避妊は出来ればコンドーム派である。今は改善されているかどうかは定かではないが、少なくとも野々下 灯枇が見た範囲では、極めてがめつい経営方針であった。
そのくせ今現在は改善されている事を祈りたいが、子宮の検査器具も古く、前か後ろのどちらからか直接突っ込んで診ない事には、ピル処方の可否判断もつけられないらしい。一応毎回では無かったが、性別関係なくE産婦人科病院に勤務する医者達は、突っ込むのが当たり前だし、そうでなければ危ないので、低用量ピルは処方出来ないという主義だった。
「じゃあ、前から突っ込んで診てみましょうか。え、まだなんですか? 今どき珍しい」
性別関係なくE産婦人科病院に勤務する医者達の頭は、恐ろしく春だった。
もちろん突っ込む前にちゃんと質問するから、とんでもない悲劇は起こり得ないのだが。妙齢の女性ならば経験済みに違いないという、彼ら彼女ら独特の価値観のせいで生じる羞恥プレイを突破し、低用量ピルがどうしても欲しければ、どうせ異常など見つかるはずも無いのに、我慢して後ろから突っ込まれなくてはならないのだ。
何故こんな話を書くかというと、この後ろから突っ込まれたのが引き金となって、大学生時代の野々下 灯枇は、とある昔の話を思い出したからだ。それはある時、知人の美里君から話して聞かせてくれた話だった。
「フニャフニャだから、後ろから抱きつかれて入っちゃったんだ。この間部活の合宿でさー、風呂に浸かってる時。あいつフニャフニャだけん」
灯枇はその頃既に薔薇趣味だったから、突然告げられた内容に一瞬クエスチョンマークを浮かべたものの、美里君の話が果たして何を意味するのかは、ある程度理解出来た。
「え? ええっ!?」
前提として、灯枇は、今も昔も薔薇趣味同士以外の人前では、その趣味を公言した事は一切無い。また、善良な美里君は、残念ながらこの話以外は特筆すべきエピソードが見当たらないが、灯枇とはごく普通の知人同士であり、少なくとも彼は灯枇に嘘を吐くような人間では無い。
美里君は、灯枇のびっくり仰天した反応を確かめると、何故か微笑みを浮かべ、それじゃ、と手を振って去って行った。
当時の灯枇には分からなかったが、そもそも後ろから突っ込まれるというのは、それが検査器具で、潤滑剤を塗布されていたとしても、精神的なショックはかなりデカい。ということは、謎のあいつがどんなにフニャフニャだろうが、美里君は、部活動合宿先の風呂場でめちゃくちゃ嫌な目に遭わされた事になる。
――ヒヲス保育園に通っていた、その母親とお揃いの、金髪混じりの茶髪に染められていた年下のアテネちゃん
――親達から江津湖近くのアパート内で臀部を平手打ちされ、度々外に叩き出されては泣き叫んで許しを乞い、その結果引き起こされた夜尿症をあざ笑われて、ヒヲス小学校入学前から自尊心がずたぼろに壊れ、中学生時代の柾谷曰く、引っ込み思案な性格となっていた野々下 灯枇
保育園時代、年下のアテネちゃんが灯枇と親しく遊んでくれたことや、中学時代に突然廊下で灯枇に話しかけて来た美里君の例を紐解いて、ああやはり犠牲者同士は惹かれ合うのだとセンチメンタルに浸りたくなるかも知れない。しかしそれは違う。美里君は、灯枇の価値観を問うたのだ。
美里君は男子だから、謎のあいつと同じ風呂に入るしかなく、結果としてトラブルに巻き込まれてしまったが、例えその場に部活仲間か、部活指導者か何かの第三者が居たのだとしても、単なる悪ふざけとして受け止められてしまったのだろう。もしかすると笑われてしまったのかも知れない。
美里君はそんな最低最悪の部活合宿から生還したが、男子だから、もし仮に信頼できそうな先生か親に嫌悪感を訴えたとしても、真面目に取り合っては貰えなかっただろう。
本来であれば、誰に対してであっても刑法第177条が適用されて、犯罪者にはしかるべき処罰が下るべきだが、やるせない事にそれを警察官や検察官や裁判官に証明する為には、気色の悪い物的証拠があれば鑑定用にきちんと残し、刑事訴訟法に基づいて警察官達が作る、これは2020年今現在も変わらず、調書という名のインタビュー作文が完成するまで、可能な限り長時間、何回でも付き合わされる事になる。しかも役所の都合で担当者が変わることだってあり得るのだから、同じ事を何度も何度もインタビューされてしまう可能性だってある。
これが録画なら一回で済む上に、そもそも本当に本人が言ったのかどうかや、証言や自白の強要疑惑も晴らせるというのに。最悪PTSDを発症しかねない、トラウマ作文インタビューに参ってしまったら、もう残された手段は相手との示談で、犯罪者には金銭的処罰を与えて終わりにするしかない。誠に日本国の裁判制度というものは、特に刑法第177条に関しては、やったもん勝ちの犯罪者天国と呼んでも差し支えないのではないだろうか?
こんな延々と続く作文インタビューシーンなんて、刑事ドラマの限られた尺で再現するのは不可能だし、つまらなくて視聴率も取れない。だから、本当に大事な部分はいつも省かれてしまうのだ。
だから医者から言われて更年期障害だと思いこんでいる、鬱病患者に何かしらの薬は処方出来ても、確かな治療は不可能だ。しかも鬱病患者本人には、更年期障害という嘘しか言わないという事は、ナポレオン・ボナパルトの辞書には不可能という言葉が存在しないように、E産婦人科病院の辞書にはインフォームド・コンセントという言葉が存在しないようだ。今現在は改善されている事を祈りたいが。
このようにして、不当に鬱病患者から入院費用を稼いだ他、婦人病の治療目的以外、例えば生理痛改善や避妊を目的とする場合は保険適用外となる低用量ピルの金額も、他の婦人科病院よりも比較的高く上乗せしている。E産婦人科病院は、患者側から強く希望されなければ、生理痛改善にはロキソニン派で、避妊は出来ればコンドーム派である。今は改善されているかどうかは定かではないが、少なくとも野々下 灯枇が見た範囲では、極めてがめつい経営方針であった。
そのくせ今現在は改善されている事を祈りたいが、子宮の検査器具も古く、前か後ろのどちらからか直接突っ込んで診ない事には、ピル処方の可否判断もつけられないらしい。一応毎回では無かったが、性別関係なくE産婦人科病院に勤務する医者達は、突っ込むのが当たり前だし、そうでなければ危ないので、低用量ピルは処方出来ないという主義だった。
「じゃあ、前から突っ込んで診てみましょうか。え、まだなんですか? 今どき珍しい」
性別関係なくE産婦人科病院に勤務する医者達の頭は、恐ろしく春だった。
もちろん突っ込む前にちゃんと質問するから、とんでもない悲劇は起こり得ないのだが。妙齢の女性ならば経験済みに違いないという、彼ら彼女ら独特の価値観のせいで生じる羞恥プレイを突破し、低用量ピルがどうしても欲しければ、どうせ異常など見つかるはずも無いのに、我慢して後ろから突っ込まれなくてはならないのだ。
何故こんな話を書くかというと、この後ろから突っ込まれたのが引き金となって、大学生時代の野々下 灯枇は、とある昔の話を思い出したからだ。それはある時、知人の美里君から話して聞かせてくれた話だった。
「フニャフニャだから、後ろから抱きつかれて入っちゃったんだ。この間部活の合宿でさー、風呂に浸かってる時。あいつフニャフニャだけん」
灯枇はその頃既に薔薇趣味だったから、突然告げられた内容に一瞬クエスチョンマークを浮かべたものの、美里君の話が果たして何を意味するのかは、ある程度理解出来た。
「え? ええっ!?」
前提として、灯枇は、今も昔も薔薇趣味同士以外の人前では、その趣味を公言した事は一切無い。また、善良な美里君は、残念ながらこの話以外は特筆すべきエピソードが見当たらないが、灯枇とはごく普通の知人同士であり、少なくとも彼は灯枇に嘘を吐くような人間では無い。
美里君は、灯枇のびっくり仰天した反応を確かめると、何故か微笑みを浮かべ、それじゃ、と手を振って去って行った。
当時の灯枇には分からなかったが、そもそも後ろから突っ込まれるというのは、それが検査器具で、潤滑剤を塗布されていたとしても、精神的なショックはかなりデカい。ということは、謎のあいつがどんなにフニャフニャだろうが、美里君は、部活動合宿先の風呂場でめちゃくちゃ嫌な目に遭わされた事になる。
――ヒヲス保育園に通っていた、その母親とお揃いの、金髪混じりの茶髪に染められていた年下のアテネちゃん
――親達から江津湖近くのアパート内で臀部を平手打ちされ、度々外に叩き出されては泣き叫んで許しを乞い、その結果引き起こされた夜尿症をあざ笑われて、ヒヲス小学校入学前から自尊心がずたぼろに壊れ、中学生時代の柾谷曰く、引っ込み思案な性格となっていた野々下 灯枇
保育園時代、年下のアテネちゃんが灯枇と親しく遊んでくれたことや、中学時代に突然廊下で灯枇に話しかけて来た美里君の例を紐解いて、ああやはり犠牲者同士は惹かれ合うのだとセンチメンタルに浸りたくなるかも知れない。しかしそれは違う。美里君は、灯枇の価値観を問うたのだ。
美里君は男子だから、謎のあいつと同じ風呂に入るしかなく、結果としてトラブルに巻き込まれてしまったが、例えその場に部活仲間か、部活指導者か何かの第三者が居たのだとしても、単なる悪ふざけとして受け止められてしまったのだろう。もしかすると笑われてしまったのかも知れない。
美里君はそんな最低最悪の部活合宿から生還したが、男子だから、もし仮に信頼できそうな先生か親に嫌悪感を訴えたとしても、真面目に取り合っては貰えなかっただろう。
本来であれば、誰に対してであっても刑法第177条が適用されて、犯罪者にはしかるべき処罰が下るべきだが、やるせない事にそれを警察官や検察官や裁判官に証明する為には、気色の悪い物的証拠があれば鑑定用にきちんと残し、刑事訴訟法に基づいて警察官達が作る、これは2020年今現在も変わらず、調書という名のインタビュー作文が完成するまで、可能な限り長時間、何回でも付き合わされる事になる。しかも役所の都合で担当者が変わることだってあり得るのだから、同じ事を何度も何度もインタビューされてしまう可能性だってある。
これが録画なら一回で済む上に、そもそも本当に本人が言ったのかどうかや、証言や自白の強要疑惑も晴らせるというのに。最悪PTSDを発症しかねない、トラウマ作文インタビューに参ってしまったら、もう残された手段は相手との示談で、犯罪者には金銭的処罰を与えて終わりにするしかない。誠に日本国の裁判制度というものは、特に刑法第177条に関しては、やったもん勝ちの犯罪者天国と呼んでも差し支えないのではないだろうか?
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