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相生 眞祝 まだつづく

Mayday, mayday, mayday,

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 物心もついていない、たったの4歳児に姉として相応しい立ち振舞いを求め、それが叶わなければ何度も素手で素肌をビンタし、江津湖近くのアパート1階の縁側からしょっちゅう庭に叩き出し、その結果引き起こされた、単発的には小学校3年生まで続いた深刻な夜尿症をあざ笑うような親達の馴れ初めについて、野々下 灯枇あけびはついぞ聞かされた事が無かった。しかし、もしそれが誰かからの紹介によるものであれば、おそらく灯枇あけびの母親は、その誰かから大層嫌われていたに違いない。

 何故なら灯枇あけびの母親は、被害者ぶる事も可能な立ち位置ではあるが、それ以前の問題として、おそらく昔から、厚顔無恥の恩知らずな人間であるからだ。その根拠となるのは、母方の祖父の教育熱心さであるのがまた悲しいことだ。


 灯枇あけびの母親は、おそらくは村一番のガリ勉か何かであったため、当時としては珍しく、祖父は若き日の灯枇あけびの母親を、遠く離れた若草市の高校へと送り出した。

しかし若き日の灯枇あけびの母親が、いざ県下の上位四校いずれかに進学して周りを見渡すと、たかが受験勉強など、出来て当たり前の世界だったのだろう。どうやら高校受験で燃え尽きてしまったらしい。多少は友人達にも恵まれ、灯枇あけびがまだ幼いうちには色々と交流もあったようだが。


その後若き日の灯枇あけびの母親は、短大卒業時の一回では必要な資格が取れなかったため、祖父から大学の院か何かに留年させて貰ってまで、ようやく必要資格を取得すると、希望通り公務員の道へと進ませて貰った。ここまではまあ、良い話ではある。



 しかし忘れてはならない。灯枇あけびの母親は、厚顔無恥の恩知らず人間である。だからこそ、自身が気に入らないという本当の理由を、もっともらしい嘘で覆い隠しつつ反対意見をまくし立て、挙げ句の果てには灯枇あけびの人格まで否定し、灯枇あけびの進路を自身にとって都合の良い方向にする為に、あらゆる手段を駆使して徹底的に追い詰めた。


 その妨害工作の結果、灯枇あけびの魂は高校受験シーズン中に逝去した。灯枇あけびが自分で探し出した、当時からきちんと女子寮も完備され、海技士資格も取得可能な、国立口之津海上技術学校ではなく、行きたくもない若草市立必由館高等学校に、入試偏差値的にベストな選択だからというだけの理由で受験勉強を強いた。その為にはいつしか灯枇あけびにとって唯一の砦となっていた、単なる高校受験指導者としてだけでなく、人間としても非常に優れた先生達が集まっていたさくら塾を人質に取って、結果としてお望み通り何事も無かったかのように進学させた。



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