27 / 105
【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
27にゃん
しおりを挟む
「おのれ…ティリオン。逃げおって…」
ロドリゲスが忌々しそうに毒づいた。
「ええい、構わぬ! 闇の神の裁きを受けよっ!!」
攻撃性を持った闇の力がうねりとなって差し迫ってくる。
私はライオットの前に躍り出て、その軌道上にジャンプした。
「――ニャンコ!!?」
闇の玉は私にぶつか――ったかと思うと、首元に吸い込まれるようにして消えていく。
着地すると、チリリ、と鈴が鳴った。攻撃は吸収、無効化されたのだ。
「なっ…我が攻撃が効かぬ…じゃと……!?」
「アンシェラしゃんが闇のシュクフクをくれたから大丈夫にゃっ!」
神官が動揺する。背後のライオット達を安心させるために叫んで、私は肩を怒らせてじっとロドリゲスを見詰めた。
「ニャンコが、闇の神の祝福を…」
「闇の祝福じゃと!? 初代闇の教皇が授かったという我が神の寵愛を、お前のような者が…。しかし、それが本当なら。猫獣人、わしと共に来るのじゃ! 貧しく汚らしい冒険者共といるよりは、高級な魚や菓子にマタタビ――そうじゃ、見目のよいオスの猫獣人も探してきてやるぞ! 何でも贅沢は思いのままじゃ!」
ライオット達が貧しく汚らしいだと?なんて事を言うんだこのハゲは。
私はゴミを見るような目で相手を見た。
「オコトワリにゃ。アンシェラしゃんにも嫌われてるようなジドウユウカイハンのところに何で行かなきゃイケナイのにゃ?」
おしりぺんぺんをしてあっかんべーをすると、ロドリゲスは顔を真っ赤に染め上げた。
「なんじゃと? 甘い顔をすれば付け上がりおって! ――お前達、この猫獣人を捕らえよ! 捕らえた者には褒美として金貨100枚出そう!」
金貨100枚、に功に逸ってこちらに駆け寄ろうとした一人の山賊の頭を、一本の矢が際どい所で掠めていく。
他に駆け出しそうだった山賊も思わず足を止める。
スィルがキリキリと弓を番えていた。
「――残念だけどそうはさせないわ! いいことを教えてあげる。街から自警団がこちらに向かってるの。マリーシャも一緒にね」
「だとさ。さっさと逃げた方が良いんじゃないか、ハゲの神官さん?」
ライオットがいい笑顔を浮かべながら剣を弄びながらじりじりと迫り、ロドリゲスは不利を悟ったのか後ずさりする。
「風の精霊よ! 刃となりて敵を弱めて!」
"ほいきたー!"
悲鳴が聞こえた。
風の精霊がカマイタチを作り出して山賊達を攻撃しているようだ。
「精霊使い…ティリオンさえ裏切らねば…」
「アンシェラしゃんに教えてもらったコラシメのおまじない、誰からしてもらいたいのかにゃあ?」
―― 食 中 毒 !
皆の気持ちは一致したのだろう。
「ええい、ここは一旦引くのじゃ!」
ロドリゲスは闇弾を牽制に放ち、慌てて踵を返して駆け出した。
一拍遅れて山賊達もそれに続く。
「逃がさん、待て!」
駆け出すライオット。スィルは樹に飛び移って飛ぶように行ってしまった。
私も、と続こうとすると、ふわりと体が宙に浮く。
「にゃっサミュエルしゃん!? わたちも戦えるにゃ!」
「ニャンコは危ないからダメです! ライオット――私はニャンコを連れて自警団と合流します!」
「分かった、後でな!」
じたばたする私を逃がさないよう強く抱っこして、サミュエルは彼らとは反対方向へ走り出した。
ロドリゲスが忌々しそうに毒づいた。
「ええい、構わぬ! 闇の神の裁きを受けよっ!!」
攻撃性を持った闇の力がうねりとなって差し迫ってくる。
私はライオットの前に躍り出て、その軌道上にジャンプした。
「――ニャンコ!!?」
闇の玉は私にぶつか――ったかと思うと、首元に吸い込まれるようにして消えていく。
着地すると、チリリ、と鈴が鳴った。攻撃は吸収、無効化されたのだ。
「なっ…我が攻撃が効かぬ…じゃと……!?」
「アンシェラしゃんが闇のシュクフクをくれたから大丈夫にゃっ!」
神官が動揺する。背後のライオット達を安心させるために叫んで、私は肩を怒らせてじっとロドリゲスを見詰めた。
「ニャンコが、闇の神の祝福を…」
「闇の祝福じゃと!? 初代闇の教皇が授かったという我が神の寵愛を、お前のような者が…。しかし、それが本当なら。猫獣人、わしと共に来るのじゃ! 貧しく汚らしい冒険者共といるよりは、高級な魚や菓子にマタタビ――そうじゃ、見目のよいオスの猫獣人も探してきてやるぞ! 何でも贅沢は思いのままじゃ!」
ライオット達が貧しく汚らしいだと?なんて事を言うんだこのハゲは。
私はゴミを見るような目で相手を見た。
「オコトワリにゃ。アンシェラしゃんにも嫌われてるようなジドウユウカイハンのところに何で行かなきゃイケナイのにゃ?」
おしりぺんぺんをしてあっかんべーをすると、ロドリゲスは顔を真っ赤に染め上げた。
「なんじゃと? 甘い顔をすれば付け上がりおって! ――お前達、この猫獣人を捕らえよ! 捕らえた者には褒美として金貨100枚出そう!」
金貨100枚、に功に逸ってこちらに駆け寄ろうとした一人の山賊の頭を、一本の矢が際どい所で掠めていく。
他に駆け出しそうだった山賊も思わず足を止める。
スィルがキリキリと弓を番えていた。
「――残念だけどそうはさせないわ! いいことを教えてあげる。街から自警団がこちらに向かってるの。マリーシャも一緒にね」
「だとさ。さっさと逃げた方が良いんじゃないか、ハゲの神官さん?」
ライオットがいい笑顔を浮かべながら剣を弄びながらじりじりと迫り、ロドリゲスは不利を悟ったのか後ずさりする。
「風の精霊よ! 刃となりて敵を弱めて!」
"ほいきたー!"
悲鳴が聞こえた。
風の精霊がカマイタチを作り出して山賊達を攻撃しているようだ。
「精霊使い…ティリオンさえ裏切らねば…」
「アンシェラしゃんに教えてもらったコラシメのおまじない、誰からしてもらいたいのかにゃあ?」
―― 食 中 毒 !
皆の気持ちは一致したのだろう。
「ええい、ここは一旦引くのじゃ!」
ロドリゲスは闇弾を牽制に放ち、慌てて踵を返して駆け出した。
一拍遅れて山賊達もそれに続く。
「逃がさん、待て!」
駆け出すライオット。スィルは樹に飛び移って飛ぶように行ってしまった。
私も、と続こうとすると、ふわりと体が宙に浮く。
「にゃっサミュエルしゃん!? わたちも戦えるにゃ!」
「ニャンコは危ないからダメです! ライオット――私はニャンコを連れて自警団と合流します!」
「分かった、後でな!」
じたばたする私を逃がさないよう強く抱っこして、サミュエルは彼らとは反対方向へ走り出した。
1
お気に入りに追加
166
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
転生領主の辺境開拓~転移魔法で屋敷を追放されましたが、自由にスキルリセット出来る『リカバリー』で案外元気に暮らしています~
夢・風魔
ファンタジー
転生者であるディオンは、同じく転生者だった祖父から「スキルポイント」を受け継いだ。
そして祖父の死後、後夫であり婿養子である義父によって、ディオンは辺境の砦へと魔法で飛ばされてしまった。
険しい山奥の砦で帰り道も分からず、とにかく砦の中へと入ると──そこにはハーフエルフの少女が暮らしていた。
ディオンはハーフエルフの少女セリスと協力し、これから訪れる雪の季節に備え食料調達に励む。
転生者特典である自由にスキルを獲得出来るポイントは、祖父から大量に貰ってある。
更にディオンの転生者特典のユニークスキルは、八時間以内に獲得したスキルであれば
何度でもリセットが可能という『リカバリー』。
転生者特典をフル活用して、過酷な環境もぬるぬる開拓!
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる