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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
22にゃん
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「何の声だ…?」
児童誘拐犯の首魁と目される闇の神官を、遂に追い詰めた矢先、聞こえてきた怪音。
ライオットは神官に注意したまま、音――いや、声の聞こえてくると思われる方角を気にしていた。
その声は、どんどん大きくなっている。
闇の神官の表情が、暗い笑みに変わった。
「ククク…」
「何がおかしいのです!?」
詰問する魔術師。相手は小ばかにするように目を眇めた。
「お前らの愚かさがおかしいのよ。攫った餓鬼共を何故ここへ留めておいていたと思うのじゃ?」
「まさか、二手に分かれていたっていうの!?」
スィルの叫びにサミュエルがハッと気付いた。
「子供達をどこかへ運ぶつもりだった…?」
「――半分だけ正解じゃ!」
言うなり隙を突いて闇の力を凝縮した攻撃魔法が放たれる――祈り続けるマリーシャに向かって。
それは光の結界にぶつかり、熱した大量の鉄が冷水に入れられたかの如き音を発して反応した。
衝撃にマリーシャが悲鳴を上げ、結界は跡形も無く消えうせる。
それに気を取られた冒険者達の隙を突いて、闇の神官は声の方向へと逃れて距離を取った。
「形勢逆転じゃな」
その言葉とともに、闇神官の背後にある木々が地響きとともに薙ぎ倒され、『それ』は現れた。
サミュエルはマリーシャを支えながら、ライオットとスィルは武器を構えて『それ』を睨みつけている。
彼らの周囲を囲むように新手の山賊達と思しき赤いものが数多、バラバラと現れたのが分かった。
「くっ、魔狼か…」
ライオットが焦燥の表情を浮かべた。
闇に溶け込む体毛、巌の如き巨躯に大木も切り裂く鋭い爪に獰猛な赤き眼光。
上級冒険者でさえ悪夢と呼ぶ化け物がそこにいた。
「道理で魔物に遭遇すらしなかった訳です――全てこの怪物の餌になっていたんですね!」
同じ気持ちなのだろう、サミュエルがわななく。
悟ってしまった――山賊はこの化け物を管理するためにも人員を割いていたのだと。
多勢に無勢、状況は絶望的である。
「たかが四人の冒険者に随分と下手を打ったものだな。ロドリゲス神官。まあ、魔術師にエルフが加わっているから無理も無かろうが」
ふいに響いた、低くも涼やかな声。
丁度月明かりが差して来てその人物を照らしだした。
月の光を跳ね返して輝く銀の髪、闇と見まがう美貌の肌。
そして妖精種を示す、尖った耳――スィルが目を見張った。
「なっ、ダークエルフ!?」
***
あ、やばそう。
そう思いながらも心のどこかでダークエルフキターと高揚感を覚える自分がいた。
"ダークエルフゥ!? ――ってことは地の精霊だわ、何て厄介なの!"
"どーりであたしらが気付かなかったワケだわー!"
風の妖精が騒ぐ傍ら、じっと成り行きを見守る。
手を出すとすれば、子供達を逃がしてあの魔狼とやらを何とかすれば大丈夫だろうか?
「…子供達を安全圏に移動する方法はないのかにゃ? なるべくわたちがやったってばれない方法がいいにゃ」
"精霊頼みしかないわねー。でも、風の精霊には無理なの、悔しいけどー。地の精霊か闇の精霊ならいけるけどー"
シルフィードがむすくれて答える。"どっちかをここに呼ぶなら闇にしてー。地は相性悪いしー"
成る程、了解。ならば闇一択だな。
「『闇の精霊、来て欲しい』にゃ…」
部屋中が一瞬にして真っ暗になった。
"呼んだか?"
無機質で平坦な声がさざめく。何故か、ちょっぴり疲労感を覚えた。
"ちょっとー、暗いじゃない! …って、この圧倒的な存在感は…ま、まさか"
闇が一瞬にして消えうせ――いや、凝縮し、再び形を成したのだろう。
黒眼にウェーブを帯びた長い黒髪。
全身黒ずくめ、陶磁器のような肌の、恐ろしいまでの美貌の女性が現れていた。
唇は笑みの形に弧を描いているが、瞳は人形のように笑っていない。
精霊…なのか? 等身大なんだけど。
あ、でも、こういうのどこかで見たような…。
"や、や、闇の神アンシェラ―――ッッ!!!?"
「 来 ち ゃ っ た ☆ 」
シルフィードの叫びに顎が外れそうになる。
彼女の無表情のもじもじ&テヘペロ☆は、それはそれは怖かった。
☆おまけ☆
「あ、でも闇の神ってマリーシャしゃんから教えてもらった神話には出てこなかったにゃ!?」
"あー、それねー。光の神イーラが漂っていたっていう【暗黒の海】っていうのが闇の神アンシェラ。光の神を崇める教義では光の神を人格神、暗黒の海つまり闇の神を無人格神ととらえているからそうなっちゃうのー。ちなみに光の神は女神と思われてるのー。基本形は男なのにねー"
「厳密に言えば性別は神には関係ないが、司る働きからすればあやつが男、我が女ぞ。男のあやつが卵を産んだと信じてるとは滑稽よな」
「男がセルフニンシン&シュッサンって、誰得のベーコンレタス設定なのにゃっ!?異世界人は未来を生きてんのにゃー!?」
児童誘拐犯の首魁と目される闇の神官を、遂に追い詰めた矢先、聞こえてきた怪音。
ライオットは神官に注意したまま、音――いや、声の聞こえてくると思われる方角を気にしていた。
その声は、どんどん大きくなっている。
闇の神官の表情が、暗い笑みに変わった。
「ククク…」
「何がおかしいのです!?」
詰問する魔術師。相手は小ばかにするように目を眇めた。
「お前らの愚かさがおかしいのよ。攫った餓鬼共を何故ここへ留めておいていたと思うのじゃ?」
「まさか、二手に分かれていたっていうの!?」
スィルの叫びにサミュエルがハッと気付いた。
「子供達をどこかへ運ぶつもりだった…?」
「――半分だけ正解じゃ!」
言うなり隙を突いて闇の力を凝縮した攻撃魔法が放たれる――祈り続けるマリーシャに向かって。
それは光の結界にぶつかり、熱した大量の鉄が冷水に入れられたかの如き音を発して反応した。
衝撃にマリーシャが悲鳴を上げ、結界は跡形も無く消えうせる。
それに気を取られた冒険者達の隙を突いて、闇の神官は声の方向へと逃れて距離を取った。
「形勢逆転じゃな」
その言葉とともに、闇神官の背後にある木々が地響きとともに薙ぎ倒され、『それ』は現れた。
サミュエルはマリーシャを支えながら、ライオットとスィルは武器を構えて『それ』を睨みつけている。
彼らの周囲を囲むように新手の山賊達と思しき赤いものが数多、バラバラと現れたのが分かった。
「くっ、魔狼か…」
ライオットが焦燥の表情を浮かべた。
闇に溶け込む体毛、巌の如き巨躯に大木も切り裂く鋭い爪に獰猛な赤き眼光。
上級冒険者でさえ悪夢と呼ぶ化け物がそこにいた。
「道理で魔物に遭遇すらしなかった訳です――全てこの怪物の餌になっていたんですね!」
同じ気持ちなのだろう、サミュエルがわななく。
悟ってしまった――山賊はこの化け物を管理するためにも人員を割いていたのだと。
多勢に無勢、状況は絶望的である。
「たかが四人の冒険者に随分と下手を打ったものだな。ロドリゲス神官。まあ、魔術師にエルフが加わっているから無理も無かろうが」
ふいに響いた、低くも涼やかな声。
丁度月明かりが差して来てその人物を照らしだした。
月の光を跳ね返して輝く銀の髪、闇と見まがう美貌の肌。
そして妖精種を示す、尖った耳――スィルが目を見張った。
「なっ、ダークエルフ!?」
***
あ、やばそう。
そう思いながらも心のどこかでダークエルフキターと高揚感を覚える自分がいた。
"ダークエルフゥ!? ――ってことは地の精霊だわ、何て厄介なの!"
"どーりであたしらが気付かなかったワケだわー!"
風の妖精が騒ぐ傍ら、じっと成り行きを見守る。
手を出すとすれば、子供達を逃がしてあの魔狼とやらを何とかすれば大丈夫だろうか?
「…子供達を安全圏に移動する方法はないのかにゃ? なるべくわたちがやったってばれない方法がいいにゃ」
"精霊頼みしかないわねー。でも、風の精霊には無理なの、悔しいけどー。地の精霊か闇の精霊ならいけるけどー"
シルフィードがむすくれて答える。"どっちかをここに呼ぶなら闇にしてー。地は相性悪いしー"
成る程、了解。ならば闇一択だな。
「『闇の精霊、来て欲しい』にゃ…」
部屋中が一瞬にして真っ暗になった。
"呼んだか?"
無機質で平坦な声がさざめく。何故か、ちょっぴり疲労感を覚えた。
"ちょっとー、暗いじゃない! …って、この圧倒的な存在感は…ま、まさか"
闇が一瞬にして消えうせ――いや、凝縮し、再び形を成したのだろう。
黒眼にウェーブを帯びた長い黒髪。
全身黒ずくめ、陶磁器のような肌の、恐ろしいまでの美貌の女性が現れていた。
唇は笑みの形に弧を描いているが、瞳は人形のように笑っていない。
精霊…なのか? 等身大なんだけど。
あ、でも、こういうのどこかで見たような…。
"や、や、闇の神アンシェラ―――ッッ!!!?"
「 来 ち ゃ っ た ☆ 」
シルフィードの叫びに顎が外れそうになる。
彼女の無表情のもじもじ&テヘペロ☆は、それはそれは怖かった。
☆おまけ☆
「あ、でも闇の神ってマリーシャしゃんから教えてもらった神話には出てこなかったにゃ!?」
"あー、それねー。光の神イーラが漂っていたっていう【暗黒の海】っていうのが闇の神アンシェラ。光の神を崇める教義では光の神を人格神、暗黒の海つまり闇の神を無人格神ととらえているからそうなっちゃうのー。ちなみに光の神は女神と思われてるのー。基本形は男なのにねー"
「厳密に言えば性別は神には関係ないが、司る働きからすればあやつが男、我が女ぞ。男のあやつが卵を産んだと信じてるとは滑稽よな」
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