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【1】ちーとにゃんこと世界樹の茶畑ドタバタドラゴン大戦争!
20にゃん
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マイムマイム踊りを中断させられた風妖精達が、思い思いに部屋の中をひゅんひゅん飛び交う中。
私と風の妖精王と押し問答していた。
「そっそもそも何でこんなにたくさん出てきたのにゃ!?」
"あっ、それはニャンコの魔力が底なしで美味しいからよー!"
「ここから出してちょーらいにゃっ!」
"えー、ダメよー。ニャンコを留めて守るようにって風の精霊の愛し子のお願いだもん"
くるくると表情を動かしてシルフィードはのたまった。
風の精霊の愛し子、は恐らくスィルの事だろう。
じゃあスィルに出していいか聞いて来いと言えば、"残念だけどー、彼女はあたし達の言葉わかんないのよねー"とあっけらかんと言われた。
ちょっとカチンとくる。
「力づくであらっぽいことはしたくないのにゃ。出して欲しいにゃっ!」
"えー、ニャンコなら、別にここに居たままでも何とかできるでしょー?"
「……」
う…それはそうだが。
シルフィードの言葉に思い直して、ひとまず彼らの様子を見ることにした。
***
ライオットとサミュエルは、丁度件の崖道の入り口にさしかかる辺りでスィル、マリーシャと合流していた。『児童誘拐犯』を追っている間、耳元で風の精霊がスィルの伝言を運んできたからである。
サミュエルの魔術で男のおおよその方向を定め、スィルが風の精霊に命じて探る。
精霊が探ってきたイメージをスィルの心に直接描き出した。
「――間違いないわ。子供達はこの崖山の上の自然洞窟に捕らわれてる。風体は山賊ね。ざっと二十人は居るかしら。後、山賊にグルタニアの神官が紛れてるわ」
「最高司祭様の懸念は現実になってしまったみたいだな」
「二十人…私たちだけでやれるでしょうか?」
「奇襲なら、なんとかいけるかもしれません」
四人は子供達奪還のための計画を練り始める。
そして、夜陰に乗じ、決行。
手筈としては、スィルが子供達の見張りを眠らせ、ライオットとサミュエルが闇の神官に向かう。
マリーシャはその隙に子供達のそばへ行き結界を張る。
だが――
「これは……彼らは私達の事に気付いています。遠見の術でしょうか」
「待ち伏せされてるな、明らかに。だが――」
サミュエルとライオットの視線の先、篝火に照らされた子供達と見張りの男達。
その光から外れた向こうの闇の中に、赤いものがちらほら潜んでいるのが見えた。
「ニャンコ様様ね、助かるわ」
スィルが冷たい笑みを浮かべる。
自分達が斬りこむのを待ち構えているのだろうが、こうもバレバレでは意味が無い。
「子供達が人質にとられる前に迅速にかたをつけなければなりません」
マリーシャが毅然と決意して言う。
ライオットは剣の柄に手を掛けて姿勢を低くした。
男達が余所見をしたその瞬間、号令を掛ける。
「――出る!」
私と風の妖精王と押し問答していた。
「そっそもそも何でこんなにたくさん出てきたのにゃ!?」
"あっ、それはニャンコの魔力が底なしで美味しいからよー!"
「ここから出してちょーらいにゃっ!」
"えー、ダメよー。ニャンコを留めて守るようにって風の精霊の愛し子のお願いだもん"
くるくると表情を動かしてシルフィードはのたまった。
風の精霊の愛し子、は恐らくスィルの事だろう。
じゃあスィルに出していいか聞いて来いと言えば、"残念だけどー、彼女はあたし達の言葉わかんないのよねー"とあっけらかんと言われた。
ちょっとカチンとくる。
「力づくであらっぽいことはしたくないのにゃ。出して欲しいにゃっ!」
"えー、ニャンコなら、別にここに居たままでも何とかできるでしょー?"
「……」
う…それはそうだが。
シルフィードの言葉に思い直して、ひとまず彼らの様子を見ることにした。
***
ライオットとサミュエルは、丁度件の崖道の入り口にさしかかる辺りでスィル、マリーシャと合流していた。『児童誘拐犯』を追っている間、耳元で風の精霊がスィルの伝言を運んできたからである。
サミュエルの魔術で男のおおよその方向を定め、スィルが風の精霊に命じて探る。
精霊が探ってきたイメージをスィルの心に直接描き出した。
「――間違いないわ。子供達はこの崖山の上の自然洞窟に捕らわれてる。風体は山賊ね。ざっと二十人は居るかしら。後、山賊にグルタニアの神官が紛れてるわ」
「最高司祭様の懸念は現実になってしまったみたいだな」
「二十人…私たちだけでやれるでしょうか?」
「奇襲なら、なんとかいけるかもしれません」
四人は子供達奪還のための計画を練り始める。
そして、夜陰に乗じ、決行。
手筈としては、スィルが子供達の見張りを眠らせ、ライオットとサミュエルが闇の神官に向かう。
マリーシャはその隙に子供達のそばへ行き結界を張る。
だが――
「これは……彼らは私達の事に気付いています。遠見の術でしょうか」
「待ち伏せされてるな、明らかに。だが――」
サミュエルとライオットの視線の先、篝火に照らされた子供達と見張りの男達。
その光から外れた向こうの闇の中に、赤いものがちらほら潜んでいるのが見えた。
「ニャンコ様様ね、助かるわ」
スィルが冷たい笑みを浮かべる。
自分達が斬りこむのを待ち構えているのだろうが、こうもバレバレでは意味が無い。
「子供達が人質にとられる前に迅速にかたをつけなければなりません」
マリーシャが毅然と決意して言う。
ライオットは剣の柄に手を掛けて姿勢を低くした。
男達が余所見をしたその瞬間、号令を掛ける。
「――出る!」
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