67 / 98
第五章 公爵夫妻、デートする
【御礼 番外編】公爵夫人の思いつき 後編
しおりを挟む
※エミーリア視点
リーンが起きてた!
寝ていると思い込んで、あんなことやこんなことをしてしまったのに!
さらに私が彼を溺愛しようとしていたこともバレ、なんと彼が嫌がっていると思っていた『溺愛公爵』のあだ名を誇りに思っていると言われてしまった。
「私のやったことは全てムダだったのねね・・・。」
二重にやらかしたことで恥ずかしさでいっぱいになった私は、がっくりと枕に突っ伏した。
「エミィ、ムダじゃないよ。君が僕を想ってしてくれたことは、どんなことでも嬉しいから落ち込まないで?」
いやもう、無理。リーンがどんなに優しく慰めてくれても、やったことはなかったことにならないのよ。
昨夜、あんなに勇気を出して『壁どん』して、彼だったらどうするかなと考えてもう決死の思いでキスして愛を囁いたのに。
全部、ぜーんぶ、私の思い込みだったなんて!あんな恥ずかしいこと、やるんじゃなかった!
人は羞恥でも死ねるんじゃないかしら。
私は枕に顔を押し付けたまま叫んだ。
「恥ずかしすぎてもう無理。なんてことをしてしまったのかしら。」
何か言ってくると思ったのに、リーンは黙ったままだ。
なんとも言えない沈黙が続いて、私がいたたまれなくなったあたりで、彼の腕が伸びてきて後ろからひょいと抱き起こされた。
そのまま身体をくるりと回転させられて、顔に押しつけていた枕はあっさりと取り上げられた。
防御壁が取り上げられ、私は強制的に彼と向かい合う形になった。
いたたまれない気持ちのままに彼の顔に視線を向ければ、薄青の瞳が笑いを含んで私を見つめていた。
「あのさ、昨夜のは計画的な行動として、さっき君が僕に触れてくれたのは衝動だよね?」
「衝動?」
「君は寝ている僕を見て触れたいと、ああいうことをしたいと思ったんだよね?」
「・・・」
確かにその通りですが、言葉にされると尚更恥ずかしいのですが?!
抱えてきた秘密を暴露されたようで、何も言えず全身が熱くなって、堪らず俯いた私に彼が柔らかい声で語りかけてきた。
「ねえエミィ、君も僕に触れたいと思ってくれてるんだと思っていい?」
返事に詰まって目を閉じた私の頬に、そっとリーンの大きくて硬い手が添えられた。
剣を握る人の手だ。
彼と私の身長はそこまで差がないのに、手の大きさと硬さは随分と違っていて、それを知った時はとても驚いた。
私は優しく頬に当てられた彼の手に自分の手を重ねる。
この手がいつも私を守ってくれてる。
ええ、白状するわ。
「そうね。私はリーンに触れられるのも、触れるのも好き。・・・だって、リーンに触れていると安心するんだもの。」
顔を上げてリーンを見つめながら告白すれば、目の前の顔に笑みが溢れた。
「さっき僕が寝ていると思ってエミィが触れてきてくれた時、僕はすごく幸せだったよ。もちろん、昨夜のもドキドキしていつもと違う気分が味わえてよかったし。ね?君のしたことは僕にとってはいいことばっかりだった。」
彼が本当に幸福そうに言うから、私の心もふわりと浮上した。
・・・すごく恥ずかしかったけど、リーンを喜ばせることができたならそれでいいわ!
「そんなに喜んで貰えるなら、私ももっと頑張って貴方を溺愛するわ。」
「それは、楽しみだな。」
そう言いながら彼の顔が近づいてきて、唇が触れる寸前。
ぐーきゅるるー・・・
私のお腹が盛大に鳴った。
「ははっ!もう昼だもの、そりゃ、お腹も空くよね!気が回らなくてごめんね、食事にしよっか。」
「もうっ、そんなに笑わないでよ!」
ベッドに倒れてお腹を抱えて笑うリーンにムカついて、えいっと枕を叩きつける。でも直ぐに自分でも可笑しくなって、結局一緒になって笑い転げた。
■■■
※侍女ミア視点
予想通り、公爵夫妻は昼過ぎまで起きてこなかった。
料理長には昨夜のうちに奥様の計画を伝えたら、そりゃ間違いなく明日は朝昼兼用だな、と頷いていた。
誰が聞いたってあの奥様の思いつきは、旦那様を喜ばせるだけだと思う。
そういうことで今朝(もう昼だけど)、何だか楽しそうに起きてきた奥様の着替えや、身だしなみを整えるのをお手伝いしている最中に私はある発見をした。
「奥様・・・」
「奥様、本日は少し肌寒いので襟首まであるドレスにいたしませんか?」
私がそれを奥様へ告げようとしたところ、華麗にロッテさんに阻まれた。
「そう?寒いかしら?でも、ロッテがそういうならそうするわ。ねえ、さっきミアも何か言いかけてなかった?」
「いえ、髪飾りをどれにするかお尋ねするつもりだったのですが、ドレスを変更されるなら一緒に取ってきますね。」
「ええ、よろしくね。」
私の誤魔化しを疑うことなく、素直に頷く奥様。
それに少々罪悪感を抱きつつ、その場をロッテさんに任せて、私は向かいの衣装部屋へ新しいドレスを取りに行くために廊下へ出た。
そこには早々に支度を終えた旦那様が、壁にもたれて奥様を待っていた。
その横を一礼をして通り過ぎようとした私はふと足を止め、すすっと旦那様に近寄って行った。
「どうしたミア?エミーリアはまだかかりそう?僕も手伝おうか?」
どさくさに紛れて妻に会いたがる旦那様に私は小声で話し掛けた。
「後はドレスをお召しになるだけです。が、着るドレスが変更になったので、取りに行くところです。」
「何かあったの?」
不思議そうに聞き返してきた旦那様に更に小さな声で告げる。
「旦那様、久しぶりにやっちゃいましたね。奥様の首の後ろ辺りに跡が付いてましたよ。」
ここら辺に、と私自身で実際の場所を指し示して説明すると、旦那様がしまった、という表情になった。
「え、本当に?あー・・・加減を間違えたか。消えるまでなんとか誤魔化せそう?」
「ちょうど寒くなってきますし、首の後ろの方ですし、奥様にはバレずに済むんじゃないでしょうか。」
「ごめんね。なんとかよろしく頼むよ。跡をつけないように気をつけてたのにな。・・・なんでエミーリアはあんなに可愛いんだろうねえ。」
「そうですねえ。」
もしかして旦那様って実は溺愛をコントロールしてるようで出来てないかも?
昨夜の『壁どん』の時、旦那様は一体どんな顔をなさったのだろう?驚き?喜び?動揺?
考えていたら、足音とともに
「ミアは遅いですね。ちょっと見て参ります。」
というロッテさんの声がした。
続いて扉が開く気配に慌てた私は、うっとりと奥様に想いを馳せている旦那様を放って衣装部屋へ飛び込んだ。
■■■■
ここまでお読み下さりありがとうございました。
結局、双方ともに溺愛は続行となったようです。
リーンの楽しみが増えただけという・・・。
リーンが起きてた!
寝ていると思い込んで、あんなことやこんなことをしてしまったのに!
さらに私が彼を溺愛しようとしていたこともバレ、なんと彼が嫌がっていると思っていた『溺愛公爵』のあだ名を誇りに思っていると言われてしまった。
「私のやったことは全てムダだったのねね・・・。」
二重にやらかしたことで恥ずかしさでいっぱいになった私は、がっくりと枕に突っ伏した。
「エミィ、ムダじゃないよ。君が僕を想ってしてくれたことは、どんなことでも嬉しいから落ち込まないで?」
いやもう、無理。リーンがどんなに優しく慰めてくれても、やったことはなかったことにならないのよ。
昨夜、あんなに勇気を出して『壁どん』して、彼だったらどうするかなと考えてもう決死の思いでキスして愛を囁いたのに。
全部、ぜーんぶ、私の思い込みだったなんて!あんな恥ずかしいこと、やるんじゃなかった!
人は羞恥でも死ねるんじゃないかしら。
私は枕に顔を押し付けたまま叫んだ。
「恥ずかしすぎてもう無理。なんてことをしてしまったのかしら。」
何か言ってくると思ったのに、リーンは黙ったままだ。
なんとも言えない沈黙が続いて、私がいたたまれなくなったあたりで、彼の腕が伸びてきて後ろからひょいと抱き起こされた。
そのまま身体をくるりと回転させられて、顔に押しつけていた枕はあっさりと取り上げられた。
防御壁が取り上げられ、私は強制的に彼と向かい合う形になった。
いたたまれない気持ちのままに彼の顔に視線を向ければ、薄青の瞳が笑いを含んで私を見つめていた。
「あのさ、昨夜のは計画的な行動として、さっき君が僕に触れてくれたのは衝動だよね?」
「衝動?」
「君は寝ている僕を見て触れたいと、ああいうことをしたいと思ったんだよね?」
「・・・」
確かにその通りですが、言葉にされると尚更恥ずかしいのですが?!
抱えてきた秘密を暴露されたようで、何も言えず全身が熱くなって、堪らず俯いた私に彼が柔らかい声で語りかけてきた。
「ねえエミィ、君も僕に触れたいと思ってくれてるんだと思っていい?」
返事に詰まって目を閉じた私の頬に、そっとリーンの大きくて硬い手が添えられた。
剣を握る人の手だ。
彼と私の身長はそこまで差がないのに、手の大きさと硬さは随分と違っていて、それを知った時はとても驚いた。
私は優しく頬に当てられた彼の手に自分の手を重ねる。
この手がいつも私を守ってくれてる。
ええ、白状するわ。
「そうね。私はリーンに触れられるのも、触れるのも好き。・・・だって、リーンに触れていると安心するんだもの。」
顔を上げてリーンを見つめながら告白すれば、目の前の顔に笑みが溢れた。
「さっき僕が寝ていると思ってエミィが触れてきてくれた時、僕はすごく幸せだったよ。もちろん、昨夜のもドキドキしていつもと違う気分が味わえてよかったし。ね?君のしたことは僕にとってはいいことばっかりだった。」
彼が本当に幸福そうに言うから、私の心もふわりと浮上した。
・・・すごく恥ずかしかったけど、リーンを喜ばせることができたならそれでいいわ!
「そんなに喜んで貰えるなら、私ももっと頑張って貴方を溺愛するわ。」
「それは、楽しみだな。」
そう言いながら彼の顔が近づいてきて、唇が触れる寸前。
ぐーきゅるるー・・・
私のお腹が盛大に鳴った。
「ははっ!もう昼だもの、そりゃ、お腹も空くよね!気が回らなくてごめんね、食事にしよっか。」
「もうっ、そんなに笑わないでよ!」
ベッドに倒れてお腹を抱えて笑うリーンにムカついて、えいっと枕を叩きつける。でも直ぐに自分でも可笑しくなって、結局一緒になって笑い転げた。
■■■
※侍女ミア視点
予想通り、公爵夫妻は昼過ぎまで起きてこなかった。
料理長には昨夜のうちに奥様の計画を伝えたら、そりゃ間違いなく明日は朝昼兼用だな、と頷いていた。
誰が聞いたってあの奥様の思いつきは、旦那様を喜ばせるだけだと思う。
そういうことで今朝(もう昼だけど)、何だか楽しそうに起きてきた奥様の着替えや、身だしなみを整えるのをお手伝いしている最中に私はある発見をした。
「奥様・・・」
「奥様、本日は少し肌寒いので襟首まであるドレスにいたしませんか?」
私がそれを奥様へ告げようとしたところ、華麗にロッテさんに阻まれた。
「そう?寒いかしら?でも、ロッテがそういうならそうするわ。ねえ、さっきミアも何か言いかけてなかった?」
「いえ、髪飾りをどれにするかお尋ねするつもりだったのですが、ドレスを変更されるなら一緒に取ってきますね。」
「ええ、よろしくね。」
私の誤魔化しを疑うことなく、素直に頷く奥様。
それに少々罪悪感を抱きつつ、その場をロッテさんに任せて、私は向かいの衣装部屋へ新しいドレスを取りに行くために廊下へ出た。
そこには早々に支度を終えた旦那様が、壁にもたれて奥様を待っていた。
その横を一礼をして通り過ぎようとした私はふと足を止め、すすっと旦那様に近寄って行った。
「どうしたミア?エミーリアはまだかかりそう?僕も手伝おうか?」
どさくさに紛れて妻に会いたがる旦那様に私は小声で話し掛けた。
「後はドレスをお召しになるだけです。が、着るドレスが変更になったので、取りに行くところです。」
「何かあったの?」
不思議そうに聞き返してきた旦那様に更に小さな声で告げる。
「旦那様、久しぶりにやっちゃいましたね。奥様の首の後ろ辺りに跡が付いてましたよ。」
ここら辺に、と私自身で実際の場所を指し示して説明すると、旦那様がしまった、という表情になった。
「え、本当に?あー・・・加減を間違えたか。消えるまでなんとか誤魔化せそう?」
「ちょうど寒くなってきますし、首の後ろの方ですし、奥様にはバレずに済むんじゃないでしょうか。」
「ごめんね。なんとかよろしく頼むよ。跡をつけないように気をつけてたのにな。・・・なんでエミーリアはあんなに可愛いんだろうねえ。」
「そうですねえ。」
もしかして旦那様って実は溺愛をコントロールしてるようで出来てないかも?
昨夜の『壁どん』の時、旦那様は一体どんな顔をなさったのだろう?驚き?喜び?動揺?
考えていたら、足音とともに
「ミアは遅いですね。ちょっと見て参ります。」
というロッテさんの声がした。
続いて扉が開く気配に慌てた私は、うっとりと奥様に想いを馳せている旦那様を放って衣装部屋へ飛び込んだ。
■■■■
ここまでお読み下さりありがとうございました。
結局、双方ともに溺愛は続行となったようです。
リーンの楽しみが増えただけという・・・。
14
お気に入りに追加
2,485
あなたにおすすめの小説
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない
猪本夜
ファンタジー
2024/2/29……3巻刊行記念 番外編SS更新しました
2023/4/26……2巻刊行記念 番外編SS更新しました
※1巻 & 2巻 & 3巻 販売中です!
殺されたら、前世の記憶を持ったまま末っ子公爵令嬢の赤ちゃんに異世界転生したミリディアナ(愛称ミリィ)は、兄たちの末っ子妹への溺愛が止まらず、すくすく成長していく。
前世で殺された悪夢を見ているうちに、現世でも命が狙われていることに気づいてしまう。
ミリィを狙う相手はどこにいるのか。現世では死を回避できるのか。
兄が増えたり、誘拐されたり、両親に愛されたり、恋愛したり、ストーカーしたり、学園に通ったり、求婚されたり、兄の恋愛に絡んだりしつつ、多種多様な兄たちに甘えながら大人になっていくお話。
幼少期から惚れっぽく恋愛に積極的で人とはズレた恋愛観を持つミリィに兄たちは動揺し、知らぬうちに恋心の相手を兄たちに潰されているのも気づかず今日もミリィはのほほんと兄に甘えるのだ。
今では当たり前のものがない時代、前世の知識を駆使し兄に頼んでいろんなものを開発中。
甘えたいブラコン妹と甘やかしたいシスコン兄たちの日常。
基本はミリィ(主人公)視点、主人公以外の視点は記載しております。
【完結:211話は本編の最終話、続編は9話が最終話、番外編は3話が最終話です。最後までお読みいただき、ありがとうございました!】
※書籍化に伴い、現在本編と続編は全て取り下げとなっておりますので、ご了承くださいませ。
おまけ娘の異世界チート生活〜君がいるこの世界を愛し続ける〜
蓮条緋月
ファンタジー
ファンタジーオタクな芹原緋夜はある日異世界に召喚された。しかし緋夜と共に召喚された少女の方が聖女だと判明。自分は魔力なしスキルなしの一般人だった。訳の分からないうちに納屋のような場所で生活することに。しかも、変な噂のせいで食事も満足に与えてくれない。すれ違えば蔑みの眼差ししか向けられず、自分の護衛さんにも被害が及ぶ始末。気を紛らわすために魔力なしにも関わらず魔法を使えないかといろいろやっていたら次々といろんな属性に加えてスキルも使えるようになっていた。そして勝手に召喚して虐げる連中への怒りと護衛さんへの申し訳なさが頂点に達し国を飛び出した。
行き着いた国で出会ったのは最強と呼ばれるソロ冒険者だった。彼とパーティを組んだ後獣人やエルフも加わり賑やかに。しかも全員美形というおいしい設定付き。そんな人達に愛されながら緋夜は冒険者として仲間と覚醒したチートで無双するー!
※他サイトにて重複掲載しています
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
奥様は聖女♡
メカ喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる