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シュタンツファー市
#9 髪結び
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市役所に入ると、一流ホテルのような大理石の床が広がり、両脇には大きな西洋彫刻が飾られており、中央にはシャンデリアのような受付が置いてあった。
「おはようございます。今回はどのような件でございましょうか。」
「ハイヒブルック市から避難をしてきた子の住民登録、その他諸々の手続きをするために来ました。」
「左様でございますか。お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「ベリア・ハイヒブルックです。」
「ありがとうございます。では今から住民課の者を呼んできます。しばらくお待ちください。」
とってつけたような笑顔を保ったままの女性はそのまま作業に取り掛かる。
「ここは玄関がすごいだけで、中は普通なのよ。」
と、含み笑いでアリーは私に静かな声で言った。
「おはようございます。住民課所属でハイヒブルック様を担当させていただきます。よろしくお願いします。」
そう言いながら、とってつけたような笑顔を保ったままの男性は私たちを部屋へ案内して行った。
そのあとは長い時間、証明写真の制作含め、必要となる全ての手続きを行った。最後に身寄りの話になり、一番親しかった幼馴染、リーヌ・ハイヒブルックの家族に招き入れてもらうことになった。
「これで貴方もシュタンツファー市民よ。私はナマイトダフ行きの電車が出るまではこの街に残るわ。」
「あれ、電車ってないんじゃ」
「それはワイルの周辺だけ。シュタンツファーからナマイトダフまでは線路がやっとできてね。早い電車は走れないんだけど、ちゃんとあるのよ。」
「その電車はいつ出発なんですか?」
「予定通り行けば、二週間後だわ」
「…」
「…」
「そうだ!ベリア!貴方、髪がクシャクシャになってるわ!」
「え?」
「直してあげる」
アリーは器用に私の長い髪をポニーテールでまとめてくれた。どこか懐かしい気がした。
「できた!」
「ありがとうございます。」
「いえいえ、こういうの得意なのよ。」
「それだけじゃなくて、避難から何から何まで。アリーさん寝てなかったですよね。本当に親身になってくださって、ありがとうございました。」
「………」
「アリー、さん?」
「いいのよ。私の仕事だもの。」
アリーは柔らかく微笑み私の顔をずっと見ていた。
「私は二週間後の夜二十時発に乗るからね。」
「……はい」
アリーは軽く別れの言葉を残して郵便の職員と奥の部屋へ行ってしまった。
本当にお世話になった。後に、結ばれたところを触ってみると、金属でできた蝶々の髪飾りがついてることに気づいた。
しばらくして、待ち合わせの時計台まで行った。
時計はすでに十五時をまわっていた。
「ベリアちゃん!!」
そこには、最後に会った時と何も変わらない幼馴染の姿がそこにあった。
私はその姿を見て目が熱くなった。目の前がぼやけてリーヌの姿もぼやけたあと、私の頬に生暖かいものが流れたのがわかった。
「おはようございます。今回はどのような件でございましょうか。」
「ハイヒブルック市から避難をしてきた子の住民登録、その他諸々の手続きをするために来ました。」
「左様でございますか。お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「ベリア・ハイヒブルックです。」
「ありがとうございます。では今から住民課の者を呼んできます。しばらくお待ちください。」
とってつけたような笑顔を保ったままの女性はそのまま作業に取り掛かる。
「ここは玄関がすごいだけで、中は普通なのよ。」
と、含み笑いでアリーは私に静かな声で言った。
「おはようございます。住民課所属でハイヒブルック様を担当させていただきます。よろしくお願いします。」
そう言いながら、とってつけたような笑顔を保ったままの男性は私たちを部屋へ案内して行った。
そのあとは長い時間、証明写真の制作含め、必要となる全ての手続きを行った。最後に身寄りの話になり、一番親しかった幼馴染、リーヌ・ハイヒブルックの家族に招き入れてもらうことになった。
「これで貴方もシュタンツファー市民よ。私はナマイトダフ行きの電車が出るまではこの街に残るわ。」
「あれ、電車ってないんじゃ」
「それはワイルの周辺だけ。シュタンツファーからナマイトダフまでは線路がやっとできてね。早い電車は走れないんだけど、ちゃんとあるのよ。」
「その電車はいつ出発なんですか?」
「予定通り行けば、二週間後だわ」
「…」
「…」
「そうだ!ベリア!貴方、髪がクシャクシャになってるわ!」
「え?」
「直してあげる」
アリーは器用に私の長い髪をポニーテールでまとめてくれた。どこか懐かしい気がした。
「できた!」
「ありがとうございます。」
「いえいえ、こういうの得意なのよ。」
「それだけじゃなくて、避難から何から何まで。アリーさん寝てなかったですよね。本当に親身になってくださって、ありがとうございました。」
「………」
「アリー、さん?」
「いいのよ。私の仕事だもの。」
アリーは柔らかく微笑み私の顔をずっと見ていた。
「私は二週間後の夜二十時発に乗るからね。」
「……はい」
アリーは軽く別れの言葉を残して郵便の職員と奥の部屋へ行ってしまった。
本当にお世話になった。後に、結ばれたところを触ってみると、金属でできた蝶々の髪飾りがついてることに気づいた。
しばらくして、待ち合わせの時計台まで行った。
時計はすでに十五時をまわっていた。
「ベリアちゃん!!」
そこには、最後に会った時と何も変わらない幼馴染の姿がそこにあった。
私はその姿を見て目が熱くなった。目の前がぼやけてリーヌの姿もぼやけたあと、私の頬に生暖かいものが流れたのがわかった。
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