私達の物語

歌魅音娘-utamineko-

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壱「小さな劣等感」

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「小さな劣等感」

 私には五つ程離れた姉がいます。姉は仕事ばかりの両親に変わって私を育ててくれました。悪いことをしたら怒ってくれるのも姉、良いことをしたら褒めてくれるのも姉、心配してくれるのも、愛情をくれるのも姉でした。そんな姉の後ろをついて回っていました。大好きで大好きな姉に劣等感や嫉妬を感じ始めたのは小学校に上がった辺りからです。姉はとても優しくて頭が良かったなので学校では有名人のようでした。ですから、学校では私は「○○姉の名前先輩の妹さん」とか、「○○姉の名前の妹」とかで、私自身の名前は呼ばれたことがほとんどありませんでした。私は勉強も運動も出来て、愛想もよくて美人な姉の妹でしかなかった。その事実を理解しってからでした。私が姉を嫉妬し、姉に劣等感を感じることとなったのは、、、
 それからと言うものすぐに姉を無視したり、避けるようになりました。姉がとても悲しそうな顔をしていたのが今でも思い出せます。恐らくですが、妹が突然無視しだしたから悲しかったのだと今では思いますが、その時は自分が優越感を感じるための道具が居なくなったからとしか思えませんでした。私には、自分がした行いで喜んでもらったりした記憶がないのです。姉が褒めてもらっている所は見たことがあります。ですが私は褒めてもらったことがありません。姉を中心として生きてきたこれまでの人生で、その姉との関わりを断ったのは周りとの関わりを断ったようなものでした。学校のクラスでは私に関わりを持とうとするものは居ません。居るとすればそれは姉に出会うためでしかありませんでした。姉にラブレターを渡してくれだ、姉に会いたいから呼んでくれだ、私に会うと言うのは姉に会うための手段でしかありませんでしたから。
 私は家でも学校でも孤独になりました。いえ、孤独になりに行ったのです。自分から、周りとの関わりを断ったのですから。勉強をしても望んだ結果は出せない、運動をしようとしても飽きてやめるそんな毎日です。上には上がいるのだから目指して頑張れる努力の才能があれば良かったのですが、私はこれ以上上に上がることは出来ないのだと決めつけて上がろうとすることすらやめる人でした。私は成長するにつれて努力をやめていきました。そんな事をしていたら当たり前のように出来ていたことも出来なくなっていくのです。
 元々出来ることが多かった姉、そして努力を怠らなかった姉と元々出来ることが少なかった私、そして努力をやめた私との差はどんどんと開いていきました。頑張ると言うことは重要なのだとやっと気が付くとその時にはもう遅かった。縮まることのない溝、崖の向こう側に姉は立っています。
 これは大好きだった姉との関係をたった少しの劣等感で切った私の物語おはなし
 如何だったでしょうか?
こんな感じで軽い一時の感情で行動すると後で後悔するのでしょうか?
それは経験してみなければわからないと言う答えが正解でしょう。
この物語の結果は「大きな後悔」でした。
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