上 下
80 / 150
変化

6

しおりを挟む
 右腕は上がらなくても何とかバスケができないか……と中学時代に力也と試行錯誤をした。
 俺は諦めていたのに力也が何度も誘ってきて、ゴール下でリバウンドもシュートもできない俺にもできることをって考えたうちの一つがこれだ。
 ほぼゴールからゴールまで手が上がらないからってアンダーで飛ばすなんて……俺は考えもしなかったのに。
 俺にマネージャーを勧めてくれて、バスケにもまた誘ってくれて……何でそこまで?聞いたら、

「一緒にやりたいから!他に何があんの?」

 あいつは平然と言いやがった。
 俺なんてポジションを力也に奪われた気がして、居場所を取られたような気になって勝手に僻んでいたのに。

「マネージャー、勿体ないな」

 セイ先輩が呟くと、かけてあったタイマーが鳴ってユウ先輩がその場にボールを置く。

「これは四対四だってのと、公式戦ではないからですよ」
「あ、聞こえたのか?」

 気まずそうなセイ先輩に笑って応えておいた。

「コタ先輩なんて思いっきり手加減してくれてますしね」
「俺には一切手加減ないじゃーんっ!」

 そこに力也がやってきて俺の肩に腕を回す。

「何でお前に手加減するんだよ。相変わらずミートが甘いし」
「うわっ!うるせっ!」
「あのなぁ……」

 言い合いながらやっぱりこいつは凄いと思った。
 あのままセイ先輩と話していたらきっと自分のできないことばかりに目がいってヘコんでいただろうから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

真夏の温泉物語

矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

消えたい僕は、今日も彼女と夢をみる

月都七綺
青春
『はっきりとした意識の中で見る夢』 クラスメイトは、たしかにそう言った。 周囲の期待の圧から解放されたくて、学校の屋上から空を飛びたいと思っている優等生の直江梵(なおえそよぎ)。 担任である日南菫(ひなみすみれ)の死がきっかけで、三ヶ月半前にタイムリープしてしまう。それから不思議な夢を見るようになり、ある少女と出会った。 夢であって、夢でない。 夢の中で現実が起こっている。 彼女は、実在する人なのか。 夢と現実が交差する中、夢と現実の狭間が曖昧になっていく。 『脳と体の意識が別のところにあって、いずれ幻想から戻れなくなる』 夢の世界を通して、梵はなにを得てどんな選択をするのか。 「世界が……壊れていく……」 そして、彼女と出会った意味を知り、すべてがあきらかになる真実が──。 ※表紙:蒼崎様のフリーアイコンよりお借りしてます。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...