上 下
42 / 150
準備

6

しおりを挟む
「あれ?これだけでいいんですか?」

 三木先輩が店員に頼んで切り分けてもらった布の量は想像していた以上に少なくて首を傾げる。

「『男バスは黒のエプロンが十五枚あるからそれで足りるし、女バスだけロングエプロンでも作ればいいんじゃないか?』って」

 メモを見ていた菊川先輩が顔を上げて、

「それはセイ先輩が……ですか?」

 そんなのすぐに誰の言葉かわかってしまった。

「えぇ。諦めさせようと思ったけど、それならできるだろう?って……小嶋くん、意外と柔軟な考え方するし、ミキに優しいのよ」

 その少し傷ついたような顔は俺も胸がざわつく。

「だから、小嶋の言う通りなんて悔しいから絶対あいつが思いつかないようなことしてやるのよ!」

 手にまた何か持って来た三木先輩はフンッと鼻息を荒くして、手にあるものを菊川先輩に見せた。

「このビジューかわいくない?」
「売り場どこ?予算次第」

 それを見て菊川先輩は冷静に三木先輩を見上げて聞く。

「えー!いいじゃーん!」
「部の出し物だからそこはちゃんとしろって言われたでしょ?」

 プクッと頬を膨らませた三木先輩にピシャリと言い切った姿はカッコいいが、それもきっとセイ先輩の言葉だろうと思うとため息が零れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

消えたい僕は、今日も彼女と夢をみる

月都七綺
青春
『はっきりとした意識の中で見る夢』 クラスメイトは、たしかにそう言った。 周囲の期待の圧から解放されたくて、学校の屋上から空を飛びたいと思っている優等生の直江梵(なおえそよぎ)。 担任である日南菫(ひなみすみれ)の死がきっかけで、三ヶ月半前にタイムリープしてしまう。それから不思議な夢を見るようになり、ある少女と出会った。 夢であって、夢でない。 夢の中で現実が起こっている。 彼女は、実在する人なのか。 夢と現実が交差する中、夢と現実の狭間が曖昧になっていく。 『脳と体の意識が別のところにあって、いずれ幻想から戻れなくなる』 夢の世界を通して、梵はなにを得てどんな選択をするのか。 「世界が……壊れていく……」 そして、彼女と出会った意味を知り、すべてがあきらかになる真実が──。 ※表紙:蒼崎様のフリーアイコンよりお借りしてます。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...