それでも俺はあなたが好きです

水ノ瀬 あおい

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視線の先は

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 少し離れてヒサに手のひらを見せると、ヒサがボールを投げてくれた。
 ピタリと手のひらに収まったボール。
 バスケから離れていた期間があって今現役でプレーをしないからこそ、そのキャッチの感覚は高揚感を覚える。

「ほら。この手ならそのままシュート、ドリブル、パス……どれも選択できるだろ?」

 動いて見せつつ最後にパスをすると、感心していたヒサはまた手で軽くボールを弾いてしまいつつ何とかキャッチをした。

「そうやってハンブルするのは常に“パスが来る”って思ってないのも大きいぞ」

 メガネを上げてヒサを見ると、ヒサは肩を竦める。

「初心者がそんなパスもらおうなんておこがましくない?」
「バスケはたった五人で攻めも守りもするだろ?初心者だろうがコートに入れば関係ない。パスは来るし、すぐに次に繋げてもらわないとみんなが困るんだよ」
「確かに……そっか」

 コクコクと頷いたヒサ。
 コートに目を向けると、ちょうど次の練習、ツーメンに切り替わるところだった。

「何度もやって失敗すればいい!誰でも最初はそうだったんだから!」

 背中を叩いて送り出すと、「ありがと」と笑ってヒサは練習に戻っていく。

「ありがとな」

 入れ替わりでやってきたのは一度ツーメンを終えてきたセイ先輩。
 この次の練習についても少し話して先輩はまた練習に戻っていった。
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