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対面

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「ぶっちゃけ……この縁談ってどう思ってんだ?」

 バラの香りを辿りたいと言うサフィナに案内はせずただ腕を組んだまま歩いていた俺は核心に触れてみる。

「どうって?」

 こっちを見上げたサフィナは少し肌寒そうで、俺は足を止めると着ていた赤いドレスコートを脱いでその小さな肩に掛けてやった。

「……ありがとう」

 そのちょっと頬を染める仕草はドキッとする。
 俺は男としては大きい方ではないが、サフィナが小柄なせいか肩に掛けるとブカブカになっているのはちょっといい。

「ねぇ、お互いの呼び名を決めない?」
「は?」

 また俺の腕に手を添えて寄り添ってきたサフィナに戸惑う。
 ドレスコートを脱いで薄手のシャツになったからか、触れたサフィナの胸の柔らかさにパニックだった。
 サフィナは胸なんてないと思っていたのに……俺やリューラとは違うふわんとした確かなもの。

「縁談は私たちが何もしなくてもどんどん進むわ。でも……私は本気であなたに恋をしたい!って聞いてる?」
「き、聞いてる!」

 少しムッとされて慌てる。
 ほとんど聞いていなかったが認めてはいけない気がした。

「だから呼び名を……」
「“リナ”じゃないのか?」

 記憶を辿って首を傾げると、サフィナは眉を吊り上げる。

「そ、それはあの鍛錬場での話でしょ!お父様たちの前では絶対にやめて!」

 マジのトーンにコクコクと頷いた。
 満足したのかホッと息を吐くと、サフィナはすぐにまた俺の腕にくっついて歩き始める。
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