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バカなのか?

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「いい加減離れろ」

 もう怒鳴るのも引き剥がすのも面倒になってとりあえず口を開く。なのに、

「ヤダ」

 リューラは俺の腰に腕を絡み付けたままギュッと俺の肩に額を付けていた。
 邪魔だが仕方ない、ともう半ば諦める。
 食事の後、俺はロザーナを港で見送って、それを報告に戻って来てからずっとこうだから。
 ロットルに執務室とかではなくリューラの自室に案内された時に気づくべきだった。

「ったく……何拗ねてやがる?」

 そのままで聞くと、やっとリューラは少しだけ頭を動かす。

「あんな笑顔、見せたらヤダ」

 まだくっついているせいでくぐもった声だし、めちゃくちゃだし……イラッとした。

「あ?ロザーナは公賓だろーが!キレて友好関係崩れたらどうする気だ!」

 やっぱり我慢なんてできずに怒鳴ってしまう。

「ウインクされたり、微笑み合ったり!そんなん必要ないだろう!?」

 それでもリューラはまだわけのわからないことを言ってきた。

「はぁ~!?そんなんしてねぇわ!」

 呆れて取り合うのも面倒くさい。なのに、

「した!サラが微笑んで会釈なんてするからパチンってウインクされてた!!」

 リューラはクルンと俺の体を向かい合うように半転させてプクッと頬を膨らませた。
 一国の王が何を言っているんだ?
 そんな子供みたいに拗ねて?
 昼間の余裕さは微塵もなくなるのか?

「……バカなのか?」

 思わず低い声が出て、リューラはわかりやすいくらいにショックを受けていた。
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