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言わずにいられない

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「あ"?」

 思わずイラッとしてしまうと、男はかなりビクついて縮こまる。

「大丈夫ですよ」

 男の背中を擦りながらエミリオにこっちを見られて、俺はテーブルに肘を付いてそこに額を乗せた。
 深く息を吐き出してもイラッとする。
 あんなボソボソ喋ってビクビクされたらイラつくのは仕方ないだろう!?
 だが、感じるいくつもの責めるような視線。
 どうせまた文句ばかり言われるのだろう。

「……配合も材料も好きにしていい。あの小麦をうまく使えばもっと風味も甘味も増すはずだ」

 それだけ言って俺はイスから立ち上がった。
 身を寄せてこっちの様子を窺うエプロン姿の奴らも散々うるさかった領主も俺と目を合わせない。

「あ、豆の……」
「あんな生臭いスープなんて出すな!パンの良さを殺す!」

 それでも口は開いてきて、俺はすぐに言葉を被せた。
 コソコソ言うのは聞こえてくるが、振り返りもせず大股で歩く。
 すると、すぐにエミリオが走ってきた。

「……今回父さんじゃなかったのって、俺にあれを言わせるためだろ」

 車に乗り込んで脱力すると、エミリオは運転席に回ってこっちに体ごと向ける。

「旦那様は国王様とお食事ですよ」
「ほらみろ」

 うまく使われた感にイライラした。
 見ただけでも硬そうな豆とあるだけで気分の悪くなる臭いのするスープ。
 あんなの俺の言わずにはいられない性格をうまく利用されただけだ。
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