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戴冠式

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 リューラは歩いて市民と同じ目線でパレードをしたがったが、それは防犯等の理由から却下されていた。
 ただ背の高い馬車でゆっくり行われるため、多くの市民はその姿を目にすることはできるだろう。
 まぁ、人が歩くくらいの速さで行われる予定で、また城に戻ってくるのはかなりの時間を要するだろうが。

「サラ!シーバス!二人も乗ってくれ!」

 まさかのリューラは馬車まで見送る列に並んでいた俺と父さんの手を握って微笑んで、俺と父さんは焦る。

「リュ、リューラ様!それはさすがに……」

 父さんも頷くわけにはいかず、辺りの大臣や騎士に目配せをするのだが……

「後見だろう?近くで見届けてもらわないと!」

 リューラは悠然と笑みを見せた。しかも、

「そうですよ!一緒に行きましょう?」

 後から歩いてきたリューラの妹、リティナにも腕を組まれて父さんはタジタジになる。

「ってことで、サラ!」
「俺は関係ねぇ」

 そんなのに巻き込まれるわけにはいかずそっぽを向いたのだが、

「じゃあ、俺の好……」

 聞こえてきた言葉の続きが嫌な予感しかしなくて、俺は慌ててその口を手で塞いだ。

「てめぇ!何言う気だ?」
「お兄様の幼なじみで、一番の親友ですもの!お兄様がご一緒されたい方とが一番じゃないですか?」

 小声で凄んで必死の形相になる俺にリティナは微笑む。

「レイモンド様、御子息様、お時間もありませんのでお乗り下さい」

 控えていた大臣と騎士にも言われたら俺と父さんも乗らないわけにはいかなくなった。
 こんな直前に言うなんて……絶対にリューラの策略だろう。

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