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愛される王とその幼馴染

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 公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵。
 俺は爵位でも順位の高い公爵の令息で、昔から周りの人間にチヤホヤされてきた。
 しかも、俺は三歳で読み書きもマスターし、五歳で騎士たちが持つような大きな剣も巧みに操ることができたため、神童と呼ばれ誰よりも褒め称えられてきた。

「サライド、息子のリューラだ。仲良くしてやってくれるか?」

 先代の王にもそうやって頼まれて、弟のマニエルはまだ生まれたばかりで遊び相手にもならず退屈していた俺は即頷く。
 父が先代の王と親友でもあったために王も身近な存在だった俺は王に直々に頼まれたことを誇らしく思い、二つ下のリューラを守ってやらないといけない弟のように思っていた。
 泣き虫で、いつも俺の服を握って後ろを付いてきた幼くも美しい顔のリューラ。
 何でも教えて、いつもその涙を拭っては助けてやった。
 なのに、あいつはいつの間にか俺より剣も上手くなって、身長を抜き更に伸びていく。
 そして、語学も何もかも俺よりできるようになって政治手腕も注目され始めた頃、先代が崩御して新しく王となった。
 俺なんて必要ないって余裕の顔で国民に寄り添い国を治めていくリューラ。

「チッ!」

 荒々しく時計屋のドアを開けると、店主が弾かれたようにやってきて頭を下げる。

「サライド様、あと少し……本当にあと僅かで仕上がりますので」
「俺が自ら足を運んだのに待たせるつもりか?」
「も、申し訳ございません!!」

 街の奴らに怯えられて嫌われている俺とは正反対だ。
 王なんて絶対的な存在に敵うはずもなく、俺はイライラのぶつけ場所さえわからない。

 

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