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勇者

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 ……のはずだったのに。

「勇者様!どうぞ私たちをお導き下さい!」

 期待の目を向けられて戸惑いしかない。
 てか、ここどこ?


 西洋の雰囲気溢れる城下町。
 教室の机に突っ伏して昼休みの間寝ていたはずなのに見たこともない場所に立っていて困惑しかなかった。
 制服で居る俺は明らかにおかしい。

「おい。お前」

 どうしていいかわからずにいると、急に肩を叩かれてビビる。

「異世界から来た勇者って奴か?」

 は!?
 振り返って見るとそこに居たのは金髪を肩の所で結んだ長身イケメン。耳にはピアスがいくつも開いていて、腰には剣を携えている。

「な……何……」

 そんなのに声を掛けられて、俺は情けない声しかでない。

「ちびだし弱そうだな……本当に勇者か?」

 目を細めて値踏みされるように頭からつま先までじとーっと見られる。

「勇者……な訳……な……」
「まっ、いいわ。こっち来いよ」

 震えながら出した言葉も途中で切られて左腕を掴まれた。
 どんどん引っ張って連れて行かれて訳がわからない。
 俺が勇者な訳ないだろ?
 どっからどう見ても!
 おかしいだろ?
 見てわかるだろ!?
 言いたいのに言葉にならない。
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