恋なんて必要ないけれど

水ノ瀬 あおい

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三木からの提案

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「面倒ごとに巻き込むな」

 頭を掻きながら目を細めると、三木は少し不安そうにこっちを見る。

「小嶋なら気ぃ遣わないし、家だって知ってるし、エマだってお気に入りじゃん?」
「知るか!」
「彼女作らないのか?って聞かれるのも鬱陶しいんでしょ?彼女できちゃえば言われないよ」

 いつだったか帰りにボヤいたことまで持ち出されて俺は壁に背中を預けた。

「彼女できたなんで色々聞かれて更にウザいだろ!」
「でも、告白断る理由にはなるし、女除けには最高でしょ?」

 どう考えたって、そんなメリットより三木が彼女というリスクの方が高いとしか思えない。
 他の男の僻みや妬みを一気に買うなんて面倒以外の何物でもないから。

「ねぇ、小嶋、恋だの何だの……する気ある?」
「ない」
「でしょ?元々一緒になること多いんだからさ!彼女ってことにしといてくれるだけでいいのよ」

 どうしてこの女はそれが新たな面倒を背負うことになると理解できないのか。

「あ!もし好きな人ができたらそれはすぐ終わりでいいよ!」
「はぁ?」

 三木の思考が理解できない。

「ミキ、小嶋くんの迷惑も考えて……」
「だってたまに帰り一緒だったりするでしよ?今までも何度か小嶋と付き合ってるのかって聞かれてたんだよ?そう思ってる人も一定数居るならもうよくない?」

 そんな事実さえ知らなかった俺は頭が痛くなってきて、今の状況さえ放棄したくなった。
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