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体育祭

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「あ!お疲れ!吉井くん、今、障害物リレー出てるから部室の鍵は私が預かるね!」

 招集の門近く居た菊川に手を出されて、俺は言われるままに鍵を渡す。
 確かにトラックでは今、障害物リレーをやっていて、出場する生徒は麻布の袋に入って跳んだり、ボールをテニスラケットに乗せて走ったり、竹馬に乗ったり、白い粉の中からマシュマロを探して顔を真っ白にしていたりしていた。

「あ!あれ、ヨッシーじゃね?マシュマロじゃん!」

 あんなクラスのおもしろ担当が集まるところを!?
 意外なところを担当していてびっくりするが、ヨッシーは周りの奴がフーフーと息を吹きかけてむせている隙にサッとマシュマロを見つけて咥えさっさと走り去る。

「凄ぇ……俺、去年真っ白になったのに」
「トモ!それはある意味正解だから!自信を持て!」

 トモの肩に手を回して笑うモト先輩を見てそっとため息を吐いた。
 それこそ、このリレーメンバーはほぼおもしろ担当な気がする。
 嫌な予感を振り払おうと首を振ると、

「あ!居たー!!」

 三木の声が聞こえてげんなりとした。
 その手にはやはりあの黒いハチマキ。

「え?何々?」

 トモが興味津々で近づいてくると、三木は首に掛けたハチマキを見せて笑う。

「端切れで作ったんでこれもお揃いで巻きません?」

 全力で頷いたトモを見て、俺はただため息しか出なかった。
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