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煩わしい

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 何と声をかけるべきかもわからず黙り込んでいると、三木は横に並んできてフッと笑う。

「あいつってことは小嶋も興味ないんだ?」

 東門から帰るほとんどの生徒が門からまっすぐの道をそのまま東に進んで駅のある方面に進むか南に出て行くため、北に生徒らしき人影はない。
 辺りは同中なのでほぼ同じ道をいく三木と俺だけだ。

「面倒くさいだろ?」

 正直に言うと三木は笑いながら何度も頷く。

「ねー!……でも、小嶋ってさ、中二?だっけ?彼女居たよね?」

 指摘されて再び口を閉じた。

「あの子……えっと……さ……坂野さかのさん!」

 三木の言葉によって急に頭に浮かぶ小柄で大人しそうなあの顔。
 満面の笑みと……そして、苦しそうな、辛そうな泣き顔。

「……昔のことだろ?」

 ギリッと歯を鳴らして話を終わらせるように低く吐き出すと、三木は理解したらしくそれ以上は聞いてこないでペダルを漕ぐ。

「本当、あっついねぇ……」

 いつものダレた声にホッとした。
 制服のブラウスを思いっきり捲くって腕を出し、リボンも外してボタンだって二つも開けている姿はその暑さのせいなのか?

「アイス買わない?」
「もうさっさと帰って飯食う」
「ん!」

 ヒラヒラと手を振りながらコンビニに入って行く三木を見て俺はすぐに前を向く。
 だが、確かに暑さを感じて、俺は自転車を漕ぎながら首元のネクタイを緩めた。
 
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