俺を見てよ

水ノ瀬 あおい

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あれ?……いけた?

付き合ってるんだっけ?

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 ためらうことなくケーキに刺してフォークに乗せるとこっちにそのフォークを差し出す。

「せっかく作ったんだから食べてよ」

 これは……さおさんわかってやってんのか?
 そろりと顔を近づけてパクッとフォークを咥える。ちらっとさおさんを見ると満足そうに笑っていて、俺はフォークから離れながら顔を隠して俯いた。
 絶対顔は真っ赤だとわかるくらい熱い。
 ダッセ……と思いつつ、鼻血まで出してねぇよな!?と慌てて鼻を触った。
 どうやらそれはセーフらしい。

「どう?」

 その小首を傾げる感じ……ヤバいからね!!

「めちゃくちゃおいしい」

 フォークをもらって俺たちはそのままケーキをつつき合った。
 白鳥はまた食べるのをためらって見ていたら笑われて……そのいい感じの雰囲気に、あれ?俺ってさおさんと付き合ってるんだっけ?なんて思ってしまう。
 紅茶のカップに口を付けつつさおさんを見た俺は頭の中でグルグルと色んな想いを巡らせた。
 そして、ハッと気づいた俺。
 立ち上がってカバンを漁って中から白い包みを出す。

「今年は会えるかわからなかったから花はないけどね」

 さおさんの手に勝手に置くと、さおさんは息を吐きながら小さく笑った。
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