俺を見てよ

水ノ瀬 あおい

文字の大きさ
上 下
38 / 145
会いたいっ!!

何回でも言うよ?

しおりを挟む
「ふふ……凄い怒鳴り方だったからびっくりしたらあんなかわいい顔でしょ?ズルいなぁって」
「顔なら俺もそんな変わんないでしょ?」

 ちょっとさおさんの方に近づくと、さおさんは俺のおでこを指でついた。

「基晴くんの方が更にかわいいかな~?」
「なら、俺の方がお得」
「……モノは言いようね」

 さおさんは呆れたような顔をする。

「寒くない?」
「寒いよ」

 ちょっとムッとしたさおさんを見て笑いながら、俺は立ち上がってさおさんを見つめた。

「そっちの袋開けて」

 さおさんが首を傾げながら紙袋から包を出して開くと、俺はアイスブルーのそれを持ってさおさんの首に巻く。

「うん。やっぱ似合う」

 真っ白なコートにもさおさんにも、そのマフラーは合っていた。

「あったかい……」
「俺の気持ちだからね」

 笑ってまた隣に座ると、

「すぐそういうことを……」

 さおさんはため息を吐いた。

「何回でも言うよ。俺の気持ちがちゃんと伝わるまで」
「だから、私は……」
「兄貴より絶対俺の方がいいって!」

 にこっと笑うと、さおさんはちょっと困ったように口を少しだけ尖らせる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様なんていない

浅倉あける
青春
高校二年の大晦日。広瀬晃太は幼馴染のゆきと、同じ陸上部の我妻にゆきの厄払いに付き合ってくれと家を連れ出される。同じく部活仲間である松井田、岡埜谷とも合流し向かった神社で、ふいに広瀬たちは見知らぬ巫女服の少女に引き留められた。少女は、ただひとつ広瀬たちに問いかける。 「――神様って、いると思う?」 広瀬晃太、高橋ゆき、我妻伸也、松井田蓮、岡埜谷俊一郎。 雪村奈々香の質問に彼らが出した答えは、それぞれ、彼らの日常生活に波紋を広げていく。 苦しくて、優しくて、ただただ青く生きる、高校生たちのお話。 (青春小説×ボカロPカップ参加作品) 表紙は装丁カフェ様で作成いたしました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

神様自学

天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。 それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。 自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。 果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。 人の恋心は、どうなるのだろうか。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

【実話】友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
青春
とあるオッサンの青春実話です

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

the She

ハヤミ
青春
思い付きの鋏と女の子たちです。

処理中です...