トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

デザート

「今はね」
「今だけですかっ…？」
「あはは」
「いえ語弊です。いえ、語弊じゃないです！優しくしないのは愛情不足を起こす浮気のもとですよ！」
「浮気か、官能的だよね」
少し柔らかく微笑みながら
「何を言ってるんですか」
「浮気されないように毎夜尽くすよ。ああ、世間の奥さんたちは昼に出て行くんだっけ」
「知りません、昼ドラみたいな展開好きなんですか」
「まさか」
そう言うとアイスをお皿にのせて、生クリームをトッピングで乗せる。そこにカラースプレーチョコを掛ける。
「美味しそう！」
「この食べ方好きでしょ」
「好きと言うよりも大好きです！」
「まだみみが病院にお世話になってた頃の話なんだけど。いつも通りにみみの検温の時間の時に部屋へ行ったんだ。そこでこれを作りたいってみみが言ってるの楓くんが聞いて頑張って勢い余って生クリームぶちまけててさ」
「楓先輩何て優しいの…」
きっと前世はヒーラーとか牧師さんだったり。優しさに道溢れた聖母にちがいない思わず祈りたくなる。
「優しいよね、不器用ながらもみみのためにって。それよりみみの突っ込む所が面白すぎて」
 隣で笑っている遥さんは何でも私がする行動にたいして前向きに受け止めてくれる。
「ごめんなさい、何か可笑しかったですか」
「ううん、そのままでいいよ。ちゃんと好きだから」
嬉しそうに微笑む遥さん。今入院してる私からしたらこんなのあり得ない。やっぱり、現実ではないにちがいないと確信する。